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2022年最高だった映画・ドラマ

今年は全然見れなかったなー!NetflixやAmazonで見た作品も多かったかも。それでも俺はやるぜ!ドラマも映画もごっちゃで書くぜ!!

キングスマン ファースト・エージェント

大人気シリーズキングスマンが結成された時の前日譚作品です。まあ結成の理由なんてのはどうでもいいんで飛ばしますが、この作品の一番いいところはラスプーチンなんですよ。なんでだったかよく覚えてないんですけど、ラスプーチンと戦うことになるんですね。このラスプーチンのアクションがすごかったんです。ラスプーチンといえば歴史上唯一「怪僧」という称号がついてるのですが、映画に出てくるときはその名の通り怪しさ満点で、すっごいふわふわしてるというか、動作がゆっくりなんですよね。しかし、キングスマンのラスプーチンはめちゃくちゃに速いんです。普段のラスプーチンの5倍は速い。下手したら10倍いくかもしれません。薬キメまくったような感じのラスプーチンが、音楽に合わせながら高速で無限に回転しながら襲ってくるんですよ。最高じゃないですか。あと5回くらい出てきて欲しいと思った敵役は初めてです。ぜひ高速無限回転ラスプーチンを楽しんでください。高速無限回転ラスプーチンってなんですか。話も壮大歴史与太話感があったのでそういうのがお好きな人はぜひぜひ。前作見てなくても楽しめそう!

どんな僧侶やねん


スティルウォーター

どん臭い役をやっているマット・デイモン、好きなんですよね。『ボーン』シリーズとか『オーシャンズ』シリーズとか、割とシュッとした感じで当人はやりたいのかもしれないんですけど、少なくとも私はそんなものは求めてないんです。『インターステラー』の科学者役とか、『最後の決闘裁判』のすげえ頭悪い騎士とか、そういう役をマット・デイモンにやってほしいんですよ。その点、この映画でのマット・デイモンは最高でした。アメリカの田舎町スティルウォーターに住むビルをマット・デイモンが演じるのですが、このビルの娘がフランスで殺人罪に問われるわけなんですね。それで、娘を助けるために右往左往する物語です。外国どころかほとんど州の外にも出たことがないんじゃないかというビルの演じ方が、めちゃくちゃいいです。イモっぽいのが合うわ~、都会が似合わないわ~。永久にトラクターとか乗る映画に出て欲しいです。またこれが娘も全然かわいくないんですよね。話がそれましたが、異国でままならない状況と戦うマット・デイモンが素晴らしく、ストーリーも最後に一波乱あって面白い映画です。田舎者マット・デイモンを堪能しましょう!農協のキャップかぶってて欲しい!

ダサくていいね!!!


ハウス・オブ・グッチ

アダム・ドライバーの鼻がデカい!!!実際に起きたグッチのお家騒動を描いた作品で、面白かった。グッチの御曹司に生まれたアダム・ドライバー演じるマウリツィオがいったんは労働者となりながら、また家業に戻っていくという典型的なボンクラ2代目物語です。実際の話なのですが、筋書きがとんでもないので、事実は小説よりも奇なりですよね。放浪してる過程で育ちは悪いけどエロい女のパトリツィアと恋をして結婚するのですが、それを演じているのがレディ・ガガ。パトリツィアの教養のなさがだんだん嫌になって、マウリツィオは離れていくわけですが、そこでのグイグイ攻勢がすごい。このガガの猛嫁具合が一番すごいんですよね、この映画で。「金を払え」「離婚するな」「金を払え」「別れるな」「金を払え」というガガ嫁10連コンボ。段々年を取っていく設定なので肉付きがよくなっていって、もはや途中から泉ピン子にしか見えなくなりました。ぜひ渡る世間はガガばかりをご覧ください。それと、映画好きの女子友人から「映画好きの女子はみんなアダム・ドライバーが好き」と断言されたのですが、本当なんですか。俺の中では「鼻と体がデカい男」という認識しかないのですが、あの鼻がたまらなかったりするんでしょうか。「文化が違う!」としか言いようがありません。ちなみに今回の映画では労働者時代のマウリツィオがサッカーをプレイするシーンがあり、イタリア~~~!と感じることができます。もうサッカー映画でいいと思います。あと、ジャレッド・レトが面白コスプレしてるので、「よっ!面白いよ!」と声をかけてあげてください。

泉ガガ子


さがす

思うてたんと違う!!!限界貧困兄妹物語(仕事を首にされて金に困った兄が、精神障碍者の妹に売春をさせて金を稼ぐ)の『岬の兄妹』で視聴者を地獄に突き落とした片山慎三監督の作品ということで、だいぶ期待して見に行ったのですが、全く思ってたのと違う映画でした。懸賞金がかかった連続殺人犯を見つけた智は、娘の楓に懸賞金が欲しいので捕まえると告げ、それから姿を消します。楓が父親を捜しに行くと、日雇い現場でその名で働いている男を見つけますが、それは全くの別人でした、というストーリーです。正直言うと、初見の時は、なんやねん、これ、と呆然としました。岬の兄妹のような鬼貧困ディストピア映画を期待してたのに、待っていたのは殺人犯を巡って過剰な要素が飽和し、二転三転するドライブ感のあるストーリーでした。そりゃ、肩透かしを食らいますよね。いまだに何だったのかよく整理できていません。ただ、見終わってしばらくしてからこれも悪くなかったな、と。無茶苦茶な物語でわけわからんかったですが、面白いは面白いんですよ。岬の兄妹で顕著だった「育ちの悪さ」ディテールも佐藤二朗演じる智の所作に随所に生かされてましたし、殺人犯の意味わかんなさも相当気持ち悪かったです。やっぱり趣向が同じものばっかり見てると偏るので、人間、期待してたものと違うのを見る経験も大事ですね。次は片山監督はどん底青春スポーツものとか撮ってもらいたいです。

また佐藤二朗が臭そうなんですよね、ほんとに


ライダーズ・オブ・ジャスティス

みんな大好きマッツ・ミケルセンの暴力映画です。妻を事故でなくした軍人マッツは娘とともに途方に暮れます。しかし、その列車事故が仕組まれたものだとわかると、マッツは復讐へと乗り出します。人がマッツ・ミケルセンの映画を見る時はどういう精神状態なのでしょうか?基本的には理由は1つしかありません。マッツ・ミケルセンを見たいという欲求が迸っているのです。そう考えると、この映画は200点です(100点満点)。マッツ・ミケルセンといえば貴公子然とした姿で颯爽としていることが多いですが、この作品では元軍人という設定なので体は異常にパンプアップされていて、頭も坊主でヒゲもモサモサというゴリゴリのマッツを見ることができるんですよね。もうこの時点で最高でしょう。そんな悲しみのマッツが暴力をバンバンに振るっていきます(50点加点)。途中でAI顔認証テクノロジーが使用されるなど謎の現代っぽい要素がありますが、ストーリー的には偶然の悲劇についてどう人間たちは対処するべきなのか、というけっこう重い話にもなっています。そして、このストーリーから全く予想がつかないと思いますが、実はこれクリスマス映画なんです。ハッピーというかシュールなラストシーンは必見です。

仕上がりすぎマッツ


プリジョネイロ

ブラジル限界ブラック会社映画!!1回こっちで紹介しているので、こっち読んで。気分が悪くなるぞ!!!


大怪獣のあとしまつ

なんかノリで見に行ってしまってめちゃくちゃ辛い気分になったので、みんなもそうなって欲しい。怪獣映画で倒した怪獣の死体の後始末をどうしましょう、と設定だけ聞いたら面白そうな映画ですが、とにかく全てがスベってしまいました。現実を皮肉ったブラックジョークも上滑り気味、脱力系のギャグも全然笑いが起こらず、地獄のような映画体験でしたね。さて、そんな映画を推薦するのかという話なのですが、私はだからこそ推薦したいんですよね。本当に同じ気持ちを味わってほしいんです。人は好きなことで繋がるよりも、嫌なことで繋がったほうが友情が長続きするっていうじゃないですか。だから、みんなでこの気分を共有しましょう。ここでこの映画を見ておいて、全員が今年の厄を落とす。それが来年に向かって我々ができることなんじゃないでしょうか。

オダギリジョーの無駄遣い


ちょっと思い出しただけ

今年の邦画のラブストーリーで一番よかったです。邦画のラブストーリー、2本しか見てませんが(もう1本はシン・ウルトラマン)。池松壮亮演じるダンサーと伊藤沙莉演じるタクシー運転手の出会いと別れの数年を描いた映画です。いやー、池松壮亮と伊藤沙莉はいいですね。ストーリー的にはんん??それが決定打になんの??と腑に落ちないところはあるんですが、二人の存在感と演技によって強引に持っていかれる腕力があります。やる気があるんだかないんだかよくわからない池松壮亮が夢破れたダンサーを演じるのは非常に似合ってますし、伊藤沙莉がタクシー運転手を演じるのもすごくいいですね。元々、池松壮亮がタクシー運転手で、伊藤沙莉がダンサーだったとかいうのを読んだような。この配役交換は素晴らしいです。相性とか趣味とか最高に合ってる男女でも、タイミングとかなんかそういうのだよな!と人生の御しがたさと切なさを味わうといいです。それと、よく高円寺が出てくるので、高円寺で飲んだくれてる人は、あー、あそこ、あそこ、とそれだけで楽しくなれるのでオススメです。こらこら、聖地巡礼とかいって飲みに行くでない。

高円寺の、あそこな(この手前に餃子0円の店がある)


ロスバンド

めっちゃ元気の出る北欧ティーン・ロードミュージックムービー。ノルウェーのロックフェスティバルに出発した少年少女たち。主人公のグリムはドラマーで、音痴のギターボーカルであるアクセルとバンドを組んでいます。音楽祭の出場チケットを手に入れたので、ベースを募集してきたチェロ奏者ティルダ(9歳)を連れて、ドライバーのマッティンの運転で北の果ての街を目指すのです。これがねー、もーねー、かわいいんですよ。ほんわかコメディなんですが、それぞれがそれぞれに他愛もないけど本人たちにとっては深刻な悩みを抱えていて、それでも4人が揉めたり仲直りしながら、目的地に向かっていく姿は正統派ロードムービーという感じですごくよいです。音楽もすてき。ぜひ見て欲しいのだけれど、配信もなし!!DVDもなし!!!なんてことだ!!!配信が始まったらぜひ見て欲しい!

ティルダ嬢もたいへんお怒りです

ちなみにマッティンの兄役でコメディワーク担当をFrank Kjosås(読めない)が演じているのですが、実はこの人が一番歌上手いんじゃないかという疑惑もあります。

同じく北欧ロードミュージックムービーには『ヘヴィ・トリップ』もあり、こちらもおススメなのでぜひぜひ!


ザ・バットマン

めっちゃいいですね、ロバート・パティンソンのバットマン。前のシリーズのクリスチャン・ベールもかなりよかったんですが、あくまであのバットマンは正義の味方という側面が強かったですよね。ベール版ブルース・ウェインも真人間だし。ただ、パティンソン版のバットマンはかなり異常人感が強くてとてもいいです。そもそも、夜な夜な自作のスーツを着て悪人をぶっ飛ばしてるとか、異常じゃないわけがないんですよね。パティンソン版ブルース・ウェインのあの暗さ、当人も何が何だかわからんけどやってる感というのは非常に納得感がありますよね。車が横転して逆さになったペンギンを窓から虫けらでも見るように観察するシーンは、パティンソン版バットマンでなきゃできない異様な光景で最高でした。警察からも一貫して「変態マスク野郎」的な扱いをしているのがめちゃくちゃウケますね。やはりバットマンは正義の味方という扱いなんてされてほしくないんです。自作スーツ変態一人自警団みたいな立場がちょうどいいんですよ。話も面白かったし、続編にもぜひ期待していきたいですな!

敵役リドラーもキモくていい


令嬢アンナの真実

ある令嬢がアートの拠点を作ろうと、投資家たちに出資を募っていたのですが、実際には彼女は令嬢でもなんでもないただの一般人だったという実際にあった事件を元にしたドラマです。これ、すごいんですよね。アンナって名乗ってるこの女性(本名は全然違う)は金もないし育ちも全然よくないんですけど、態度と服装と口のうまさだけで、上流階級であることを納得させて、金を投資させようと誘導していくんです。このアンナちゃんのやり方がめちゃくちゃうまいというのもあるんですが、いかに人間が態度と雰囲気だけを見て判断しているかということの証左でもあり、それ考えると自分も危ないなと思ってしまうわけです。だって、こんな女目の前に来たら、そりゃまあ変だな、と思ってても、なんとなく信じちゃいますよね。人は信じたいことを信じる生き物です。なお、このアンナちゃんはいまだに普通に生活していて、インスタのアカウントも健在です。


ベルファスト

ケネス・ブラナーの半自伝的映画で、白黒です。北アイルランドのベルファストで過ごした子供時代の出来事を基にしています。北アイルランドのベルファストといえば、当然宗教紛争ですね。イギリス映画で度々題材に取り上げられるように、めちゃくちゃ深刻な問題で、実際にこの映画の中でも中立的な態度を取る父親が過激派から脅されたりして、全然安心できないんですよ。ただ、それでもこの映画がとてもいいのは、めっちゃ明るいこと。町を封鎖してバリケード築いてるし、略奪も起こっているのに、子供の視点から見てるので、どこか滑稽で現実感が薄く、そこに順応してるんです。「ちょっと危ない遊び場」くらいの感じでしょうか。ひどい状況でも案外内部にいる子供はあっけらんかんとしていて、その現実感の薄さと悲壮感のなさが、逆に紛争のリアルさを描き出しているんですよね。いい映画でした。ただ、唯一リアルじゃないのは、両親の見た目です。あからさまに周囲よりもレベルが数段高く、こんなハチャメチャに顔がいい両親がいるわけねーだろ!とツッコんでいいかと思います。

両親見た目良すぎ問題


アポロ10号1/2

『ビフォア・サンライズ』などのビフォア・シリーズ、子供が12年かけて大人になるまでを撮った『6才のボクが、大人になるまで。』などで知られるリチャード・リンクレイター監督のアニメ映画です。アニメと言っても、元は実写で撮ってそこにアニメを当てる「ロトスコープ」ですね。アポロ計画華やかなりし頃のヒューストンで生まれた主人公の少年スタンリーの元に、NASAがある日突然訪れます。アポロ10号を予定より小さく作ってしまったから、それに乗れる少年パイロットにスタンリーが選ばれた、というのです。もちろん、これはスタンリーの妄想なのですが、虚と実が入り混じった少年の記憶を元に、1960年代の宇宙熱狂自体のアメリカというものをブラックジョーク交じりにキレキレで見せていくきます。好きなんですよね、リンクレイター監督。ところどころ挟まれるエピソードが具体的で、リアル感がそこでグッと出てくるんです。たとえば、冒頭で先生から怒られた時にはつま先立ちで壁に鼻をつけるように指示されます。そこに印をつけられるので、生徒は時間がくるまで鼻を壁につけてつま先立ちでがんばらなければいけません。ただ、スタンリーは小賢しいので、最初から足を少し開いて鼻をつけるギミックで誤魔化すのです。これでスタンリーがちょっと賢い悪ガキであることがよくわかりますよね。こういう小さいリアルなエピソードを積み重ねていくのがリンクレイター流映画拳法です。流れるような少年時代と、爽やかなラスト。ロトスコープのアニメがめちゃくちゃに「うっわ~アメリカ~」でとっつきは悪いですが、ぜひ見て欲しい作品です。

実写でも見てみたい


TITANE

なんなんだよこの映画……と劇場で頭を抱えそうになった今年の怪作。事故で脳にチタンを埋め込んだアレクシアは、車とセックスをします。え?と思った方もいるかと思うのですが、安心してください。本当に車とセックスをします。ドラゴンカーセックスならぬ人間カーセックスです。その後にひたすら連続殺人事件を起こしたアレクシスは車とのセックスで妊娠をしていることに気づいて両親を焼き殺し、行方不明になった息子のフリをしながら消防士の父親と妊娠を隠して暮らすようになります。何言ってるかわからないでしょう?私も何を言ってるのかわかりません。全編にわたって様々なメタファーが散りばめられており、ストーリーの整合性とかは二の次となっていますので、仕方ないですね。最初からグロいシーンが続出し、さすがの私も30分で帰りそうになりました。さすが『RAW』を撮ったジュリア・デュクルノー監督といったところですが、一般的に理解されることはほぼないかと思います。これにパルムドールを与えるカンヌはさすがにイカれててすごいです。ただ、得体のしれない迫力はとんでもないものがあるので、とにかく強い映画を見たい人にはぜひオススメ。内容はわからないです。でも、わからないからこそ、異常な説得力があります。

人間カーセックス現場


カモンカモン

ジョーカーが子育てを!!?なんて話ではないんですが、ジョーカー役で世界を震撼させたホアキン・フェニックスが、若い甥っ子とともに共同生活を送るジョーカーとは真逆の映画です。別れた夫が精神的にかなり参っていて、妹はそれに付き添わなければならず、その間に甥っ子を預かることになったジャーナリストのジョニーをホアキンが演じるのですが、まあこれがすごいんですわ。甥っ子のジェシーとのやり取りが、本当に自然。若干のぎこちなさと距離感がありながらも、ジェシーからの「お母さんとちゃんと話したの?」「彼女となんで別れたの?」というきつい質問をきちんと受け止めたり、他愛もない対話(全然噛み合わない)をしていきながら次第に親密になっていく様は非常にいいですね。鬱陶しくもあるけどそれでもかわいい甥っ子という感情をホアキンと共有しているようで、もどかしいやら嬉しいやらが一緒に襲ってきて、映画を見ていて中々味わえない感情を揺さぶられます。当然、別れの際には、マジで泣きました。何気ない音や光、すべてが素晴らしく、それは取り返しがつかないものなのだという当たり前だけど忘れがちな事実を再確認できる映画です。泣いてください。オススメ。

このグダグダさがよい


ホワイトホット

みなさん、アバクロって覚えてます?ある一定以上の年齢の男には覚えがあると思うんですけど、あのチェックシャツで有名なアメリカのファッションブランドです。私も1着貰ったことあります、そういえば。正式名称アバクロンビー&フィッチのこのブランド、最近見なくなったなー、と思いません?実はですね、いつの間にか衰退していたんです。そのやらかしの顛末がドキュメンタリーとなりました。ま、要するにアメリカの「陽キャ」向けの戦略を取っていたんですよ。スクールカースト高めで、マッチョで陽気で、そして排他的で。アバクロは白人陽キャ最高思想を実際の広報戦略にまで導入したんですよね。白人でイケてる見た目の店員を広告に起用し、店舗の店員にも起用します。黒人だったりアジア系は表に出してもらえず、シフトにも入れなくなっていくという徹底ぶり。また、CEOのマイク・ジェフリーズやカメラマンのセクハラ(主に男への)も明らかになり、そこからアバクロは告発されていくのです。アバクロがこんなことになってるとは全然知りませんでした。いくらなんでもやり過ぎでしたね。ただ、昔だったらこんな話どこにでも転がってたんでしょうが、それが会社の衰退の原因となってドキュメンタリーにもなるなんて、時代だなーと。本当に買う人も排除している人も全員バカにしてる広報戦略で最高でした。面白いよ!

絶対に我々と相いれない世界観


トップガン マーヴェリック

いったい、誰がこの続編がここまで売れると思ったでしょうか。私は予想がつきませんでした。どーせトップガンリアルタイム世代向けの受けを狙った懐古ムービーでしょ、とか思ってた自分を恥じたいです。内容は、前作未見の世代もガツンと殴れる、トム・クルーズ空中酷使映画でした。現役感を残しながらも「昔の世代」として出てくるトム・クルーズが教官としてビシビシ若手を鍛えていくというストーリーは若干ご都合主義でありながらも、「舐められてるやつが実はすごかった」というアメリカ人大好き物語をしっかりと踏襲。特訓から師匠参戦の上で無茶な実戦というカンフー映画的な流れでもあり、しっかりと「売れる」映画の要素を複数こなしていました。また、それだけでなく、前作の伏線も「ここまでやるのか」というくらいにしつこく回収。すごいのは、前作でかなり意味があったトム・クルーズの相棒のくだりとかそういう重要なシーンだけでなく、単にトム・クルーズその他の若手俳優たちのマッチョな肉体を見せつけるためだけに存在した謎のビーチバレーのシーンも、ちゃんと今回の映画で意味のある場面としてしっかりと回収しているのです。監督のコシンスキーさん、お前トップガン大好きだろ。もはや、トム・クルーズへのラブレターですよね。ただ、前作のファンにもかなりの媚びを売りつつ、新しいファンもきちんと鷲掴みにするその腕前、ただものではないです。ちなみにコシンスキー監督が撮った『オンリー・ザ・ブレイブ』も最高ですが、Netflixの『スパイダーヘッド』はクソです。ともあれ、今年を代表する一大娯楽映画を見ない手はないですよね。俺だ!俺がマーヴェリックだ!!

前作の謎ビーチバレーシーンも回収


死刑にいたる病

阿部サダヲがキモい!!パン屋やりながら未成年を拷問して殺しまくった殺人鬼に、幼いころから彼を知っている主人公の大学生がひょんなことから頼まれて、1つの殺人事件を調査することになり(阿部サダヲが殺した)、迷宮に迷い込んでいくようなサスペンス映画です。いやー、この映画なんですけど、主人公が頻繁に獄中の阿部サダヲに会いに行くんですよね。もうなんなのこれ、羊たちの沈黙なのってくらい阿部サダヲに会いに行きます。で、毎回、阿部サダヲが気持ち悪いんですよね。阿部サダヲ解釈の連続殺人鬼フェイスをやるんですが、これがですね、ほんとにサイコパス殺人鬼を過剰に演じすぎて、もはやサイコパス殺人鬼を超えた何かになってしまっているんですよ。それにたびたび会いに行って、毎回きっちり気持ち悪いので、だんだんと「こんな阿部サダヲは理由なく殺しても別にいいんじゃないか」と自分が殺人鬼になってしまうような錯覚に陥りました。とにかく気持ち悪い阿部サダヲとしっかりと目に焼き付けてください。映画自体も後味最悪なので、最悪の気分で過ごしたいときにオススメです!

ずっとこんな顔してんの


ハッスル

アダム・サンドラーが後のないバスケのスカウトを演じる、スポーツものです。アダム・サンドラー演じるスタンリーは、長年76ersのスカウトを務めた後に念願のアシスタント・コーチになるも、オーナーの代替わりでまたスカウトに降格させられます。一発逆転ですごい選手を見つけなくちゃいけなくなりましたが、そこに現れたのは路上バスケで見つけたボー・クルス。彼に惚れ込んだスタンリーは、プロにするために二人三脚で鍛え直すのです。こんなあらすじですが、この映画の売りは圧倒的バスケシーンのリアルさ。なぜなら、主要プレーヤーをリアルにNBA選手が演じているからです。主人公のボーを演じるのはフアンチョ・エルナンゴメスはラプターズに所属してますし、ライバルのカーミットもティンバー・ウルブスのアンソニー・エドワーズ(1試合平均20得点クラスの選手)が演じています。他にもボバン・マリヤノヴィッチ、トレイ・ヤング、ジョーダン・クラークソン、クリス・ミドルトンなどが出演していて、さすがにレブロン・ジェームズが製作に携わっているだけあります。スポーツ映画は特訓がすべてだと思っているのですが、砂漠でタイヤぶん殴って強くなるよりも、がぜん説得力がありますよね。ストーリーも単純ですが、リアルさも相まってめちゃくちゃ熱くなるので、オススメです。元NBAレジェンドもたくさん出てるよ!

説得力マシマシの謎特訓


PLAN75

今年一番の日本映画じゃないでしょうか?75歳以上の人にPLAN75という安楽死を選択できる制度が合法化されている、ちょっと未来の日本が舞台。そこで生きる78歳の角谷ミチを演じるのが、あの倍賞千恵子です。この倍賞千恵子がいいんですよね。昔のキラキラしたスターの時代は全く知らないんですが、78歳のどこにでもいるおばあちゃんを完璧に演じています。どん臭くて、パッとしなくて、それでも仕事仲間がいてたまには楽しくやってて、という、町のそこらへんにいるような存在感がすごいんですよ。そういう普通のおばあちゃんが社会の有形無形の圧力に追い詰められながら、PLAN75を選択肢として受け入れ始めるという過程が、ああ、自分もこういう状況だったらそうしちゃうだろうな、と身につまされてとてもリアルでいいです。強制じゃないからという制度が、空気によって強制になっていくというのは、1984の時代から語られている人間社会の恐ろしいところですね。主人公以外にも、PLAN75を推進する立場でありながら長年会ってなかった叔父をPLAN75に送る役割をする役人の青年や、PLAN75の施設で死体処理をするフィリピン人女性や、脇を固める物語も充実。とにかく邦画は台詞で説明しがちですが、言葉少なに淡々と進めていくスタイルはお見事でした。結局高齢化問題の本質って「じゃあ、自分のおじいちゃんとかおばあちゃんを殺せるの?」っていうところに収斂していくと思うんですよね。たまには映画でこういう未来の問題を考えてもいいんじゃないでしょうか。

めっっっっちゃそこらへんいにそう

いまだに配信はされてないようでーす。DVD・ブルーレイもありません。


エルヴィス

あのエルヴィス・プレスリーの伝記的映画は、思ったよりもトム・ハンクス映画でした。音楽映画としての出来は非常にいいです。エルヴィスの曲とか全然知らなかったけど臨場感がすごかったし、エルヴィスを演じるオースティン・バトラーは動きも歌のキレも良くて、特に若い頃のエルヴィスの勢いをうまく表現してたんじゃないでしょうか。で、肝心のエルヴィスの生涯なのですが、これがまたうまくできてるんですよね。それもこれも、ほとんど裏主役と言っていいパーカー大佐のおかげです。エルヴィスをスターダムに押し上げ、さらに生涯にわたって搾取し続けたプロデューサーであるパーカー大佐を、あのトム・ハンクスが演じているのです。トム・ハンクスといえばフォレス・ガンプなどの代表作がありますが、だいたいはいい人・善人の役が多いですよね。ただ、このパーカー大佐役は本当に極悪人でよかったですね。とにかく自分の利益のためにエルヴィスを言葉巧みに搾取し続ける姿は、普段が普段の役だけに、いっそう悪い奴に見えてマジで怖かったです。ぜひトム・極悪スの畜生演技をご堪能ください。

最高に薄汚い表情するんですよ


リコリス・ピザ

みんな大好きPTA(ポール・トーマス・アンダーソン)監督の新作です。リコリス・ピザの意味はレコードをリコリスでできたピザに見立ててつけられた、LAのレコードショップチェーンの名前ですが、この店は別に出てきません。『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』、『ザ・マスター』などの重めのパンチを繰り出してくることに定評のある監督ですが、今回は自伝的要素もあって割と軽めで、『パンチドランク・ラブ』なんかに印象が近かったですね。クーパー・ホフマン(フィリップ・シーモア・ホフマンの息子!)が演じる主人公のゲイリーが、年上のアラナと出会って恋に落ちる青春ラブストーリーです。ただ、それが一筋縄のラブストーリーで行かないのがPTA流。本筋がなんなのかよくわからなくなるほど、若い二人がじたばたするのですが、そのじたばた具合ややり取りがとってもいいんですよね。全然相性良くなさそうなのに離れたりくっついたりしてそれでも一緒にいるというのが、二人とも生きてる!青春してる!って感じで、もうぐっときますな。1970年代の緩い雰囲気も含めて、爽快な青春ストーリーを味わいたい人はぜひ。ちなみに、ヒロインのアラナはhaimというバンドを姉妹でやっています。あと、ショーン・ペンが謎にバイクで火を飛び越えるシーンがあるので、火を飛び越えるショーン・ペンマニアの方はぜひご覧ください。

なにこのシーン……


呪詛

一時期Twitterで話題になった台湾ホラーです。いや、確かにわけのわからない呪いに追われる母娘の追い詰められ方がめちゃくちゃ怖いし、映像もかつての『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』のような手持ちカメラ感があって臨場感がハンパないんですよね。謎の宗教出てきて、謎の魔除けハンドサインも出てきますし。ただ、この映画、やっぱり序盤が気になるんです。最初に主人公の女性を含めた3人が、親戚の村を訪れるんですが、やってはいけないことのオンパレードなんですよね。来た目的もYoutubeでの怪奇現象放送っぽい感じだし、行くなって言われたところは全部行くし、開けるなって言われたところは全部開けるし、撮るなって言われたのも全部撮ってるし、もう全然ダメなんですわ、こいつら。ちなみに、母親なんですけど、終盤でも除霊師みたいなおっさんに「娘に飯食わすな」って言われてんのに、普通に食わせます。ここまでホラーで死ぬフラグを立てられたら、そりゃもうさすがの呪い神も見逃せませんよね。「今日はなんかダルいからちょっと呪うのやめてサウナでもいこっかな~」とか呪い神が思ってても、「いやいやいやいや(笑)、それもう呪ってってことじゃ~ん!仕事増やさないでよ~!」って なっちゃうじゃないですか。それくらい「あーもう!もう!」ってなります。ぜひ今年のナンバーワンやってはいけないことしてる映画をお楽しみください。

謎ハンドサイン


ウィリーズ・ワンダーランド

ニコラス・ケイジが!!!喋らない!!!通りすがりのニコラス・ケイジの車が故障し、その修理代金を払うためにある遊園地の清掃をすることになったのだが、そこは人形が人間を襲ってくる恐怖の遊園地だったのだ!!うわっ、B級すぎる!!と思ったそこのあなた、完全に正解です。紛れもないB級映画、本当に金がかかってないです。ただ、B級の中ではかなりいいのではないでしょうか。特に、借金返済のためにとにかくあらゆるクソ映画に出まくったニコラス・ケイジの作品の中では、かなりいい方だと思います。掃除をしているニコラス・ケイジなんですけど、すごく仕事に忠実なんです。壁に血文字が書かれてもすぐに掃除して消す。殺人人形が襲ってきてもボコボコに殴って仕事に戻る。侵入してきた若者が殺人人形に殺されても仕事を進める。職業人の鑑ですよね。ただ、ニコラス・ケイジは労働法に厳しいので、休憩もきちんと取ります。時間になると殺人人形を放っておいて、ビールを飲んでピンボールを嗜んで休憩をするのです。そして、その間一言もしゃべりません。ニコラス・ケイジが喋ったからって特にいいことはないのですが、本当に喋りません。そんな映画何が楽しいかと思うのですが、楽しいんですよね。ニコラス・ケイジが楽しいんです。もはや、ニコラス・ケイジがこの遊園地の亡霊なんではないでしょうか。ぜひ、みなさんもニコラス・ケイジに浸ってください。

妖怪ニコラス・ケイジ


ウッドストック1999

みんなー、大失敗したフェスの話は大好きかー!!!?俺は好きだぞー!!!かの有名なウッドストック音楽祭の夢よもう一度、と1999年に企画された音楽祭ですが、運営が全然追いつかなくてハチャメチャになってしまった顛末です。フェスとかほとんど行かないんですけど、よく運営できるな、と思うんですよね。酒で酔っぱらって理性をなくした人間が何十万単位でいるわけで、それをどう管理するんですか、という。案の定、ウッドストック1999は無理でした。まずインフラがダメ。トイレは数が足りずに清掃もロクにされず、食べ物も飲み物も法外に高い。ゴミも溢れ返るし、ドラッグも蔓延していて、じゃあ、そういう状態の若い男たちはどうするのかというと、まあ暴れるしかないわけですよね。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンだとかリンプ・ビズキットとだとかレッチリだとか、そういう音楽聞いてる奴らがどうしたいかなんて明白なのに、主催者はそれをわかっていなかったんですよね。ただ、最終的には暴動のような形になったこのフェスのような失敗体験があるおかげで、フジロックなんかはまともに運営されてるのだとも思います。失敗の教科書として見るのでも、アホがやったフェスを笑うために見るのでも、どちらの用途にもオススメ!

戦争ではなくフェスの現場です

教訓にできなかったもっとひどいフェスのドキュメンタリーもあるよ!なんと2017年の話で、こっちもめちゃおもしろい。


ブラック・フォン

みんな大好き町の変態殺人鬼おじさん映画です。町で定期的に子供たちが行方不明になる事件があり、主人公フィニーはその犯人に捕まってしまいます。地下室に連れ去られたフィニーはなんとか脱出を試みますがうまくいかず頓挫、しかし、繋がってないはずの電話が鳴るのです。町の猟奇おじさんの監禁からどうやって逃れるかという脱出映画であり、刻々と変わる状況と猟奇おじさんのイカれっぷりによって、ずっとハラハラして見れる秀作でした。肝心の電話がちょっとオカルト要素ありますが、基本的には主人公フィニーの頑張りを楽しめる映画となっていますね。ただですね、これ、かなり安い予算で作られたと思われる映画なんですが、実はイーサン・ホークが出てるんですよね。何役かっていうと、猟奇おじさん役なんですよ。で、この猟奇おじさんがほとんど被り物をしていて、顔が全然出てこないんですよね。じゃあ、イーサン・ホークじゃなくてもいいんじゃないか、という。ここまで素顔を出さない大物俳優は『ゴースト・ストーリー』のケイシー・アフレック以来じゃないでしょうか(幽霊役でずっとシーツかぶってる)。今年のナンバーワン「おまえじゃなくてよくない?」映画ですね。全身でイーサン・ホークを感じていきましょう。

チャーリー・シーンでもいいだろ


アプローズ、アプローズ! 囚人たちの大舞台

囚人に演劇をやらせるぞ!!売れない俳優のエチエンヌは刑務所で演技を教えることになります。エチエンヌの熱心な授業で、最初は不真面目だった囚人たちが徐々に演技にハマっていき、そして実際に観客の前で上演するようになるのです。スウェーデンで実際にあった出来事を基にしたそうです。まず、演目の選び方がいいですよね。『ゴドーを待ちながら』なんですよ。このサミュエル・ベケットの戯曲は、ゴドーをひたすら待つ不条理劇です。それを「囚人たちは常に待っているから」という理由で選ぶのは、粋でもあるし中々皮肉にもなっていますよね。基本的にはコメディっぽく進むんですが、外の劇場で喝采を浴びて花束をもらっても刑務所に戻ったら没収されて受刑者にすぐさま戻されたり、というシーンも普通にあって、演劇で越えていける壁と絶対に越えられない壁を明確に示していたりもします。「被害者がいるのに演劇なんてして」みたいな台詞もあるのですけど、それはそれで正しい意見ですよね。更生とか芸術とか、いろいろなことを考えさせられるえげつない映画です。そして、ラストシーンはめちゃくちゃ秀逸。それだけのためでも、この映画を見る価値があります。

ええ顔してる犯罪者たち(一番右は先生です)


NOPE

なんかよくわかんないものが襲ってくるぞー!!!今年のベストオブなんかよくわかんないもの襲撃映画じゃないでしょうか。『ゲット・アウト』のジョーダン・ピール監督が、またダニエル・カルーヤ主演でお送りします。ダニエル・カルーヤ、『ゲット・アウト』でもそうだったんですが、だいたいなんか得体の知れないものに襲われていますね。序盤はわけのわからないものがじわりじわりと恐怖を与えてくる感じで、この未知のものからのなんか嫌な感じを与えるのがめちゃくちゃうまいですよね。そして中盤で”
そいつ”が正体を現してからの畳みかけ方のスピード感が強烈なのも、『ゲット・アウト』と一緒。なんかちょっとエヴァっぽい感じもあります。見てるのかどうか知らないですけど。とにかく映像がかっこいいです。砂漠の中で踊り狂うバルーン人形、馬で疾走するダニエル・カルーヤ、謎銀色ヘルメットバイク。やたらとコントラストの利いた映像と音楽は、かなり迫力がありました。数々のオマージュに君はいくつ気づけるか!!年末に謎の存在と戦いましょう!

やたらとかっこいい乗馬


ブレット・トレイン

いやー、トンチキ極まりなくて最高でしたね。伊坂幸太郎の『マリア・ビートル』が何をどう伝わったのかはわかりませんが、とんでもない方向に曲がるスライダーでした。たぶん日本語→英語→日本語の自動翻訳を10回くらい繰り返したんだと思います。内容としては新幹線内で暗殺者が金を奪ったり奪われたり、うっかり殺しちゃったり殺されちゃったりという、ドタバタ新幹線アサシンコメディです。「名古屋を過ぎたのになぜか富士山が見えた」「京都まで一晩かかる」「米原だけは人がいなくて雪が降っててなんでそこだけ現実と一緒なんだ」と日本人からするとツッコミどころが満載すぎるのですが、もうそこはいいと思うんですよね。それよりも、やっぱりブラッド・ピットがクソしょーもない役でアクションをしたり爆発で吹っ飛んでるのがいいじゃないですか。シリアスな役も当然いいんですが、ブラッド・ピットって頭悪めのにーちゃんをやらせるとすごくいいんですよね。『テルマ&ルイーズ』とか『バーンアフターリーディング』とかね。この映画での運が悪くて頭もそんなよくなくて、なんかノリだけで生きてるしょーもないにーちゃんの感じとか最高でしたね。60間近でこれができるの、素晴らしいと思います。ていうか、ブラピ還暦近いの!?マジで!!?ともかく、薄めの知性と謎世界観、そしてノリだけの映画をぜひご覧ください。

謎新幹線ゆかり


ナルコの神

Netflixの韓国麻薬ドラマ in スリナム。スリナムってどこ?って思うかもしれませんが、南米の小国で治安が悪いところです。場所は変えましたが、やってることは韓国ノワールでだいたい一緒です。一発逆転を狙ってエイを韓国に輸入するためにスリナムに来たハ・ジョンウ演じる主人公カン・イングですが、地元の中国人マフィアと揉めたところを、ファン・ジョンミン演じる同郷の神父チョン・ヨハンに助けてもらいます。やれやれ助かった、と思ったら、案の定この神父が麻薬密売を手がける極悪人だったんですよね。ファン・ジョンミンがいい感じの笑顔で出てきたら、だいたい悪人だと思ってください。韓国映画検定2級で必ず出てくる問題です、覚えておいてください。で、そこから韓国の国家情報院(CIAみたいなやつ)も絡んできて、主人公はファン・ジョンミンのところで潜入捜査をするんですよ。そのメインの潜入捜査部分がめちゃくちゃ面白い。超疑り深いファン・ジョンミンを相手にして、ハ・ジョンウがめちゃくちゃに嘘をついたり、国家情報院のチーム長が密売人のコスプレして会ったりと行きつく暇もないノンストップ。これが実際にあった話だというのだからすごいですよね。たった6話でスッキリ終わるので、短期集中にオススメ。ぜひファン・ジョンミンの極悪っぷりと、ハ・ジョンウの目の泳ぎ方をご覧ください。

ファン・ジョンミンがこんな顔して出てきたらだいたい悪人です


マリグナント

とあるきっかけで殺人の悪夢に悩まされることになった主人公の女性なんだけど、その理由とどんでん返しが、うーん、ジェームズ・ワン映画!!!以上!オチがなんぼの映画なのでこれ以上言えないけど!!面白いけど!!でも腹立つわー!!!笑

少なくともこのジャケから連想される感じのオチではない

Netflixにもあるよ!(なんか表示されない)

https://www.netflix.com/title/81083904


ミッドナイト・クラブ

みんな大好きマイク・フラナガン監督の新作ドラマです。『ホーンティング・オブ・ヒルハウス』など、死後の世界と現世を自由に行き来するホラーの先の物語に定評のあるフラガナン監督ですが、今回は余命いくばくもない少年少女たちが集うホスピスが舞台です。少年少女たちは、真夜中になると寝床を抜け出し、「ミッドナイト・クラブ」と称する会合を行います。そこでは、それぞれが物語を話し、みながそれを聞いていくというルールがあるのです。死をどう受け入れていくか、っていうのは、直面してみないとわからないものですよね。自分もそういう状況になってないのでわからないですが、たぶんめっちゃビビると思います。作中の少年少女たちなんて、若いからもっと怖いでしょう。ただ、彼らは物語を作ることで、その恐怖から逃れようとしています。肉体は果てても、物語は残る。たとえそれが本当ではなくても、そう信じることによって救われる魂はあるってことなんですよね。それはすなわち、人間というものの崇高な側面でもあると思うんです。もちろんホラー要素もけっこうあるし、少年たちが語る物語がドラマ内ドラマのような入れ子構造になってるのも面白くて、病気を治す謎儀式も出てくるし、飽きさせなくあっという間。1シーズンさっくりでどうでしょうか。

みんなキャラ立ってて好き


RRR

今年のナンバーワン肩車映画でした。イギリス占領下のインドにおいて、独立運動を戦っている警官がええーいそんなことはどうでもよいのじゃ!!まずはこちらのダンスをご覧ください!

これで心が震えない映画ファンがいるでしょうか。いませんね。では話を進めます。とにかく、もう熱さがハンパじゃないんですよ。RRRの世界では常時気温80度くらいで、登場人物の体温は90度、水の沸騰も200度くらいだと思います。すべてが過剰なのですが、その過剰さがもう中毒的。主人公2人がまず過剰。筋肉も胸毛も過剰です。2人が知り合うきっかけになるシーンがあるのですが、わずかなハンドサインと目配せだけで「馬とバイクで橋の上で全速力で向かい合って走り、交差したところで橋の両側に飛び降りて、その反動でロープを橋にひっかけて、水上の少年を抱きかかえる」というTENETよりも難しい作戦を成立させて少年を救出します。これを見た瞬間に、私は勝ちを確信しましたね。そう、この映画に理屈は必要ないんだと。ただ必要なのは過剰な熱さなんだと。そこからも過剰ラッシュが怒涛のごとく襲ってきます。過剰ダンス、過剰拷問、過剰バイク、過剰猛獣、過剰爆発、過剰馬、過剰友情、過剰薬草、過剰弓矢などが、息つく間もなく通常の5倍量で襲ってくるんですよね。過呼吸になる可能性があるので、気を付けてください。そして、過剰クライマックスは、やはり世界で一番かっこいい肩車シーンだと思います。数ある肩車アクションシーンはあれど、これを超える肩車アクションはなかったんではないでしょうか。映画にはいろんな種類がありますが、RRRはもはや映画ではありません。見るドラッグです。合法でドラッグを楽しめる3時間なのです。見るしかありませんね!まだ映画館によってはやってるようなので、ぜひ今のうちに!!!

世界最強肩車


犯罪都市 THE ROUNDUP

マ・ドンソクが殴る part2!!!だいたいマ・ドンソクの映画は殴ってる気もしますが、犯罪都市シリーズはマ・ドンソクの濃い目・油多め・固めで暴力マシマシなため、他のマ・ドンソク作品よりも暴力分面白くなってるんですよね。さらに、前作もそうだったのですが、『犯罪都市』はマ・ドンソクの暴力多めなのに加えて暴力をネタにしたシーンがあって最高です。監視カメラに蓋をして隠し、暴力で容疑者に真実を吐かせる「真実の部屋」は今回も健在ですが、今回は、容疑者の耳を机につけさせ、マ・ドンソクが机をぶん殴ることによって容疑者の鼓膜に直接ダメージを与え、自白を促すという新ネタも披露。いいですよね、ほんとにこんなこと起こるのかわかりませんが、マ・ドンソクの二の腕の太さが「そうはならんやろ」とは言わせないわけです。というか、このシーンだけでなく、映画全編にわたってマ・ドンソクの二の腕に説得力を任せてるという、二の腕映画なんですよね。人を殴ることによってだいたい話も進むので、真の意味での暴力プロファイリング映画だと思います。また、今回のラスボスも極悪人なので、そちらも楽しんでください。ネタバレになりますが、ラスボスをマ・ドンソクがめちゃくちゃぶん殴ります。

冒頭5分で人を投げ飛ばす公務員、この体格差でも投げ飛ばす公務員

まだ配信されてないけど、前作はAmazonとかネトフリで見れるよ!
https://www.netflix.com/title/80218616


FIFAを暴く

NetflixのFIFA暴露ドキュメンタリー!!2015年に突然FIFA幹部が次から次へと逮捕された事件の内幕と、そこに至るまでのFIFAの金の歴史をつぶさに記録しています。先ごろカタールW杯が終わりましたが、じゃあどうしてカタールでやることになったの?ということもよくわかるぜ!サッカーファンなら、「どうせなんかやってるだろ」とFIFAのうさん臭さには色々と感じていたと思うのですが、幹部が逮捕されて「ほーらやっぱり」となったんじゃないんでしょうか。その経緯についてがんがんにファクトが積み重ねられていく様は、爽快を通り越して、「なにやってんの、この人たち」となること請け合いです。次から次へと悪そうな顔の幹部が出てきて、だいたい悪いことして退場していくのでメチャおもろい。現在、不正についての捜査を受けているブラッター元会長も普通にインタビューで出てくるのもすごいですね。だいぶ老けましたな、ブラッター。W杯で盛り上がった後には、その闇の部分を見るのもいいんじゃないでしょうか。光と影は常に同居するのです。

こんないい写真なかなかないよね


ザリガニの鳴くところ

非常によくできたミステリーでした。ノースカロライナの湿地帯で独り暮らしをするカイアという少女。そのカイアがある殺人事件の犯人に疑われて、というストーリーです。話としてはそれほど複雑な物語ではないのですが、そこに至るまでのもってき方が非常にうまいです。少女が湿地帯でなぜ一人暮らしをするようになったのか、どうやって社会から阻害されて行ったのか、そしてどうして容疑者となるに至ったのか、ということが丁寧に描かれていて、見ているうちに「この野郎!うちのカイアになんてことを!」といつの間にか湿地帯少女親衛隊になること請け合いです。また、殺された男がわかりやすく悪い奴なのもいいですね。めちゃくちゃアメフト部でQBやってそうです。さらに、一番いいのは風景と音。湿地帯の風景がこれでもかと惜しげもなく映されていて、そこから聞こえる自然の音が非常に美しいですね。アメリカの湿地帯ってすごい独特で、憧れます。そして、すったもんだの末のラストのどんでん返し。びっくりするというよりも、納得のラストはそれまでのしっかりしたシーンの積み重ねからでしょうか。もうさすがに上映は終わっちゃったので、配信をお待ちください。

めっちゃきれいな湿地帯のめっちゃ過酷な少女戦記


聖なる証

またフローレンス・ピューが変な信仰に巻き込まれてるぞー!!『ミッドサマー』にて北欧トンチキ信仰に巻き込まれたフローレンス・ピューですが、今回はアイルランドでキリスト狂信者案件に派遣されています。「食べ物を食べなくても、天の恵み(マナ)で元気な女の子がいるやん!」って与太話に「マジかい、奇跡やん、でもホントか確認せなあかんね」「せやね」と派遣された看護師ライトがフローレンス・ピューです。それで、家族が怪しい!と睨んだライトが、娘のアナを引き離すと、どんどん衰弱していくんですよね。種明かしを知ったライトが母親に「ええから食べさせーや、死んでまうやん」と諭すんですが「この子はマナ食うてるから平気やねん、神の恵みってやっちゃで」と取り合いません。死にかけていくアナを前にして、ライトが取った行動は……。キリスト教奇跡の物語だと思って見始めたら、子供の死か信仰かだったら信仰を取るというエクストリーム宗教毒親問題映画でぶっ飛びました。なぜ日本限定でこんなホットなタイミングで。でも、信仰の自由をどこまで認めるかって難しい話ですよね。この映画だとあからさまにカルトですけど信仰の自由っちゃ自由だし、そうやって狂信的にもなる理由もわからなくもないし、既存伝統宗教もお布施とかで集金してるし、などなど、答えが出る気配がありません。日本の宗教2世問題に合わせて作ったわけでは当然ないですが、色々考えさせられる話でした。あと、フローレンス・ピューは、名前のピュー部分が唐突で好きです。ピュー!

何らかの委員会の方々


Run

私の娘は私だけのもの!恐怖の毒母を描いたサイコホラーです。体が弱く、足の不自由なクロエは、18歳になっても日常生活は母親におんぶにだっこ。しかし、ふとしたきっかけで気づいてしまうのです。「あれ?ほんとは私病気じゃなくね?」、「だとしたら毎日飲まされてる薬なんなん?」と。一度疑惑が生まれると、あれよあれよという間にそれは膨らんでいき、母親が恐ろしい存在へと変わっていきます。子供を支配するために手のかかる子供のままでいさせるのって、こういうのなんとか症候群って呼ばれてるんでしょうか。足の不自由なクロエが真実に辿り着こうとするのを、母親は国連安保理における全盛期のソ連並に阻止します。母は強しといいますが、そんなところで強くなられても、娘としては怖いです。エキセントリックな母親とそれから逃れるために奮闘する娘の戦いをご堪能ください。あと、サイコスリラー名物「注射をすると一瞬で気絶する謎の液体」が登場しますので、『クリーピー』などで謎の液体ファンになった方にもオススメです!

ガンギマリ過保護


THE FIRST SLAM DUNK

監督・脚本・演出井上雄彦という、もうスラムダンクの化身がスラムダンクしちゃった傑作です。長らく待ち望んでいた山王戦のアニメ化を井上雄彦先生本人の手で行ったというんだから、ファンとしては喜び半分、怖さ半分で見に行かざるを得ませんよね。結果としては、最高でした。俺だ!!俺が三井寿だ!!!「ほとんど愛知の星の話だったらどうしよう……」とか思いましたが、そんなことはありません(それはそれで見たい)。オリジナルストーリーの部分があるとは言え、あの山王戦がかなりのクオリティで再現されていて、ファンは大満足したんじゃないでしょうか。「あー、こういう動きになるんだ」というよりも「そうだよね、ここはこうなるよね」という納得感の方が強く、作者本人がアニメ化をしたということもありますが、それ以上に元の原作のスラムダンクがどれだけアニメ化に耐えうるような作画の動きを持っていたか、ということに驚きです。20年以上前の作品ですよ、これ。ある程度そぎ落とされた部分もありますが、すさまじい仕上がりだと思います。オリジナルストーリーの部分がちょっとベタだったり、原作を知らないと完全に置いてけぼりになるシーンもあったりするのですが、もはやこれは作者本人による同人誌だと考えれば、すっきりするのではないでしょうか。もうこれ以上は言いますまい。スラムダンクを1度でも読んだことがある人は、ぜひ見に行ってください。映画版のオリジナルラストは、「そうきたかー!」と誰しもがグッとくることでしょう。

まだもらえるのかな、この特典


来年はどれくらい見れるかなー!

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