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ダイエットでタンパク質まで減らしてしまうと、逆に太ってしまうかもしれません

私は【予防のための栄養学】を伝えることをライフワークとし、ダイエットが専門ではありません。

ですが、タンパク質まで抑える方法でダイエットすることには、注意を喚起します。
返って太りやすい体質になってしまうばかりか、健康を害する可能性もあるからです。

そこで、正しいダイエットにはタンパク質の摂取が欠かせないことを記してみます。
(記事の文末に動画を貼っています)

タンパク質の減少は基礎代謝の低下

痩せたいと思った時に多くの人が考えるのが、食事制限ダイエットです。

体重が減る仕組みは、摂取エネルギーが消費エネルギーを下回った場合です。
食べる量を減らして摂取エネルギーを減らす、運動量、活動量を増やして消費エネルギーを上げる、またはその両方を行なって両者のバランスを逆にする、これらのいずれかになります。

食事制限で痩せるという考え方は、自分の食生活を見直して余分なカロリーを控えるという点では間違っていません。
が、安易に始めると痩せるどころか以前より太ってしまうという恐ろしい結果になる可能性があります。

問題なのは、カロリーカットするときにタンパク質の量まで減らしてしまうことです。タンパク質は筋肉の材料ですので、筋肉量が減って基礎代謝が落ちてしまうからです。

基礎代謝が低下しては痩せられない

基礎代謝について簡単に復習します。
基礎代謝とは体温維持(発汗含む)、心臓や肺を動かして生命を維持する、細胞の修復をするなど、生きるために必要なエネルギーのことです。

消費エネルギーの内訳を見ると、運動や活動に要するエネルギーはおおよそ2割〜3割で、じつは基礎代謝が6割〜7割を占めます。

そして、その基礎代謝量の内、22%を筋肉が消費しています。

ちなみに筋肉に次ぐのは、肝臓が21%、脳が20%、心臓が9%、腎臓が8%です。内蔵を合わせた58%に筋肉の22%を足し合わせると80%になります。

もうお気付きかもしれませんが、この中で鍛えられるのは筋肉だけです。
肝臓も脳も心臓も腎臓も鍛えて増やすことはできません。
ですから、基礎代謝を上げたいならば、筋肉量の維持や増加が重要です。

タンパク質が減ってしまうと、筋肉量も減って基礎代謝が落ちてしまうのは、こういう仕組みです。
健康的に痩せるためには、単に食べる量を減らせばよいというわけではありません。

理想的なダイエットは筋肉量を落とさずに体脂肪を減らすことです。
そのためにタンパク質の摂取量を維持すること、そして体脂肪を減らすために糖質の摂取量を7割から8割程度に抑えることが肝心です。

体脂肪を減らすのであれば脂質(油)を減らすべきでは、と思いたくもなりますが、実際には体脂肪を増やす最大の要因は糖質です。

糖質制限は慎重に

糖質を減らすと言えば、糖質制限ダイエットが一時期大いに流行りました。糖質の摂取量を7割から8割と言わず、さらに大幅に制限する方法です。
糖質制限ダイエットには賛否両論ありますが、私はどちらかというと否定的です。

というのも、そこまで糖質摂取を減らすと体内のブドウ糖はすぐに枯渇してしまいます。
すると、体にあるタンパク質や脂質をブドウ糖に変換して急場をしのぎます。
これを糖新生と言います。

糖新生を繰り返すと、脂質はともかく、タンパク質がどんどん削り取られます。削られるタンパク質のほとんどが筋肉です。

当然、基礎代謝が悪くなります。それが糖質制限ダイエットを薦めない理由です。糖質制限ダイエットでは、そのを見越した多めのタンパク質を摂取するのですが、タンパク質はあんまり増やし過ぎても、今度は消化が困難になるなど問題が残ります

適正なタンパク質を摂取して、できるかぎり自然な方法でダイエットするのがベターではないか、というのが私の考えです。

少なくとも言えるのは、糖質制限ダイエットは、見よう見まね自己流でやっては絶対にいけません。危険です。
やるのであれば、専門家の指導の元で行うか、十分に勉強してから始めてください。 

そこまでする気がないのであれば、やはり糖質を7割から8割程度にして、焦らず少し時間をかけてダイエットすることを薦めます。

朝食抜きは薦められない

もう一つの注意点としては、1日3食のうち1食を抜く方法、とくに朝食抜きダイエットは私はお薦めしていません。朝食を抜いて超空腹となる昼食は、たぶんドカ食いになるはずです。

その中には多くの糖質も含まれますので、血糖値が一気に上がります。

さらに超空腹の午前中には血糖値の低下(低血糖)を食い止めるために、血糖値を上げるインスリン拮抗ホルモン(グルカゴンなど)が分泌されます。
インスリン拮抗ホルモンが頑張って血糖値を上げているさなかに思い切り昼食が入ってきます。

すると血糖値は輪をかけて上がります。急上昇です。
危険を察した人体は、血糖値を下げようと肝臓や筋肉が血中のブドウ糖を取り込みます。

が、血糖値が一気に上がった場合、肝臓や筋肉の処理能力を超えてブドウ糖が余ってしまいます。
余ったブドウ糖は脂肪細胞に取り込まれて脂肪細胞が膨らむ、即ち太ってしまうわけです。

なお、朝食を抜くことに関しては、下の記事で6つのデメリットを挙げていますので、参考にしてください。

まとめ

正しいダイエットにタンパク質の摂取が欠かせない理由は、タンパク質は筋肉の材料なので、タンパク質を減らすと筋肉量が減って基礎代謝が落ちてしまうからです。

理想的なダイエットは、筋肉量を落とさずに体脂肪を減らすことです。
そのためにタンパク質の摂取量を維持すること、そして体脂肪を減らすために糖質の摂取量を7分から8分程度に抑えることが肝心です。

それ以上糖質を減らすと、体内のブドウ糖が枯渇した時に、体内のタンパク質をブドウ糖に変換します。すると筋肉量が減って基礎代謝が低下するので、注意が必要です。

朝食抜きダイエットも、昼食後の急激な血糖値上昇がもたらす血中ブドウ糖の余剰、それが脂肪細胞の膨張につながるので、私は薦めていません。

この記事の内容は動画もアップしています。合わせてご覧ください。

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