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鉄サプリメントの選び方と注意点

鉄サプリメントには、ヘム鉄、非ヘム鉄、そして国内商品には存在しないキレート鉄の3種類あります。

キレート鉄とは何か、キレート鉄を含めた3つの内どれを選べばよいのか、ということを解説します。

また、鉄サプリメントを飲むにあたっては大切な注意点がありますので、合わせてお伝えします。
(記事の文末に動画を貼っています)

誰にでもお薦めはしません

はじめに注意点からです。
鉄サプリメントは、マルチビタミンのように、誰にでも飲んでほしいというものではありません。

鉄サプリメントを飲んでほしいのは、閉経前の女性、痔や消化管出血がある人、激しい運動をする人。
加えて、鉄を増やした方がいい妊娠中、出産直後などに限定されます。

そうでない人が(吸収率が高く含有量の多い)鉄サプリメントを飲み続けると、鉄の過剰が懸念されます。

鉄が過剰になると、大量の活性酸素が発生します。 
この活性酸素が体内の臓器、おもに肝臓、または心臓や膵臓を攻撃します。  

ヘム鉄を中心に食事から

ですから、該当しない人は通常の食事から鉄を摂取するのがベターです。

食べ物にはヘム鉄と非ヘム鉄の2種類があります。

上の図のように、非ヘム鉄の吸収率はわずか2〜5%です。

タンパク質やビタミンC、ビタミンAを同時に摂ることで、吸収率を一定レベルで上げることができます。
が、やはりヘム鉄を意識して摂ることが大切です。

ヘム鉄はサプリではパッとせず

では、鉄サプリメントの選び方です。 

話の流れから推測すると「ヘム鉄サプリメントがいいのではないか」と思いますが、そうではありません。

鉄欠乏の人がヘム鉄サプリメントを摂取しても、鉄欠乏の症状は改善されないことがわかっています。
臨床の現場でもヘム鉄サプリメントは用いられません。

そのため、国内ではヘム鉄サプリメントはほぼありません。
ほとんどが非ヘム鉄のサプリメントです。

輸入品では、ヘム鉄サプリメントは(多分)まったくありません。

輸入品はほぼほぼキレート鉄

その代わりに人気があるのが、キレート鉄サプリメントです。

キレート鉄とは、そのままだと吸収がよくない鉄を、アミノ酸やクエン酸、フマル酸などでキレート(挟み込む)して吸収率を高めたものです。

その中でも吸収率が高いと評判が高いのが、アミノ酸の一つ、グリシンでキレートしたビスグリシン酸鉄のサプリメントです。

鉄欠乏の人が一定期間、ビスグリシン酸鉄サプリメントを飲み続けると、ほとんどの場合鉄欠乏が解消します(個人差はあります)。

5つの商品を一挙公開

では、ビスグリシン酸鉄の商品を、5社のメーカーに絞って紹介します。

最初は、ThorneResearch社の商品。

正面に、IronBisglycinate(ビスグリシン酸鉄)と書かれています。
裏を見ると1錠25mgと書かれています。

次は、Doctors Best社の商品。

こちらのボトルの正面には、FERROCHEL(フェロケル)という表記があります。
フェロケルは、米アルビオン社の商標です。特殊なキレート加工がしてあるとのことですが、それ以上のことは分かりません。

1錠27mgです。

3つ目は、SourceNaturals社の商品。

こちらもフェロケルです。
1錠27mgです。

次はBlue bonnet 社の商品。

含有量は、同じく27mg。
それ以外に、もう一つ18mgの商品もあります。

最後にNowFoods社の商品。

Now Foodsのビスグリシン酸鉄(フェロケル)は36mgと18mgの2種類です。

少しずつ増やすのが安心確実

以上5社の商品を紹介しましたが、選ぶポイントの一つが1錠当たりの含有量ではないかと思います。

今までに、貧血症状でクリニックから鉄剤を処方された人は、胃のむかつき、嘔吐、下痢、便秘等の副作用を経験されているかもしれません。

そのため、含有量の多い商品は二の足を踏みたくもなりますが、キレート鉄は多くの場合、胃にやさしく、下痢や便秘になりにくいと言われています。

だから、27mgとか36mgでも問題ないとは思います。
が、それでも慎重な人、または切羽詰まった症状が出ていない場合には、最初は18mgから始めて、27mg、36mgと徐々に増やしていくのが安心ではあります。

あとは、コスパも考えながら、いろいろ試してみるのもいいかもしれません。

価格ですが、円安が進行していることもあり、価格が変動する可能性があるので、ここでは表示していません。

リアルタイムで、iherbの通販サイトを見ていただくのが確実です。

今回紹介した5つの商品の通販サイトURLは、添付している動画の備考欄に載せていますので、よろしければご覧になってください。 

また、キレート鉄を使用した臨床例は、下の本に数多く出ていますので、関心のある人はお読みになって下さい。

飲む続けるのは注意が必要

最後に、再び注意点です。
キレート鉄(ビスグリシン酸鉄)のサプリメントは、いつまでも飲み続けるものではありません。

鉄欠乏の症状が改善緩和して体内に十分な鉄があるのに、それでも飲み続けると今度は鉄過剰になってしまいます。

それを避けるために、飲み始めたら3か月に1回くらいのペースでチェックすることをお薦めします。
チェックするのは、血液検査のヘモグロビンとフェリチン(貯蔵鉄)です。

フェリチンに関しては、これから書くと長い記事になってしまうので、また別にの機会で解説します。
お急ぎの方は先ほどの本、または下の本にも書いてありますので、これらの本で学習されてください。

まとめ

吸収率に比較的すぐれるヘム鉄ですが、鉄欠乏の人がヘム鉄サプリメントを摂取しても、鉄欠乏の症状は改善されないことがわかっています。

そのため、鉄を、アミノ酸などでキレート(挟み込む)して吸収率を高めたキレート鉄のサプリメントが存在します。

中でもアミノ酸の一つ、グリシンでキレートしたビスグリシン酸鉄のサプリメントがお薦めです。 

5社の商品を紹介しましたが、キレート鉄は、鉄剤と違って胃にやさしく、下痢や便秘になりにくいのが特長です。

それでも慎重な人、切羽詰まった症状が出ていない場合には、最初は18mgから始めて徐々に増やしていくのが確実です。

注意点としては、鉄サプリメントは、鉄不足でもなく、妊娠中、出産直後でもないのに飲む必要はないこと。
また、鉄不足が解消されたあとも飲み続けると、鉄過剰のリスク(活性酸素)があることです。

この記事の内容については動画もアップしています。合わせてご覧ください。


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