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ちょっと気を付けると写真はレベルアップする 

きれいな景色を記録に残したいとか人に見せたい、と誰もが思います。
それを写真で撮るとき、ちょっと気を付けるだけでレベルアップすることを説明します。 

これらの内容は自分が写真を本格的に始めた頃に諸先輩方から聞いて、その後実践していることなので、体系的にはなっていません。

それでも、普段から気にしてもらえればグッと良くなると思います。


1.見た人の視点はどこに行くか

写真を見たときに、注目して欲しいところに見る人の視線を誘導できる構図・構成になっているか。

咲き遅れたナガミヒナゲシ
ウィンドウディスプレイ
古刹のツバキ

写真教室などでは「主題と副題を明確にするように。」とか言われているのと同じと思いますが、それより「ここを見てくれ!」と思って撮った方が明確になるような気がします。

ただテクニックとして三分割法などの基本構図は勉強しておいた方がいいと思います。

2.風景写真では空は入れない

そんなことを言われても「風景を撮るのに空を入れないのは無理!」と思われたと思いますが、次の事例を見てください。

(バックとの境目をハッキリさせるために写真に黒枠を付けています。)

ダム湖の秋(ソラなし)
(ソラあり)

最初の写真では視線が湖の奥に行くのに対し、空が写り込んだ下の写真は視線がさまよう感じがあると思いますが、どうでしょうか。
(クリックして大きくして見ると、より差がハッキリすると思います。)

これは、最初の項目の「見た人の視線」と同じ考えで「撮影対象物を明確にする。」ということです。
人間の目はどうしても明るいところに注意が行ってしまうそうです。

勿論、空があってこその風景写真もあるので、これに固執している訳ではありませんが、風景写真を撮るとき「空をどうしようか?」と考えてみてください。

下の武家屋敷の塀(角館)を撮るときにもこれを意識しました。


3.一部に輝く部分があると、暗く感じない

これも実例を見てもらうのが速いと思います。

びわ湖の朝日
村上市「千年鮭きっかわ」の鮭

この四つの例は、黒くつぶれた部分があるにも関わらずそれぞれ写真として成立しています。

これは一部に輝いている部分があると、そこに視線が注がれて脳が周りの黒を許容するためでしょう。

自分が写真を始めた頃には、こんなことは全く知りませんでした。
そしてそうした写真がきれいなことに気づかされたので、その後早朝の写真が増えました。(そのために車中泊を活用しているとも言えます。)


4.三脚は不要

これは、ある写真撮影ツアーに参加したときに講師から言われたことです。

今はスポーツや野鳥撮影などの場合を除いてあまり三脚を使っている方は見かけませんが、それはカメラの性能が向上してフィルムカメラの時代では考えられない高ISOや、高速シャッター、または手振れ補正機能によって低速シャッターが使えるからです。

この講師が言いたかったのは、「最近のカメラは性能がいい」ということではなく、手振れのおそれが少なくなったので三脚から解放されて撮影者がいろいろ動いて最適なカメラの位置(アングル)を探した方がいい、ということです。

尾岱沼(おだいとう)の夜明け

この夜明けの写真は、シャッター速度:1/40 F:4.0 ISO:1000 焦点距離:24mm カメラ:EOS6D で手持ち撮影しています。

フィルムカメラでは、シャッター速度が1/40秒だと完全に手振れします。

夜明けの光は分単位で変化していきます。このときも、その変化に追われながら右端に枯れ木が入る位置を決めて撮りました。
三脚を据えて撮る時間は無かったと思います。

ハザ木のある風景

これは、シャッター速度:1/2000 F:5.6 ISO:100 焦点距離:300mm カメラ:EOS6D で手持ち撮影しています。

昔は300mmの望遠を手持ちで撮ることは考えられませんでした。

この写真は田舎道を車で走っているときにたまたま見つけた風景です。
以前はハザ木として使っていたであろう木々のシルエットが傾きかけた太陽の光に浮かび上がって面白いと思い、車を端に寄せて撮ったものです。

これも手持ち撮影の気軽さがあったからだと思います。


5.見せたいもの以外を整理する

これも実例をみてもらいましょう。

実は、最初の写真(A)はその下の写真(B)をトリミングし、若干メリハリを効かせたものです。

(A)でも被写体が群生する花の一つであるという情報は失われおらず、見せたい花の他はボカして整理しています。
一方の(B)は周りはボケていても情報が多すぎて視線がさまよいます。

この写真の場合、手前に柵があって花に近寄れなかった、という状況でしたので、見せたいもの(主題)の近くに他のものがあまり写り込まないアングルから狙って、後でトリミングしようと決断した訳です。

亡くなられた写真家の秋山庄太郎氏がある対談で、「皆さんがこれを撮りたいと思ったモノは70%美しいに違いない、あとの30%は周りに写り込むものを整理すればいい写真になります。」と、このことを上手く表現されていたのを思い出します。
撮影時には、いつも肝に銘じています。

皆さんはもう気付かれたと思いますが、この見せたい花の周辺を整理する話しと、その上の「4.三脚は不要」の話しは、この記事の最初に述べた「1.見た人の視点はどこに行くか」と同じことを、より具体的に語っているだけです。


6.有名画家の絵を沢山見る

これも写真撮影ツアーの講師に言われたことです。

歴史上の有名画家の絵は現在においても沢山の人に美しいと思われていて、それには何かしらの理由があるハズです。

それは、この記事の最初の方にも書いた構図とも関係するのですが、被写体の配置や明暗などが重要な要素で、他にも名画ならしめている何かがあるかも知れません。

沢山の名画を見ることで、それを名画ならしめている要素の勉強をしろ、ということだと理解しています。

あるとき、剣豪で有名な宮本武蔵の枯木鳴鵙図の実物を見たことがあって、書かれている木の枝の勢い、そしてその枝と周りの余白のバランスがすばらしいと思いました。

モミジバフウの葉っぱが半分紅葉した下の写真は、この絵を参考に大胆にトリミングしてみました。



今回は以上としますが、書き足りない事とか新たな作品の方が説明には適切だと思った場合には内容の更新をして行きたいと思います。


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