"ジャニーズフェイス"だけじゃない、堅実なプレーでチームに貢献する"右サイドのスペシャリスト 宮原和也"

12戦7勝3分2敗で21ゴール8失点と風間体制3年目のグランパスがJ1リーグを席巻している。FWジョーやMFガブリエル・シャビエルらの攻撃陣に目が行きがちだが、王者”川崎フロンターレ”に引けを取らずエキサイティングな試合を展開した名古屋の影のキーマンである宮原和也にこれから目が離せない。

順風満帆な育成年代から一転プロの世界での苦悩

2008年、サンフレッチェ広島ジュニアユースに入団。同期には川辺駿、大谷尚輝が入団。攻撃的なミッドフィルダーとして活躍し、2010年クラブユース選手権(U-15)3位進出に貢献している。中学3年ではボランチとしてプレーした

2011年、川辺・大谷らと共にサンフレッチェ広島ユースに昇格。当初は攻撃的MFでプレー。同年度の山口国体少年の部3位に貢献するがこの大会ではボランチを務める。2011年高円宮杯プレミアでもベンチメンバーとして大会制覇に貢献。2012年高2の時に、ディフェンダーに怪我人が続出したことからCBにコンバートされレギュラーを獲得し2012年高円宮杯プレミア連覇に貢献した。同年U-16日本代表に選出され、AFC U-16選手権2012ではCBとしてキャプテンを務めた。2013年高3から川辺・大谷らと共にトップチームに2種登録選手として登録され、同年3月25日川辺と共に所属はユースのままトップチームとプロ契約を結んだ。なお高校年代選手のプロ契約としては高萩洋次郎・岡本知剛以来3例目であるが、ユース所属でのプロ契約は初のケース。ただこの年はトップチームでは公式戦に出場できなかった。また、同年の2013 FIFA U-17ワールドカップにU-17日本代表の一員として3試合出場している。同時に活躍した広島ユースでは同年度のクラブユース選手権(U-18)準優勝、同年度のJユースカップ準優勝に貢献した。2014年、正式にトップチームに昇格。同期入団は、川辺、大谷、高橋壮也、皆川佑介、茶島雄介、ビョン・ジュンボン。昇格当初はボランチとして考えられていたが、3バックの一角としてレギュラー選手不在の穴を埋め出場機会を得た。2016年、1stステージではボランチとして出場機会を増やしたが、2ndステージでは森崎にポジションを奪われてベンチメンバーとなった。サンフレッチェ広島トップチームで絶対的な地位を確保できず、2013年~2016年におけるリーグ戦での出場試合数はたったの20試合。プロの世界の厳しさと熾烈なレギュラー争いとの中で苦しみ、もがいていた。

大きな決断~広島から離れ新たな地に活躍を移す

2016年12月、宮原に転機が訪れる。当時J2に所属していた名古屋グランパスに期限付き移籍で加入。守備のユーティリティ性の高さを評価され、開幕戦から3バックの一角を任される。その守備センスと育成年代で培った攻撃センスに加え、戦術理解力の高さから風間八宏監督に重宝され、J2で41試合に出場した。契約を1年間延長し、監督やチームメイト、サポーターの信頼をがっちりとつかみ、2019シーズンから完全移籍で加入。好調を続ける名古屋の重要なピースとなっている。

王者フロンターレの攻撃力に屈しない守備テクニック

等々力陸上競技場で行われた第12節川崎フロンターレとの試合で、前節同様右サイドバックで出場。11節の浦和戦でPAエリア内で逆サイドからのクロスをヘディングでジョーの得点をアシストした。川崎戦でも持ち前の攻撃力に注目して見ていたが、この試合でより光ったのは、サイドバックのお手本のような守備だった。マッチアップしたのはリーグ屈指のドリブラー”長谷川竜也”だった。彼のスピード溢れる果敢な仕掛けに引かず、右サイドの主導権を握らせなかった。彼のようなドリブラーを完全に抑え、長谷川にパスを選択させるほどだった。ここでは宮原の守備センスが輝いたシーンを2つ紹介する。

①14分 裏に抜けたスルーパスへの完璧な対応

登里が右サイドペナルティエリア付近でボールを持つと、長谷川が宮原の背後のスペースへ動き出す。登里のスルーパスは宮原の内側を抜け、決定的なチャンスになりかけるが、ボールへ素早く反応。反転し、長谷川が触る前にスライディングでゴールキックに逃れた。

②48分 縦への突破を許さない巧みな体の使い方

ヘディングでの競り合いのこぼれ球が長谷川の元へ。長谷川はヘディングで宮原の頭上を越え、またしても背後のスペースを狙う。ここでの宮原の対応も完ぺきだった。先に長谷川に体をぶつけ、勢いを吸収し長谷川の前に体を入れ、キーパーへバックパス。自陣深いエリアでのプレーだったため、スローインでもリスクは高くなるが、マイボールにすることでチームへ安定感をもたらした。


そのほかにも、相手の攻撃を防ぎ味方にパスを確実につけたり、インターセプトをそのまま味方へのパスにするなど、支配率を高めるスタイルを施行する風間グランパスには欠かせない存在であることは間違いない。
これらのプレーから、目や頭から得た状況を認識し最善の対処法を実行するスピードが速いことが宮原の守備力の高さにあると考えた。


攻め上がりだけではない司令塔にもなれるスキル

サイドバックの選手は前線の選手を追い越してクロスを上げるだけでは現代サッカーでは生き残れないかもしれない。宮原は従来のサイドバックがこなしていた攻め上がりだけでなく、さらに強みを持っている。

味方のストロングポイントを効果的に生かす知性的なフリーラン

宮原は縦の関係を築くMFによりフリーランの仕方を変える。まずはシャビエルと組む時。シャビエルは精度の高い左足を武器にサイドから中へポジションに絞ったり、カットインで中に切れ込み、クロスやシュートを得意とする選手である。そんなシャビエルの強みを存分に生かすべく、シャビエルと対峙する相手DFを迷わせるため、外側をオーバーラップ。次は、相馬勇紀とのパターンだ。相馬の持ち味はスピード溢れる縦への積極的な仕掛けだ。相馬はドリブルを開始する位置はサイド一杯に開く。そこで宮原が外側を回って攻めあがっても、相馬のドリブルのコース狭くするだけである。果敢に仕掛ける相馬の突破力を最大限発揮するために相馬の後ろにポジションを取り、常にパスを受けれるようサポートする。最後に前田直輝と組む場合。前田は精度の高い左足とスキルフルなドリブルで相手ディフェンスの脅威になる。前田のスタートポジションは割とサイドに開く。サイドの幅を取った前田が左足でボールを持つと、寄せてきた相手サイドバックの裏を宮原がインナーラップをかけ、深い位置に侵入する。

上記のように組む選手によって、状況によって適切なポジション、フリーランができるサイドバックは希少価値が高く、良いサイドバックの条件でもある。

風間監督に重宝される一番の理由

宮原はパスをつなげるサイドバックだ。12節川崎フロンターレ戦で記録したショートパス成功率は96%(23本中22本成功)
ロングパス成功率は80%(5本中4本成功)*自分調べ
これほどの高いパス成功率を記録することは容易ではなく、現代のフットボールではサイドバックがボールを奪う狙い目とされるだけに相手のプレッシャーが厳しい中で、正確に確実にパスをつなぐ、ボールロストしないことは大きなストロングに違いない。ポゼッション率を高めるために輪舞のようにパスをつなげるのだが、常にトライアングルを形成するポジションを取り、奪われそうになった時のパスの逃げ場として機能している。



内田篤人の正統後継者?!


甘いルックスであり司令塔サイドバックの宮原は圧倒的な女性人気を誇っていた元日本代表内田篤人(鹿島)のような存在になれる逸材である。名古屋が好調を維持かつ、宮原がハイパフォーマンスを継続すると、自ずと代表への扉が開かれると思う。、代表にアイドル顔負けのイケメンがいれば女性ファンが増え、日本サッカーの人気も高まると考える。プレーもそうだが日の丸のユニフォームに袖を通す姿を待ちわびている人は少なくないはずだ。



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