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あなたのストレス、「記憶」のせいかも?

日々の生活で溜まるストレス。あまりにもストレスが溜まってしまうと、うつ病の発症などにつながることがありますが、同じストレスを受けても人によって影響はさまざまです。

よく考えると、これって不思議じゃありませんか? この違いは一体どこから来るのでしょうか。

実は4月20日、東北大学の佐々木拓哉教授と東京大学の池谷裕二教授の研究チームが、「記憶」によってストレスの影響の大きさが左右されるかもしれないという興味深い研究結果を発表しました。

あくまでもマウスを使った研究ではあるものの、論文では、「他のマウスに攻撃される」というストレスを受けたときにうつのような症状が出やすいマウスの条件を確認。その上で、記憶を司る脳の「海馬」の反応を調べたといいます。

すると、ストレスを与えたときに「記憶の定着」に関わる脳波が強く確認できたマウスほど、うつの症状が出やすくなっていることが分かりました。論文ではさらに、「記憶の定着」にかかわる脳波を意図的に打ち消した場合には、うつの様な症状は出にくくなったと報告しています。これはつまり、「ストレスを受けた記憶」の定着が、うつのような症状を現れやすくするリスクを高めている可能性があることを意味しています。

言われてみると、確かに強いストレスの記憶が鮮明な人ほど、精神的にやられやすそうです。ただ、これまで実験的に調べられた事例はほとんどなかったのだとか。

もちろん、今回の研究はマウスで行われたものであり、ヒトで同様のことが言えるかどうかは分かりません。しかし、脳の機能などがよく似ていることから、ヒトでも同じようなことが起きている可能性がある、と論文のプレスリリースには記載されています。

なお、論文ではマウスに強制的に運動をさせたところ、記憶の定着にかかわる脳波が抑えられ、さらにうつのような症状も減ったと報告しています。人間のうつ症状を治療する上でも運動が推奨されるケースをみかけることがありますが、あらためてストレスが溜まったときには運動をしてみると良いのかもしれません。


※こちらはBusiness Insiderの無料会員用に用意したコラムです。三ツ村は金曜担当として、日々の取材で見聞きしたことや面白い研究論文などについてさらっと解説しています。

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