格闘ゲームの観戦のデザイン3

格闘ゲームの『観戦』のデザイン

はじめまして。
格闘ゲームが好きなご近所と言います。

自分の好きなことにまつわるアウトプットをしてみたくなったので、今回は格闘ゲームの観戦体験について紹介したいことをまとめます。

目次
・『観戦』が面白くなってきた理由
・「最高の瞬間」を切り取る『鉄拳7』
・「誰でも分かる」を徹底した『ストリートファイターⅤ』
・「20年間」で洗練された『スマッシュブラザーズSP』
・おまけ「個人的にグッとくる観戦体験」


『観戦』が面白くなってきた理由

最近ではe-スポーツという大きな枠組みの中で、格闘ゲームの話題をよく耳にします。
その経緯についてはあまり詳しくありませんが、実感として「格闘ゲームの観戦」は段々と面白いものになっていると感じています。

そう思う理由をまとめてみました。


YouTube Live・Twitch といった「配信プラットフォームが普及して、SNSから簡単にアクセスできるようになったから


日清・ドコモ・Red Bullなどの協賛によって「賞金制の大会が開催されるようになり、それが番組として機能しているから


スポンサー契約を行って大会に臨む「プロゲーマーが増え、それぞれの選手を応援する文化が生まれてきたから


格闘ゲームが、観る人のためにデザインされ始めたから

① はゲームに限った話ではありませんが、どこからでも試合の中継を見れるようになったのは大きいコトだと思います。

② は大会運営に関わる多くの人々の努力によって成り立っています。
2020年もおそらく、オリンピックと並行して多くの施策が動くと思うので、個人的にも楽しみにしています。

③ も本当に大事ですね。応援したい人がいることで生まれるモチベーションはとても強いです。(自分はレジェンドのウメハラ選手と、若手のストーム久保選手を応援しています。)

そして、今回テーマにしたいのは、
④ 格闘ゲームが、観る人のためにデザインされ始めたから についてです。

ざっくりいうと...

「最近の格ゲー、観てるとめっちゃ盛り上がる」

ということを伝えていきたいです。


「最高の瞬間」を切り取る『鉄拳7』

これが一番分かりやすい例になります。

『鉄拳シリーズ』は、本物の格闘技を見ているような緊張感と、アクロバティックなコンボに見応えがある3D対戦格闘ゲームです。
賞金総額1000万円ほどのワールド・ツアーが毎年開催されており、昨年はパキスタン勢の圧倒的な強さが界隈を大いに盛り上げました。

私が紹介したいのは、
最新作の『鉄拳7』で実装された「スーパースロー」という機能です。

見て頂く方が早いのでこちらを御覧ください。
音アリだと、さらに面白いです。

※0:00~0:35

この「スーパースロー演出」は、
お互いが一撃でKOされる状態で、お互いの技が交差した時のみ発生します。

めちゃくちゃアツくないですか。。。

また、状況によってはお互いの技が当たらずに試合が継続する場合もあるため、このスローモーションの瞬間を、プレイヤー・観戦者・実況者が全神経を集中させて見守ることになります。

本物の格闘技では「リプレイ」によってこの瞬間を再現しますが、リアルタイムで「これから起きること」をスローモーションにするというアプローチは、ゲームでしか成立しないものです。


「誰でも分かる」を徹底した『ストリートファイターⅤ』

『ストリートファイターシリーズ』は、多くの2D対戦格闘ゲームに影響を与えた名シリーズです。(自分も一番ストを遊んでいます)

最新作の『ストリートファイターⅤ』は、全世界で遊ばれることを意識したシンプルなトンマナを徹底しています。

画像1

UIも、前作の荒々しいビジュアルから機能的な表現に変更されました。

その中でも自分が印象に残っている、「分かりやすさ」のためのデザインについて紹介をしたいと思います。

・画面端KO演出

画面端でKOすると、各ステージ専用のフィニッシュ演出が発動します。

画像2

いずれもコミカルでキャッチーな内容が多く、ゲームのルールを知らなくても、試合の結末が楽しめるような体験になっています。

・コマンドテクニックの制限

ちょっとマニアックな話になりますが、これを徹底したことにより「画面で起きていること」が圧倒的に分かりやすくなりました。

格闘ゲームは基本的に、相手の手に合わせて相性の良い手をぶつけるような「じゃんけん」的な遊びなのですが、時代を重ねるにつれてプレイヤーの操作技術も高くなり、それに合わせてシステムもだんだんと複雑になっていった経緯があります。前作の『ストⅣ』を例に挙げると...

『ストⅣ』では、プレイヤーが複数のコマンドを同時に高速入力することで、投げ・ガード・攻撃のどれかが状況に応じて発動する...といった複雑なテクニックが常套手段になっていました。(通称「仕込み」)

こういった「画面に表れない操作」は、上級者ほど当たり前のように試合で駆使するので、観戦する側にも最低限の知識が求められている状態でした。

『ストⅤ』では上記のようなテクニック・仕様を極力制限することで、プレイヤーの操作はそのまま「プレイヤーのやりたいこと」として画面に反映されるようになりました。

その結果、観戦している側は「画面で起きたこと」をそのまま感想にできるので...

「ここの読み合いでこの技出せるのはスゴイよね」
「この一瞬で対空技出ててるのヤバくない?」

という感じで、読み合いの結果や反応速度に対するシンプルな感想を言い合えることができるようになりました。

画像3

2018年にウメハラ選手が行なった、ガードと攻撃の反応速度を極限まで高めるために取ったスタイルは、「立ちっぱなしのガイル」という異様な光景を生み、ストシリーズを少しでも遊んだユーザーなら全員伝わるヤバさによってシーンが大いに盛り上がりました。


「20年間」で洗練された『スマッシュブラザーズSP』

対戦ゲームの中でも、『スマブラ』シリーズを遊んだことがある人がおそらく最も多いのではないでしょうか。

『スマブラ』シリーズの凄いところは、システムが完成されすぎていて20年間ルールが変わっていないことに尽きると思います。

「相手を画面の外にふっ飛ばしたら勝利」という明快なルールは子供でも即座に理解でき、長年多くの人に受け入れられてきました。

それと同時に、操作自由度の高さから様々な高等テクニックが生まれており、プロゲーマー同士の試合はまるで別のゲームを見ているようなスピード感になります。

そんな裾野の広いスマブラの最新作『スマッシュブラザーズSP』では、観戦者にとっての「分かりやすさ」がかなり洗練されたように感じます。

・ストックカウント

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プレイヤーが撃墜されるたび、画面いっぱいにお互いの残ストック数が表示されます。さながらサッカーのスコアのようで、観戦側も「今どちらが優勢になったか」を瞬時に判断することができます。

・撃墜カットイン

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ふっ飛ばした時、相手のストックが残り一つだった場合にこの演出が発生します。

後半になるにつれて高まっていく試合の緊張感が、この演出によってブワッ!と解き放たれます。会場もこのタイミングで大盛り上がりです。

『鉄拳7』の「スーパースロー」もそうですが、試合の盛り上がりどころをゲームの進行を止めてまで強調するというアプローチそのものが、すこし前までの対戦格闘ゲームには存在しないものでした。

ただこうした演出は、試合をしているプレイヤーにとってはストレスになってしまう可能性を孕んでいるため、調整が難しい機能だと思います。

『スマブラ』はゲームシステムが完成されている分、こういった機能の検討に十分な時間を取ることが出来ているのではないでしょうか。

・早期撃墜による緊張感

『スマブラ』のルールは観戦する側にとっても優秀で、それは「いつ決着がつくか分からない」ことにあります。

画像6

ほとんどの格闘ゲームでは、「HPゲージが0になったら負け」というルールが採用されており、これによって試合状況の有利・不利が明確に把握できるのですが、お互いにHPが多い状態ではあまり緊張感がありません。

『スマブラ』はプロ同士の試合でも一瞬で決着がつく場合があります。
それは「画面の外に出たら負け」というルールを利用して、早期撃墜を狙う選択肢が用意されているからです。

これによって観戦する方も、いつ起こるか分からない逆転劇に備えて、常に緊張感をもって試合を見守ることができます。


おまけ「個人的にグッとくる観戦体験」


・『ギルティギアXrd』のカメラワーク

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『ギルティギアシリーズ』は、"2Dにしか見えない3Dグラフィック"でキャラクターが動いています。
これを利用し、ふだんは2D視点で固定されたカメラワークを試合の展開に合わせて思いっきり変更することで、試合の展開をドラマティックに魅せることに成功しています。

2020年に最新作『ギルティギア サバイヴ』の発売を予定しており、PVの時点で演出がとんでもなく進化していることが伝わるので、早くプレイしたくてウズウズしております。

『ストⅤ』のARによる観戦

TGS2019のドコモブースにて出店されたAR技術デモです。

自分はこれが、対戦ゲームの観戦体験の完成形だと思っています。

これが大会現地会場のスクリーンスペースでデカデカと表示できるようになったら、動画配信ではなく会場まで観戦しに行くと思います。

5G時代の到来を楽しみにしています。


まとめ

格闘ゲームは、初めてから勝てるようになるまでにどうしても時間がかかるため、楽しむためのハードルが高いジャンルと言われがちですが、「観戦」なら誰でも等しく盛り上がることができます。

プロゲーマーの活躍や、大会の運営といった「ゲームの外側にある努力」だけではなく、プロダクトそのものが観戦体験を良くするために進化していることを、このnoteをきっかけに知って頂けたら嬉しいです。

今月の24日(金)~ 26日(日)には、格ゲーの祭典「EVO JAPAN 2020」が開催されますので、ぜひ配信情報をチェックしてみて下さい。

2020年もたくさんの試合を観て、一緒に盛り上がりましょう!

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