甲州市の財政について一考

財政の健全化にもいろんなアプローチがある

 市税や交付税など毎年安定的に確保できる収入(経常的収入)に対する、人件費、扶助費、公債費などの経費(経常的経費)割合を経常収支比率と言います。甲州市は2022年度が90・3%で、この比率が高いと財政が硬直的とされ、投資や災害対応の臨時経費に充てる財源が少なく、市の経済性や利便性など成長を追求する事業が少なくなると評されています。
 毎年持続的に支出される経費は、前述に加え、給食費無償化(約2億1500万円)や、子ども医療費無料化(約8800万円)、予防接種助成(約7000万円)など市独自の事業もあります。これらは事業費も大きいですが、高い比率でふるさと納税寄付金が充てられています。
 返礼品市況や生鮮品の出来などに左右されやすく、制度改正も毎年のように繰り返され、ふるさと納税は安定的に確保できる収入ではありません。これに継続的な重要事業を依存することは財政収支の観点から危険と言わざるを得ません。
 既存事業の効果や目的の見直し、重複のチェックなどを進め、税収増や合理化を見込む事業も立案して、硬直的な財政運営を改めていかなければなりません。
 そのために求められる一つは、事業一つ一つの収支に目を向けることです。何を財源に事業をするのか、その財源を再び得て、さらに増やすために、この事業はどんな効果を生むのか、民間企業なら当たり前の費用対効果の視点です。

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