愛社精神について(後編)
どうすれば「愛社精神」をもてるのか?
まずは下記事項を理解しておくことが大事だと考えます。
■単に「良い企業」「悪い企業」かという分類はできない
日本国内に約390万社ある企業。これらを単に「良い企業」「悪い企業」のふたつに分類できるものでしょうか。
不祥事や不正などに手を染める企業などは、世間的に見れば「悪い企業」となりますが、なかにはその企業を「(自分にとっては)良い企業」と捉える方もいらっしゃるのが実際なのではないでしょうか。
また、その逆も然り。
業績もよく社会貢献度の高い、世間的に見れば「良い企業」とされている企業においても、「自分にとっては……」という方も多少なりとも存在するはずであると思います。
そうなると、必要となるのは前回の記事でもお伝えしました通り、自分がお世話になっている企業の「経営理念」や「大切にしている考え方」、「社風・企業文化」や「共に働く方々の個性」に対して歩み寄ろうとすることとなります。
会社そのものが「良い企業」か「悪い企業」かはさておき、まずは私たちが「歩み寄ろうとしているのか」。ここは、自分次第となります。
では、何をもって「歩み寄ろうとしている」ことになるのでしょうか。
■会社に対して「歩み寄ろうとする」こととは?
私たちが、自身の意思と責任においてお世話になると決めた会社。
そこで過ごす時間は日常イコール人生においては半分以上のウェイトを占めるという方が大半だと思います。
その会社が、自分にとって「良い会社」「悪い会社」、「合う会社」「合わない会社」であったとしても、100%良い・悪い、合う・合わないといったケースはあり得ないと思います。
私たちに求められるのは以下の二点。
・会社の良いところに目を向けること
・会社に合わせようとすること
もっと言えば
「会社を好きになろうとする努力」
「会社に合わせようとする努力」
「会社の良いところを見ようとする努力」
が求められているのです。
とある研修にて
Q)「会社は好きですか?」
A)「大っっ嫌いです」
過去、さまざまな方と研修を通じ接点を持たせていただく中で、このようなやり取りがありました。
『どちらかというと嫌い』寄りの視座を持つ方は多くいらっしゃいましたが、こう答えた方は後にも先にも1名です。
「大っっ嫌い」
そうまでなるには、さまざまなことがあったのでしょう。
会社としてのサービスレベルや業務効率、ご本人の人生にとって多くを占める時間……こんな面持ちで日常の業務に就かれていては、お客さまも含めればまさに「三方」にとっての「悲劇」。
「なるほど。でも良いところもありませんか?」
「……それはありますけど……」
ただひとつ、この方に足りなかったのは資質でも能力でもなく「会社の良いところ」に対する視座だったのではないでしょうか。
会社の方針や経営判断に対して異を唱えたところで、会社にとってはしょせん「数百分の1」「数十分の1」である、”私”という個人に合わせてくれるはずがありません。
「嫌い」という理由で会社を辞め、新天地に入ったとしても、「良いところ」を見ようとする視座をもてないかぎり、同様の結果となってしまう可能性は高くなるでしょう。
私たちが正しい意味での「愛社精神」を持つためには、「企業の原理原則」を確実に押さえておく必要があります。
「企業の原理原則」とは、主に以下のようなことだと考えます。
①経営判断はひとつ
=経営者とは判断基準が違う
=従業員の判断基準は人数分
②会社は全員の要望には応えられない
=応えたとしても満足度はそれぞれ
=自分の要望通りにいくことは稀である
③会社は会社の都合で動く
=転勤や配転など
=会社は個人の都合は後回しにする
そこには、以下の6点があるだけにしかすぎないのではないでしょうか。
・経営者は経営者。
・会社は会社。
・会社の良き部分を見出そうとできる自分。
・会社の悪しき部分しか見出せない自分。
・会社を好きになれる自分。
・会社を嫌いにしかなれない自分。
脱線しますが、「仕事」も同じです。
「営業」「企画」「清掃」「運転」など、さまざまな「仕事」が存在しますが、何をするにしても、
①楽しいと思える自分
②つまらないとしか思えない自分
がいるだけなのではないでしょうか。
同じ会社にいても、同じ仕事に就いても、良き部分や楽しみを見出せるかどうかはすべて自分次第なのです。
もし、そこまで試みてもどうしても見出せない……悪いところが9割以上ある……というような状態であれば、誰にとってもいいことはありません。
モチベーションの大半が「お金」と「生活」。これらに起因する「我慢」と「ぶら下がり」。これも良くありません。
「社畜」などという言葉も一般化しましたが、「愛社精神」を持つということは、決してこのようなことではありません。
「愛社精神」=「絶対的服従」?
間違ってもこのように解釈してはなりません。
たとえそれがご自身の判断基準であったとしても、どうしても理解・納得できないことは相談するべきです。法的におかしいことや筋が通っていないことに対しては然るべき主張をするべきです。
明らかに法的に……という場合は難しいですが、相談する際も言い方さえ気をつければよいだけだと思います。
礼儀を失した言動
感情的な言動
これでは、建設的な議論や人間関係性の維持・良化、眼前の問題解決や主張が受け入れられることや、その先の発展的な展開は期待できません。
帰属意識を上げることが大事だと思います。
企業様にとって「愛社精神(帰属意識)」の欠如による「三方にとっての悲劇」は回避したいもの。
帰属意識を高めるためにどんな施策を打つのか、ここが最初に来るポイントなのかもしれません。
皆さまにおいても、会社やそこに存在する人たちの悪いところばかりに目が向き、良いところに対する視座が……ということはありませんでしょうか。
会社は「理不尽」なものであるがゆえ、不平や不満は起こり得るものです。
なんとかできる・なんとかできそうなこともありますが、なんともならないことのほうが圧倒的に多いのが現実かもしれません。
「負の感情」に支配されそうになったときは、ぜひ御社の良いところについて思いを巡らせてみることをお勧めいたします。
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