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【建築】構造設計は食いっぱぐれないのか?

先日、会社にインターンの子が来ました。
なぜ構造?と尋ねると、建築士のお父様にこう言われたそうな。

" 構造設計は食いっぱぐれないから "

親に言われて…?構造興味あるとかではなくて…?
とか疑問は心にたくさん浮かんだけれど、それは置いておいて。


はて…
構造屋は本当に食いっぱぐれないのか?
これについて、ちょっと考察してみたいと思います。

構造設計者って、どのくらいいるの?

昨年のデータになりますが、現在建築士の登録状況はこのような感じだそうです。

  一級建築士     約38万人
  構造設計一級建築士 約 1万人
  設備設計一級建築士 約 6千人

(公社)日本建築士会連合会 
https://www.kenchikushikai.or.jp/touroku/meibo/tourokusu.html

割合的には、一級建築士のうち、構造一級を所持しているのは2~3%いうことになります。
ただし、すでにリタイアされている方や、免許は取らず設計している方も多いので、この数値はあくまでも目安です。

数字的に見ると、希少価値は高そうな…

地方の構造設計者の状況

さて、私は地方の組織設計事務所で構造設計をしていますが、構造設計者はやはり人材不足感は否めないです。
講習会に行くと、大体同じメンバーで、みんな顔見知りな感じです。

ちなみに、女性なんてほぼいない…!
「女で構造、なんと奇特な…」と、他事務所の方によく驚かれます。
(ちなみに「奇特」は、優れているの意味ではなく、珍しく、不思議なさまという意味の方だと思われます笑)

構造設計、本当におすすめ?

割合や周囲を見ていると、確かに人手不足で職を失うことはないかもしれません。
ただ、構造設計者は、それなりの「覚悟」が必要だと思うんです。

構造設計のしんどさ

これに尽きると思います。

  " 人命を背負うこと "

普段の仕事では、意匠設計者に「柱小さくならん?」とチクチク言われながらも、経験と勘を総動員して、必死に数値をいじって、あーでもこーでもない…と言いながら、「これでおさまった!!」というところで設計をまとめていきます。

もちろん全ての物件で、数値的にもOK、感覚的にもOKというところまで、自信を持って設計しています。

ですが…
  地震が起こるたびに、
    「自分の設計した建物の下で、
        人が亡くなったらどうしよう」

と不安になるのです。

数値はあくまで過去の地震に基づいた仮定値であり、どれだけ安全率を見込んでも、設計の想定内に納まる保証はありません。

耐震工学はこれまでも
 「想定外の地震が発生」→「基準の改正」
を繰り返しながら発展してきたという歴史があります。

今回の地震が「想定外の地震」だったら…
自分の設計のせいで、人の命が失われたら…

そう思うと、本当にしんどい仕事だなぁと思います。


おまけ

地方の構造設計者の転職が、困難極まりない…という件について。

世間が狭すぎる!!知り合い多すぎる!!
今のところを辞めて他に就職しようものなら、今の事務所の人と必ず顔を合わせることになるので、めっちゃ気まずい。
独立するとなると、本当に円満にやらないと、県内の仕事を取るのは本当に難しいんじゃないかと想像します。

うーん、どうなんだろう…
独立した場合、地方の仕事に縛られず、全国からお仕事なんて可能なのかしら…
それこそ、食いっぱぐれてしまうのでは?(´;ω;`)
という不安で、現状に縛られている状態でございます。

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