僕は先に夜を迎えて
どんな最期を迎えたいか。
最期を迎えるならどこがいいか。
どこだっていい。
どこでだって白いお花を咲かせられる。
そうやって逝くことができるくらいに、
この世界の彩りを手に掬って生きたい。
きっと僕は先に夜を迎える。
山の上からお月さまを望む。
あなたがちょうど眠りにつくころに、
僕は来世を迎えるのかもしれない。
僕は目覚めたときは白いお花となって——
空が曇った日。
あなたは遅れて雨となり、
また僕と出逢う。
きっと不思議に思う。
その日の雨雲は白い。
夕暮れを迎える頃まで降り続いて、
ようやく架かった虹は東のほうにある山に。
それはちょうどあのとき、
僕がお月さまを見上げた山だ。
まるで、空に近いその場所から
世界に彩りをあたえているみたい。
あなたは雨のカーテンに隠れていく。
その夜、花は閉じた。
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