【ベスト8敗退国】うろ覚えで振り返るEURO2020
もうあと3試合しかないのが信じられぬ。すべての散っていった英霊たちに敬礼!
前回はこちら!
スイス
大健闘と言えるEUROだったのではないか。初戦はウェールズに引き分け、次にイタリアに完敗して暗雲が漂うものの、トルコを一蹴して決勝トーナメントに。運の悪いことに、相手は優勝候補フランス。しかし、なんかナメてる雰囲気を漂わせるおフランス相手に、ツーヴァーのクロスからセフェロビッチ大先生が覚醒のヘッドを一発で先制。セフェロビッチのパイセンすげえ!でも、相手がラングレだったってことは内緒だぞ!その後も明らかにフランスがバランスを欠いていたのもあるが、一方的に殴られ続けなかったのは、アカンジとゾマーを中心とした守備でしっかりと踏ん張れて、奪ったボールをジャカ、エンボロ、シャキリがきっちりと攻撃に繋げられていたから。しかし、それでも世界王者は強く、後半にはベンゼマの2発、そしてポグバのスーパーミドルで残り15分で1-3の絶望的状況。ただ、そこから再びセフェロビッチ大先生が人生イチの覚醒から再びヘッドで2点目。今度はラングレじゃないけど、どフリースぎんか、それ。そして終了間際には、適当やってるポグバからボールを奪い、ガブラノビッチが甘い守備を突いて起死回生の同点ゴール。そのまま延長に突入し、PK戦ではジャカ主将のコーラがぶ飲み鼓舞に加えてすでに交代済みのセフェロビッチ大先生が同じく交代済みのエンボロに全く無意味なビンタをキメて気合いが入ったのか、ゾマーがエンバペのキックを止めて、勝利。世界王者を沈めた。
元気ですか!!
ベスト8のスペイン戦も開始早々にザカリアが炎のオウンゴールを決める苦しい展開ながらも、ジャカを出場停止で欠きながらベスト16と同様に耐える。そうして、68分には「耐震性能がジェンガ」と噂のスペインCBのミスを突き、シャキリが短い足でゴールを決めて同点。77分には、プレミア基準から国際基準に合わせようとし過ぎた主審マイケル・オリバーがバグってフロイラーにあまりにも厳しすぎるレッドカードを提示。1人を失うことになりながら、そこからは今大会絶好調のゾマーが止める、止める。結局、前試合同様にPKに臨んだが、ウナイ・シモンの不思議な踊りに幻惑されてシェア、アカンジ、バルガスが失敗。ここで冒険は終了となった。相変わらず突出した選手はいないのだが、ペトコビッチ監督が作り上げたチームは堅固で倒しづらく、常にアップセットの雰囲気を漂わせていた。全力を出し切ったのではないだろうか。いつもはベスト16あたりでいつの間にか消えている印象だったが、今大会チェコ、デンマークと並ぶ健闘チームと言えるだろう。プレビューで「エンボロとセフェロビッチのツートップはキツい」とか言ってすまんかった。でも、相変わらずエンボロは初戦のうやむやで取った1点以外は廉価版バロテッリでした。惜しいところまではいくので、来年のワールドカップにはエンボロ2.0に進化しててください。
・気になった選手 ヤン・ゾマー
元々能力の高さには定評があったボルシアMGの守護神だが、今大会ナンバーワンクラスの止めっぷりだったのではないだろうか。特にベスト8でのフロイラーが退場して以降は、神様仏様ゾマー様といった具合の鉄壁っぷり。手を変え品を変えてゴールを襲うスペインだったが、シュートは吸い込まれるようにゾマの手の中に入っていった。スペインはゾマーのキーパーグローブの中にマグネットが仕込まれてないかきっちりと検査を要求したほうがよかったのではないか。そのあまりの止めっぷりに、今のゾマーなら東京オリンピックの開催も止められたのではないかという意見が大半である。そして、誰も止められない大谷翔平もゾマーなら止められるのではないかと思われたのだが、この試合の朝方に4打数3安打2本塁打を打ったので、大谷はさすがにゾマーでも無理かもしれない。というか、大谷翔平は人間をやめすぎであるので、スイスにおかれましては次回W杯には前線の柱として大谷翔平を招集してはどうだろうか。代表経験はないはずだし、大谷の祖父の祖父がアルプスで羊飼いしてたとか言っとけば、まあ大丈夫でしょう。大谷が打って、ゾマーが捕る。最高のコンビが生まれる予感しかない。ぜひご検討ください。
男の背中とはこういうものである
ベルギー
優勝候補!だったはずなのだが、ベスト8であえなく敗退。キラ星のごとくスターがいるチームは、初戦でロシアを一蹴。続くデンマーク戦では苦戦するも、J.Y. Parkさんも「すごくサッカーうまいですね」と激賞するデ・ブライネさんが途中出場から圧巻のプレーで2点に絡んで勝ち。最終戦は調整に当てながらもフィンランドに貫禄勝ちで首位通過。初戦でボヤタを3バックの中央に置いてボヤタマニアを驚かせ、2戦目では代わりに出したデナイエルがハイパーデナイエルミスパスをして失点して先が危ぶまれたが、結局Jリーガー・ヴェルマーレンに落ち着いた。最初からそうしろ。決勝トーナメント1回戦では難敵ポルトガルが相手だったが、寝技に持ち込んで塩試合にしようとするポルトガルにアザール弟の右ストレートが炸裂。その後は「より強く殴ったほうが勝つ」といわんばかりのタレントを使ったひたすらに殴り合いになり、ロナウド、ジョアン・フェリックスを中心とした攻撃を凌ぎながら、山程あるカウンターのチャンスをカラスコが潰しまくってきつかったが、1-0で勝利。追いつかれてたらカラスコはルカクにどつかれてたはずである。ただ、この試合で1年間レアル・マドリーで調整したおかげで好調だったアザール兄がまた足を負傷、デ・ブライネも足首をいわしてしまうなど代償は大きかった。そしてベスト8の相手はイタリア。互角の展開ながらもバレッラに先制されると徐々にイタリアのポゼッション&即時奪回ペースに巻き込まれ、反撃は単発。必殺技「ルカクのグーで殴る」も散々セリエで相手をさせられてきたボヌッチ&キエッリーニに封じられてしまう。時折デ・ブライネが閃きでカウンターを仕掛けるのと、異次元のリズムでチャカつくドクのドリブル突破も単発。前半のうちにインシーニェにビューティフルゴールを決められて0-2。ドクのイカサマドリブルでPKを得てなんとか1点を返すも、後半もペースは変わらず。ルカクの決定機はあったものの、終盤にはスタンドから狙撃されたかの如く倒れ続けるイタリア人男性たちや、審判が目を離した隙にFKに猛然と距離を詰めてボールを体にぶち当てるベラルディアタック(当然イエローカード)などのイタリアンスタイルに幻惑され、そのままタイムアップ。試合後にはディ・ロレンツォの見事なブリーフ股間を見せつけられるという屈辱も味わい、ポテンシャルを活かし切れたかというと微妙な大会終了となってしまった。なんというか「強く殴る」という方針の限界が見えてきた印象。確かにルカク、デ・ブライネ、アザール兄その他のタレントがハマると絶大な破壊力なのだが、それにしても仕組みがシンプルすぎた。そのため、アザール兄はなんとかドクが違う形で穴を埋めたものの、デ・ブライネがは本調子に程遠く、イタリアに中盤を制圧されると本来の攻撃力を出せなかった。主力が高齢化し始めてきているので、今後もこれでいくとなると中々しんどくなってくる感じはある。やはり、イタリアを見習い、この世の終わりのようにめちゃくちゃ痛がってたインモービレが得点入ったら光の速さで立ち上がって歓喜の輪に加わる、みたいな騙し討ち的な観点が必要なのではないだろうか。マルティネス監督におかれましては、最上義光や宇喜多直家などの日本の智将に学び、来年のW杯に向けてピッチ上での暗殺プランを仕上げてほしいものである。
吉本新喜劇だったら「元気やないか~い」ってみんな倒れてるわ
・気になった選手 ジェレミー・ドク
アザール兄の欠場を受け、急遽先発した19歳のチャカつきドリブラー。とにかく初速が速く、その上でリズムが普通と全く違うドリブルを仕掛けてくるので、ゲーム当初から対面のディ・ロレンツォをぶっち切りまくった。この活躍を見て、ジェレミー・ドクにトッテナム、エバートン、ニューカッスルがいいね!をしました。まあ獲得したら「これは別人?」みたいに急に突破をやめてしまうという「フランスリーグのドリブラーは話半分」という太古からの格言に当てはまるかもしれないので、お買い上げの際には「まずはレンタルで様子を見る」、「とりあえずクリスタルパレスに貸す」などの予防措置をとっていただき、ノークレーム・ノーリターンでお願いいたします。しかし、あれですよね、ジェレミー・ドクって名前が最高に胡散臭くていいですよね。まあマネも最初は何だよその名前と思ってたけど普通に大活躍してるので、将来に関してはわからんですな。新しいマネになるか、ニュー・サン=マクシマンになるか、当たるも八卦当たらぬも八卦ということで。ただ、めちゃくちゃいい選手になったら、「EURO2020の時から俺は目をつけてた、なんならジェレミー・ドクは俺が育てた」とボケるまでずっと言い続けるつもりなので、よろしくお願いいたします。
見た目も最高にジェレミー・ドク
チェコ
非常にタフで堅固なチームだった。初戦から超合金ロボ・シックが大暴れ。スコットランド相手にヘディングをねじ込むと、その後にはユーロ2020のハイライトに必ず出てくるであろう超ロングシュートを決めて完勝。2戦目のクロアチア戦ではロヴレンのエルボーを受けたシックが鼻血を出しながらPKを決めるという恐怖映像もあり、1-1の引き分け。
戦慄のフライングロヴレン・エルボー
最終戦のイングランド戦では一切のエンタメ要素を排した純文学イングランドに負けたが、決勝トーナメント進出を決めた。ベスト16はオランダ相手に大金星。優勢に進められながらも中盤と最終ラインでなんとか持ちこたえ、55分にはデ・リフトの退場をシックが誘発。その後にはホレシュが絡んだ2点で見事に勝利した。そしてベスト8はデンマークとの対戦。前半早々にセットプレーからディレイニーに決められ、ペースも圧倒的にデンマークに握られ、前半終了間際にはドルベリに2点目を決められる苦しい展開。それでもクルメンチク、ヤンクトを後半に投入すると急速にペースを握り、シックがまたも得点を決めて1点差に迫る。そこからもかなりチャンスを作り出したのだが、デンマークの堅陣を崩すことができず、敗退となった。好チームであった。中盤中央にはソウチェクとホレシュという走れて闘える選手を置き、サイドのツォウファルはタフに走れる選手。CBのカラスとチェルストカも地味だが固かったし、キーパーのヴァツリークはオランダ戦で抜け出したマレンとの1VS1という絶体絶命のピンチを止めるなど、活躍が目立った。突出したタレントはシックくらいしかいないが、とにかく固くてタフといういかにも東欧っぽいチームになっていた。よくもこれほどサイボーグっぽい面子を揃えたものである。さらなる装甲の軽量化と戦闘AIの最適化、サーチシステムの改善、さらには遠距離レーザーシステムの導入など機体の強化を図っていただき、敵の発見と即時殲滅を狙っていってほしい。ちなみに大会前に怪我で離脱したGKパブレンカの出身はチェコのフルチーンというすごくどうでもいい情報を得ましたが、怪我した箇所が腰というのがフルチーンエピソードでとてもいいですね。
・気になった選手 パトリック・シック
私はシック、サイバーライフ社から派遣されたアンドロイドです(Detroit: Become Human)。ベスト8の得点でロナウドの5点に並んで現在得点ランキングトップ。ライバルが軒並み敗退してしまったので、ハリー・ケインがハットトリックとかでもしない限り、ほぼほぼ得点王の座を手中にしたのではないだろうか。2012年大会では3ゴールでザゴエフが同点トップに立ったというユーロの得点王という名前にいかほどの価値があるのかというと微妙ですが、それでもないよりはマシでしょう。ただ、それも納得できる今大会のシックの活躍。これまであまり見たことがなかったのだが、ハイボールに競れるのはもちろんのこと、スピードもけっこうあるし、テクニックもあるので、機体としてはとても優秀ではないだろうか。なにしろシュートの思い切りがとてもよく、電柱というよりはストライカーという感じがビンビンにしてくる。ネクスト・イブラヒモビッチはきついにしても、新しいエディン・ジェコあたりは狙えるかもしれない。気づいたらアンディ・キャロル2世とか、東欧のアルバロ・ネグレド、ケヴィン・デイヴィス2.0あたりに落ち着いてる可能性もあるが。問題は全然25歳に見えないことであるが、未来からタイムスリップしてきてチェコ代表を救いに来たサイボーグがそういう設定であるという風に考えれば、そんなに気にもならないだろう。悪のサイボーグ・ソウチェクを追ってきた正義のサイボーグ・シックというのでどうだろうか。どうだろうか、と聞かれても困ると思うが。
I'll be Schick
ウクライナ
成績最下位でグループリーグを突破したチームとしては、ベスト8は僥倖ではないだろうか。1戦目はオランダといきなりの殴り合い。ヤルモレンコとヤレムチュクの「ヤレるのか?ヤレないのか?」コンビが得点するも、進撃のドゥンフリースに沈められました。2戦目も「ヤレるのか?ヤレないのか?」コンビが共に点を取って北マケドニアに勝利し、ヤレたかも委員会がゲストで呼ぶかもという噂も。3戦目はオーストリアにヤラれて勝点3で万事休すかと思いきやなんとか首の皮1枚繋がって決勝トーナメントに。1回戦ではスウェーデン相手にジンチェンコのボレーで先制するも、”堅守速攻界のメッシ”ことフォシュベリに決められて同点。そこから延長戦になだれ込んだところで、終了間際に途中出場のドフビクが劇的なゴールを決めて、興奮のあまりブラ姿を披露。世界のマッチョ×ブラ好きを興奮させてくれた。
ブラじゃないよ、大胸筋矯正サポーターだよ
そして、挑んだイングランド戦だったが、開始4分で眠れるハリー・ケインを目覚めさせる一発を食らって出鼻を挫かれた。そこからプレスを掻い潜ってゴールに迫るのだが、中々得点することはできず。恵まれたタレントを全部相手への嫌がらせにつぎ込むことに決めた今大会のイングランドは、守りながら適度にカウンターを繰り出して得点を追加し、結局0-4の大敗。大会から退場ということになった。ただ、まあこのチームとしては最上位の結果ということだろうか。ディナモ・キエフ+シャフタール・ドネツク+国外組の傭兵といういかにも旧共産圏という感じのチーム構成は、まるでクラブチームのように戦術の練度が高く、シェフチェンコ監督が目指すテンポのいいショートパスを使った攻撃的サッカーというのはかなり良く表現できていたのではないだろうか。今大会のウクライナ絡みの試合はたいてい乱戦となっていたのだが、それはどんな相手でもチャンスを作れるチームだったからこそ。それはドイツが沈黙したイングランドのプレスを掻い潜れていたことからもよくわかる。失点がやたら多いなどの課題はあるが、見ていて面白いチームだった。次のW杯に向けては、失点を減らすのもそうだが、「とにかく前線に異常に左利きが多い」という特徴を生かして、さらに左利きを集め、フィールド全員が左利き、ベンチも全員左利き、右利きのシェフチェンコ監督はクビということにしてはどうだろうか。左利きばかり集めた結果が自分の首を絞めることになるというこの寓話は、ウクライナ残酷童話集8巻に掲載されています。
・気になった選手 アレクサンドル・ジンチェンコ
世界の陽キャ・ジンチェンコはこのチームの最重要人物として、左サイド・インサイドハーフなど多彩な役割をこなした。シティではいつの間にかやたらと対人に強いディフェンダーみたいな扱いになっていたが、さすがにあのサッカーで鍛えられた足元のテクニックはかなりのもの。スウェーデン戦のボレーもお見事だったし、やっぱりメンタルとしては前目の選手なんだろうな。スピードがあまりないので相手をぶっちぎったりとかはできないのだが、後ろと前線を繋ぐ局面において間違いが少ない選択肢を常に行っていた。また、対人が強いのでボールを奪われた後でもすぐに当たりに行けるのが強みでもある。ただ、プレーはいいのだが、試合中の情緒がけっこうおかしくて、見ていてちょっと不安になることが多々ある。陽キャは陽キャなんだけど、椅子に座ってられない子供というか、檻の中で常に動き回ってるチーターとか、そんな感じ。スウェーデン戦でゴールした時には「静かにしろ」って指を口元に当てる仕草をしているにも関わらず、自分が一番叫びまくっていたという驚愕のパフォーマンスを披露。今後はさらに、「5分に1回はコサックダンスをする」、「急に猫の物真似をしてボールにじゃれつく」、「シェフチェンコ監督の耳を舐めて「へへっ、これが自由の味ってやつかァ」と囁く」など、情緒不安定さを試合中にビンビンに出していって、最終的に大きな病院に連れてかれてください。
お前がまず静かにしろ
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