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せっかく褒められたのに…

せっかくverdeさんに「タカーシーは続けられる人」と褒められたのに、私が交換日記を止めてましたね。申し訳ないです。

その間何をしていたかと言えば、体調不良と読書の狭間でフラフラしていました。その中の2冊ほどをご紹介できればなぁと思います。

まず1冊目が、御子柴善之先生の書かれた中高生のためのカント入門の本。

タイトルにある通り、「自分の頭を使って考えてみよう!」という内容の本なんです。それもドイツの哲学者カントの著作を使って。これがまた、本当に中高生向けの本なのかと思うほど難しい。難しいというより細かい。カントの著作はあまり読んでこなかったのですが、細かいことだけは理解していました。いや、しているつもりでした。

想像以上に細かいのです。緻密に精読した結果、書かれた本なのです。カント研究者って細かい人が多いなぁとは思っていたんです。ちょっと変わってるなぐらいの気持ちで。まぁ、他分野の研究者なんて、そう思われているんでしょうけどね。「よくそんな問題に食いつくなぁ」と不思議がられているんでしょうけど、カント研究者はまた別格。ヴィトゲンシュタインという哲学者がいるのですが、その研究者たちも細かい。私の中で2大細かい研究者なのですが、これがまた難しいときたものですから、お手上げです。

カントには『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』という3大著作があるのですが、私には読めそうにもありません。だって、あんなに細かい精読は1人ではまず無理ですもの。

でも、良い本でしたよ。骨太な入門書ですが、優しい言葉で書かれていて初めて哲学に触れるなら格好の入門書だと思います。その上で、私はカントは性に合いそうにもないから今は読むのをやめておこうと思いました。老後の楽しみにとっておきます。

続いては、週末北欧部chikaさんの本。

北欧こじらせ日記

こちらの本は熱かった。北欧に関する本なのに熱かった。なんといっても筆者のフィンランドへの情熱がすごい。大好きなフィンランドにどうすれば関われるか、そして住むためにはどうすれば良いのか悪戦苦闘する日々が描かれています。

ちょっと私もこの本の熱量にうかされて、海外で働きたいなぁと思ったぐらいです。もう一度El Pasoに関わるにはどうすれば良いか、考えちゃいましたもん。

ただ現地に住むのは難しいだろうから、「エル・パソ ニュース」とか言って、現地の様子をみんなに紹介することはできるかもしれないなぁなんて思っています。

あとは、福島についても思いを馳せました。東京にいると福島県のことがなかなか耳に入ってこないので、noteを使って福島県の現状を紹介するのも楽しいかな、なんて考えています。

そんなことを考えさせるぐらい情熱的で素敵な本でした。コミックエッセイなので、読みやすかったというのも良かったですね。

こんな感じで本を読んだり、寝込んだりしたりしていたらすっかり交換日記が自分の番だということを忘れていたわけです。これからはちゃんとやっていきます!忘れるなよ、自分よ!

というわけで軽い近況報告と本の紹介でした、それでは、プチ・フランス語講座をお楽しみください。


アラン・レネ監督の映画に『二十四時間の情事』(原題: Hiroshima mon amour イロシマ・モン・ナムル)というのがあります。『広島、我が愛(私の愛する人)』という意味です。amour (アムル=愛)は男性名詞なので、「私の」という所有形容詞は mon となり、そのあとに母音で始まる名詞 amour がきているので、リエゾンが起こり「モン・ナムル」となります。

劇中で主役の岡田英次は、彼女のエマニュエル・リヴァに向かって何度もこう言います。

Tu n’as rien vu. (テュ ナ リヤン ヴュ)

「君はなにも見なかった」という意味で、動詞の過去形が出てきます。

tu は「君は」という主語の人称代名詞で、n’as はne と as という2つの単語がエリジオン(母音字省略)でくっついたものです。ne 動詞 pasという風に動詞をne とpas で挟むと否定形になりましたね。今回は ne 動詞 rien という「なにも〜ない」という全面的な否定形が使われています。

このne 〜 rien で挟まれている as は動詞 avoir(持つ)の二人称の活用です。覚えてます?

avoir (〜を持つ)の活用表

tu as (テュ・ア)で「君は持つ」という意味になります。そして、今回のTu n’as rien vu. の表現で1番重要なのは、as vu なのです。

vu は、動詞 voir(ヴワル=見る)の過去分詞です。この過去分詞は過去形を作るのに必要で、すべての動詞に存在します。

それでは、過去形を作るにはどうしたら良いか?それはas vu のように、主語に対応した avoir の活用形と、過去にしたい動詞の過去分詞を並べれば過去形になります。

この場合、avoir には「持つ」という意味はなくなって、過去形を作る助動詞となるのです。英語の助動詞とはまったく違うのでご注意を。

こうして、tu as vu (テュ・ア・ヴュ)と言えば、「君は見た」という過去を表現することができます。このように、助動詞 avoir と、過去にしたい動詞の過去分詞を複合させて作る過去形を、『複合過去』といいます。

Tu n’as rien vu. に戻りましょう。Tu as vu (君は見た)という過去形に、ne 〜rien(何も〜ない)という否定の表現になっています。複合過去を否定形にしたいときは、ne 〜 pas(ネ・パ 〜ない)の場合でも、ne 〜 rien(何も〜ない)の場合でも助動詞 avoir だけを挟みます。

Tu as vu. (君は見た)
Tu n’as rien vu. (君は何も見なかった)
Tu n’as pas vu. (君は見なかった)

ということで、今回は助動詞 avoir と動詞の過去分詞を使った『複合過去』と、「何も〜ない」というne 〜 rien を学びました。次回も新しい助動詞が出てくるのでお楽しみに。それでは〜。


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