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企業のファクトリサーチは業界内の物語を書くつもりでやろう

ファクトリサーチをするとき、どんな意識で取り組んでいるでしょうか。よくある行動は、ひとまず市場規模の推移を検索して、対象企業の売上高推移を見て、2位もみて…と、ただ”作業”を行うことです。これでは何がしたいのかわかりませんよね。

基本的には「市場のダイナミズム」を感じられるものにする

ファクトリサーチは(具体的な目的もあるでしょうが)基本的には「市場のダイナミズム」を感じられるものにすると面白いものになるはずです。

ファクトリサーチにおける「鋭い」とは「異常点をしっかりつかんでいるリサーチ」のことを言うと思います。「ただ表面をなでるようにファクトを並べただけのリサーチ」は、speedaからダウンロードしたもので充分です。
ただ、変にひねり出そうとはしないでください。それで「変わった感じだけど正しくないアウトプット」が出ることは避けてください。

こんな企業がでてきて、こんな陣形をとって、それぞれこんな点を武器にしながら戦っていき、”関ヶ原”はこの年のこの動きだった。それで決着がついた。そんな物語を書ければ、「鋭いリサーチ」になるでしょう。

ファクトリサーチはプロフェッショナルの基礎がたっぷりつまった課題

では、どう業界の動向に関するファクトリサーチを鋭いものにするかについてです。これは、まさに仮説思考、定性(抽象)と定量(具体)の行き来、そしてアウトプットのつくり方など、プロフェッショナルの基礎がたっぷりつまった課題だと思います。

とにかくデータを集めてみてから何かに気づけるかのような、“間違い探し”みたいなことをしてはいけません。ちゃんと仮説をつくって、その仮説を立証していくことを繰り返して、だんだんと深いところまでファクトを積み重ねていきましょう。それが、濃密な業界内の物語になるはずです。

まずはマクロからざっくりと捉え、ミクロに事実確認をしにいく

最初はざっくりとしたマクロの理解からです。その業界について語られたものを読みましょう。「XX業界がよくわかる本」とか「業界地図」とかそのレベルのマクロ感からスタートします。できるなら社内でその業界出身の人がいれば、捕まえて話を聞きましょう。そうすると「市場は伸びているが、特にA社がすごい」というような、マクロトレンドは捉えられると思います。ここで重要なのは「特にA社がすごい」というようなトピック(もしくは異常事態)を抑えていくことです。

次にそのマクロトレンドを証明するデータや事象など、具体的なものを探しにいきましょう。「業界の中でA社のシェアの推移」や「A社の業績推移」などです。

「歴史の転換点」をとらえる。そこで何が起きたのか、深堀りをする

そして課題設定をします。例えば「A社が伸びているのは何故なんだろう」「A社のシェアが2015年からぐっと伸びているのは何故だろう」ということです。業界の中で伸びるA社と競合のB社やC社との違いは?とか、2015年にA社が何をした?とか、その異常点こそが業界における重要なファクトだと思います。

業界の面々として、A社B社C社を淡白に並べて解説するより、A社が特に伸びているという文脈の中で、その違いについてをしっかり書いてくれればいいんです。「クラウド化への対応」みたいなものが2015年の転換点であるなら、A社以外の会社についての紹介文にも、クラウド化への対応についてが掛かれているべきです。

アウトプットは文章なら小説であり、プレゼン資料なら紙芝居に

アウトプットにおいても、A社B社C社のシェアのグラフを並べてA社が伸びているとだけ書くのでなく、ちゃんとA社にフォーカスしたカラーリングにしましょう。

物語には主役と脇役、そして悪役が必要です。アウトプットにストーリーがしっかり表れて面白いものになるので、ぜひ意識をしてください。

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