GOD JUL!
旅をしたのは、ちょうど1ヶ月前になるのか。
帰りの機内、
どう頑張っても涙と鼻水が止まらなくなってる自分がおもしろかった。
ハンカチを左手に握りながら音楽を聴いていた。
目を閉じれば涙は溢れてこないかな、
そう思って目を閉じるけど、
目を閉じるとそこには貴方と旅した街と、
貴方の顔が映るからさらに涙が込み上げてきて仕方がない。
幸せと寂しさで感情が混ぜこぜになっていた。
昨年のクリスマスの一週間、
僕はあなたのいる北欧の地、
デンマークへ卒業旅行と題打って旅行をした。
人生であなたと出会っていなかったら、
こんな国に縁などなかっただろう。
だから、
あなたに連れてきてもらったと僕は思っている。
この場所へ僕は導いてもらった。
僕はコペンハーゲンの空港で見つけた貴方を忘れない。
着いた時、窓から外を覗くと雨だった。
入国審査を済ませ、
スーツケースを受け取り、到着ロビーへ出た先。
出迎えて待ってくれている場所を伝えてくれていたけど、
僕がそれを間違えていたせいで、あなたが思ってた場所と違う方向から僕は登場することになった。
だから、僕の方が先に貴方を見つけた。
少し不安げな表情で、でもどこか気持ちが高まっているような表情で出てくる人の流れを見つめている貴方の姿を僕は先に見つけた。
近づいていき目が合うと、晴れた顔で駆けつけて
ハグをしてくれた。
その時はじめて自分は今、
会いにきてやっとデンマークにいるんだ。と感じたし、
それと同時になんだか家についたような安心した気持ちにもなれた。
もうこの時点で僕の旅の目的はほとんど達成したものだった。元気な姿で再会できた。それがなによりも嬉しかった。
そこから先の貴方との旅は本当に楽しかった。
貴方が今までみた世界を覗ける、
そんな感覚がしたし、
そして貴方の見る世界を、
ほんの少しだけ変えに行くことができる、
そんな感覚もした。
温もりに包まれていた。
教会で座っていた時間も、
一緒に飲んだカプチーノも。
そしてこの旅でもうひとつ強く感じたこと。
それは、貴方はほんとにすごい人だということ。
自分の話にはなるが、僕も日本で一人暮らしを始めて、
なんだ生活なんて簡単じゃんとか思い始めてたけど、そんなことはなくて、まだまだ自分には生きてく力が足りないんだということを感じた。
僕は今まで、
できると思えるような選択しかしなくて、
(というよりも、できない、自信が無い、怖いと思う選択をしなかっただけだった。)
失敗しないような、
できそうな成功だけを積み重ねて生きていた。
そのおかげで本当は脆いくせに殻を被った自信みたいなものを持つようになった。
ただ、できることの積み重ねで、できることが増えていったことはたしかに感じている。
でも、こんな生き方をしてきたせいで、
勇気を持った選択ができなくなってしまった。
失敗してでもいいからやってみようができない。
震えて、怖くて手足も、口も動かない。
中学生のころ周りの大人たちが言ってた、
大人になると失敗する怖さに負けて挑戦しなくなるから、いまのうちにいっぱい失敗しておきなさい。
もう手遅れかもしれないがこれが今、
身に染みて分かるような気がする。
ただ自分の場合は子どもの頃から失敗を避けていたようにも感じる。
それも幸いなことにスポーツも勉強の分野も取り組んでみたものを頑張ることは好きだったから、平均的にはいろいろ要領を掴むことはできて、
決して極めるということまではいけなかったけど、(自分の中で)恥ずかしくないと思うラインには常にいられた。
だから挑戦をしてみようという気持ちより、
やれそうだからやってみようの方が多かった。
勇気を持った選択をする貴方のことを
ほんとうにすてきに思う。
そして何とかできると思える強さと、
あとは謙虚さ。
勇気があるから、いろんな経験をして、
いろんなものを見てきたからこそ、
そんな姿でいられる。
僕はそんな貴方の凄さを肌で感じた。
世界は僕1人で到底生きていけない環境ばかりだった。
でも今回たくさん勇気をもらえたし、
僕もそんな広い世界で生きてみたいと思った。
まずは貴方が帰ってくるまでの間強く生きていよう。
そしてまた貴方と旅をしよう。
日本に着いて、僕は前を向いて歩いた。
駅のストリートピアノで少年が奏でる『英雄ポロネーズ』を背中に流しながら。
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