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美術コンプレックスを克服したくて

私はずっと美術コンプレックスを持っていた。
小中の授業でも、図工とか美術とか、あんまり好きじゃなかった。
正確には好きでも嫌いでもなくて、ただどうやったら上手に書けるんだろう~~って考えながらやってた。
大学生になると周りで休日に美術館に遊びに行く子がいたけど、私は山とか川とかに行く方が好きで、美術に興味を持ったことは一回もなかった。
 
多分本当に身近に美術がある人やアーティストの人は、わざわざこんなことを文章にすること自体違和感だと思う。
なんだけど、私がここ最近体験したことがあまりに自分の中で革命的だったから、どうしても残しておきたかった。
私のターニングポイントofアート。
もしかすると同じように感じている人にとっては、参考になるかもしれないし。
 
私がいかに美術に興味がなかったかは上でも書いたけど、象徴的なエピソードで言うと、大学時代に行ったイギリスとフランス。
世界で一番有名な大英博物館に行って、カフェでお茶してアヒルのおもちゃだけ買って出てきた女。
ロゼッタストーンもミイラも見ないでベンチに座って人間観察だけしてた女。
フランスでは世界のだれもが一度は夢見るルーブル美術館の前まで行って、1時間待ちと聞いた瞬間迷う間もなくエッフェル塔に向かった女。
今思えばなんてもったいないことをしたんだろう、って後悔。
もう一度フランスに行ったらルーブル美術館もオルセー美術館も行ってみたい。南フランスの方もいきたいし、モネやルノワールがいたカフェにも行ってみたい。
そのくらい今は美しいもの、本物を見たい、っていう気持ちがあるってことだ。
 
なぜこんなにも感覚に変化があったのか。
それは大きく3つの経験によりました。

 
1.原田マハさんとの出会い
2.『13歳からのアート思考』を読む
3.「自然と人のダイアローグ展」に行く
 

一つずつ簡単にどういうことか書く。
 

1.    原田マハさんとの出会い

原田マハさんは作家ですが、もともとキュレーター出身なこともあって美術の見識がある方。出版している本のジャンルでいうと、美術、旅、ヒューマンドラマが多い。もともと友達が紹介してくれて、旅とかヒューマンドラマ系の本を読み始めたら、はまった(マハだし?)。そこから美術系の本も読み始めた。全然美術のことは分からなかったけど、そこに出てくる作家はみんな人間的で共感できることも多かった。アーティストを身近に感じた瞬間だ。

 
2.『13歳からのアート思考』を読む

3で書く企画展に行くにあたり、この美術コンプレックスをどうにか緩和してから行きたい。またアウェイな気分を味わうのは嫌だ。それなら美術館に行く前に準備をしようと思い、購入した本。結構有名みたい。
この本は私のような人を対象に書かれている本で、「美術ってなに?」「美術館行ったらどうやって絵を見ているの?」「アート思考ってどういう考え方?」というとってもシンプルで、でも誰も教えてくれないことを教えてくれる。この本を読んで、自分とは全く関係のない美術という世界が、自分の生活の中にもあることが分かった。私は一人暮らしを始めてからインテリアに全くこだわってなかった。でもこの本を読んでからやたらインテリアが気になるようになった。そのくらい、美術的思考は誰しもが持っている感覚で、とても遠い存在だった絵画との接し方のヒントをもらった。同じクラスにいる憧れの女の子が、席替えで斜め前に座ることになった、その子と話すには?大事なのはまず挨拶と笑顔。そんな感じ。
 

3.「自然と人のダイアローグ展」に行く

西洋美術館の企画展だった。誰の絵があるとかは知らなかった。でも自然で遊ぶこと、空を見ることが大好きなので、この企画展には興味があった。あと会社の憧れの先輩が行っていたのも大きい。
2で読んだ本の知識をいざ実践する格好の機会だ。美術館での心得を学んだ私は、もううつろな目で絵を見ながらただ美術館の中を散歩する女ではない。気合は十分だった。そして、肝心な効果は絶大だった。
モネ、ルノワールを始め印象派を代表する巨匠たちの絵。それはそれは素晴らしかった。圧倒された。
光にあふれた数々の絵、盛り上がるキャンバス、絶妙な色使い。
今回「風景画」がメインだったのも私的には良かったのかもしれない。もし肖像画展だったらこれほどの衝撃はなかったかも。
19世紀だろうと21世紀だろうと、自然はいつでも変わらない美しさがあり、人を感動させる。
美術の巨匠らが見てる景色は私が普段見ている景色と同じだった。それをこんな風に切り取ることができるんだ!
そういうわけで、この企画展は私の中では大ヒット。無事絵画とお近づきになることができたのでした。
 
 
この3つの経験を踏まえ、私は今やすっかり美術に興味を持つ一人に仲間入りだ。
この後も色々インプットは欠かしてないけど、特に『印象派という革命』『ジヴェルニーの食卓』『世界のエリートはなぜ美意識を鍛えるのか』というのは良かった。印象派や画家、美術のことをより勉強することができる。
 
まだまだ”アート”という入り口のドアを少し開けただけに過ぎない。でもアートは一生をかけて楽しめる。
これからも、自分なりのアートの見方を探求したいし、自分の好きなものに対するアート思考の発揮に努めたい。

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