対照的な公共施設の利活用

6月議会で私は「旧大和中学校」と「ぶどうの国文化館」を例に「地域活性化と公共施設」を一般質問しました。両施設の問答は対照的な結果となりました。

 旧大和中の利活用について、当初「わだつみ平和文庫」の整理場所とした市の姿勢が転じ、地域の希望に沿う形になった経緯は。

 市長が委嘱した利活用検討委員会から報告が出され、公共施設マネジメント推進委員会等で検討し地域の要望に沿う回答をした。販売、飲食、宿泊、体験の拠点施設として一体的な活用が必要と判断した。

 大和と同様に地域から要望がある勝沼祝地区のぶどうの国文化館(以下文化館)の利活用については。

 公共施設活用検討委員会で協議検討し、わだつみ平和文庫(以下平和文庫)の展示に活用することとした。文化館に収蔵される郷土資料や出土遺物は旧レックセンターに移し、平和文庫を搬入、整理を進める。

 文化館の設置管理条例に抵触するのではないか。

 条例の目的「郷土の歴史、産業等に関する資料の収集及び展示を行い、地域文化の発展と産業振興に寄与するために設置する」に沿うものである。

 市の公共施設管理計画で現状変更(廃止を含む)を予定する祝公民館、祝ふれあい親子館、ぶどうの国文化館の集約が適切で合理的である。地域住民の声を聴かず、文化館を平和文庫の展示場所として将来的にずっと置くのか。

 平和教育の重要な資料である平和文庫を現在の場所から移すことは必要。整理し展示できれば勝沼図書館と平和文庫が相乗効果を発揮すると考える。

 

旧大和中、地域発の企画と行動で再生へ
 2022年3月に閉校した大和中の後利用について地域代表者の手で構想がまとまりました。
 構想は、顧客対象を登山者等の観光客、地域住民と定め、敷地内全てを活用し様々な事業の一体的展開を目指すもので、市提案の「平和文庫の整理場所」は地域に受容されませんでした。

区長会長や学識経験者、各種団体代表、市議、公民館長、一般公募など16名で組織される地域代表の活用検討委員会が数度のワークショップや意見交換、先進事例の視察を経て考えをまとめ、2023年1月、市長に報告しました。

これを受け市長は2月に「地域住民主体で地域の活性化に結び付く利活用の用途を基軸に考えたことを踏まえ、地域の意向を尊重することを基本とします」と回答、現在は委員会メンバー数人が発起人となり、具体化に向け約20名の新組織で大和支所や政策秘書課のサポートを受けて活動を開始しています。

大和地域には課題が様々あります。例えば、過疎指定が続くこと(現在は市全域が指定)や働く場確保、登山等の経済効果波及が不十分、などあります。

また近い将来には、新笹子トンネル開通に伴う道の駅立地課題や自然学校閉鎖計画等もあります。

旧大和中学校の利活用は地域の課題を様々受け、具体化されていくでしょう。

ぶどうの国文化館利活用は地域の意向は一切考慮されず進む
 
旧大和中が地域の手で再生へと進むのとは対照的に文化館は地元の勝沼・祝地区の意向を汲むことなく市の考えで進めています。

2021年12月24日と2022年11月9日の2回にわたり活用についての要望(具体案別添)を、時の区長会長や公民館長、社会福祉協議会支部長などが市長に手渡しています。

1回目の要望書は、区長会や公民館長連絡協議会、社会福祉協議会地域支部での話し合いや、地域有識者を募ってのプロジェクトチームでの検討などを重ね、提出されたものです。

2回目の要望書は、地域代表の求めに応じて副市長や生涯学習課長(当時)が「わだつみ平和文庫の整理場所」として口頭で回答したことを受け、改めて地域代表が提出しました。

いずれの要望書についても市からの文書の回答はなく、現在に至っており、地域と市の話し合いも一切行われていない状況です。

質問で指摘した通り文化館設置条例の目的に沿っているか疑義がある使用方法にも関わらず条例に反していないと主張する姿勢、また、公共施設の合理化やサービス向上を市自ら計画しているにも関わらず、計画に沿う意向を地域が示しているにも関わらず、それに反した姿勢など、市の対応は問題が多いのです。

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