中小ベンチャーCFO業務の全体像(その1)
数字とロジックで経営と現場をExit(IPO、M&A、優良中堅)へナビゲートする。ベンチャーパートナーCFO®、高森厚太郎です。
前回の記事「経営チームのメンバーであるCEO、COO、CFOに必要なスキルとマインド」の続き、本連載のテーマ「中小ベンチャーの成長マネジメント」の中心プレイヤーとなる「中小ベンチャーCFO(社内、社外を問わず)業務の全体像(その1)」です。
■ 中小ベンチャーCFOの全体像
これまでの連載で触れてきた通り、「CFO」は、CEOやCOOのように事業を推進していく立場ではなく、管理サイドに身を置いて、事業を客観的に俯瞰する立場です。「経営管理担当の参謀」として、主として「カネ」に関する部分、PLCFマネジメントやファイナンスの役割を負うことになります。加えて、中小・ベンチャー企業であれば、「ヒト」に関する部分、HRMや採用、組織設計など組織管理全体も見る役割を担うことが多いでしょう。その意味で、経営管理担当の参謀のみならず、管理部長的役割も負う、つまり経営者の仕事のうち、(3)リソースの調達と配分の全社的戦略を整えていく立場となります。
ここであらためて中小ベンチャーのCFOの具体的業務を、必須業務からここまでできれば真に重宝されるレベルの業務まで、順に紹介していきます。
■①全体管理
企業の全体を経営管理する業務です。すなわち、企業のミッションやビジョンを確立し(理念策定)、それに則って戦略を策定し、組織を整える。戦略を数値に落として事業計画を立て、会議体を設計するなどしながら、計画を推進。PDCAを回しながら成長を果たしていくというものです。
なかでも重要なのが成長戦略です。企業は必ず成長を志向します。経営者(CEO)はいったん事業が回り出せばより多くの利益を上げたいと考えるでしょうし、その事業が世のため人のためになると信じられればより拡大させる使命があると考えるでしょう。このように、成長は企業経営の始まりであり、根幹です。その成長戦略をCEOと一緒に立てていく、あるいはCEOが立案するのをサポートするのがCFOの役割となります。CFO特有の中立的な立ち位置を活かして合理的に戦略を立てること、数字に強いという特性を活かして戦略を適切に数値化・可視化することなどが期待されます。
■②PL/CF改善
PL/CFの改善は、④資金調達と並び、CFOの主要業務となります。事業の取引を集計して整えて、P/L(損益計算書)やB/S(貸借対照表)を作って、利益を算出する。会社のおカネの出入り、CF(キャッシュフロー、資金繰り)を見て、事業を回していくのに必要な資金を算出する。これらの実務は経理や財務の実務担当者の仕事ですが、その数字を見て、今後の会社の成長のためにどのようなP/L、CFを作っていくべきか。経営の視点からP/L、CFを整えていくのは、経営メンバーの一人であるCFOの仕事です。
このPL/CF改善は、CEOからの相談で改善策を講じる場合もあれば、CFOが自ら気づいて進める場合も、外部のたとえば銀行や投資家からの指摘で進める場合もあります。いずれにせよCFOがリードしてCEOや外部関係者の数値的要望を確認しながら改善策を講じ、従業員を巻き込んで現実化していく役割が期待されます。
次回は、続きの③組織マネジメント、④資金調達について触れていきます。
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