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イーロン・マスクにも気付いて欲しい、日本の消滅より重要なこと。

電気自動車の大手、テスラ社の創始者で、
最近、ツィッター社を買い取るとのことで話題のイーロン・マスクさんが、
日本の出生率と死亡率の比較を見て、
「日本はそのうち消滅する」と語ったことが話題のようです。

私がこのことから感じるみっつのことを書いてみますね。

ひとつめ。日本人と日本メディアの劣化についてです。
イーロン・マスクというアメリカの有名人が発言したことで
今回はメディアも取り上げ騒ぎになっていますが、
日本の人口減少はだいぶ前から大きな問題であり、
警鐘を鳴らす人は鳴らし続けていました。

日本の人口のピークは2004年のことであり、
そこから下落に転じてすでに約20年です。
そしてこの流れはちょっとやそっとでは変えることはできません。

理屈は簡単です。人口は途中からは増えないからです。
例えば私は1971年生まれですが、1971年生まれの人口は、
それからときを経るごとに減る一方であって、決して増えません。
当たり前ですね。人は死ぬことはあっても生き返りませんし、
生き返ったとしても、
その年の最初の人数が最大であってそれ以上は増えません。

途中から増えることがない以上、人口の動態というのは
かなりの時間の流れを要しながら変化していくわけです。

今のところ人類は女性しか子供を産めませんから、
ここでは人権の問題は無視して生物学上の話として書きますが、
今年生まれた女性が子供を産める年齢にまで成長し、
例えばそれが18歳くらいからと見込んでみましょうか、
そして子供を産むことが不可能になる年齢まで生きるとします。
それを仮にここでは45歳くらいとしておきましょう。
あくまでも仮にです。

それは具体的には今年が2022年ですから、
2040年から2067年までとします。
一般的には子供を授かるにはひと組みの男女が必要だとして、
人口が増えるということは、
一人の女性が生涯に2~3人の子供を産まなければいけません。

女性、全員がですね。

一人でも子供を産まない人がいたり、一人しか産まないだけで、
他の女性への負荷はどんどん大きくなります。

それが人口の算数上の事実です。
繰り返しますが、ここでは人権は置いています。

日本の特殊出生率(一人の女性が生涯に生む子供の数)は
1.34とのことなので、2からは大きく下回っていますよね。

今、生まれる子供の数が少ないということは、
先ほどの話で言えば2040年から2067年までに親になる女性の数そのものが
どんどん減っているということですから、
もし、2022年に生まれた女性が生涯に生むこの数が
仮に2~3人になったとしても、
親の数そのものが減っているわけですから、
人口全体の減少傾向に歯止めをかけるにはまだまだ足りないし、
時間がかかるということです。

何が言いたいのか、というと、
もう日本の人口減少は止められないのです。
減少の幅はあるものの、減少していくということは止められない。
ですから、ここから「増やそう」とするよりも、
何か別の「適応」を考えるべきなのでは?というのが私の考えです。

日本の人口は明治維新の頃までは3300万人程度で、
第二次大戦の終戦時で7200万人。
今後の予測では2100年ごろには多くて6400万人、
少なくて3700万人の予想です。
まぁ、私としては4000万人くらいで
安定するのがいいのでは?と思っています。

日本は国土が狭いですからね。
しかも人口が減れば必要な食料やエネルギーの総量は減ります。
その頃は絶対に脱炭素が実行されていなければならないわけですが、
人口が減っていれば脱炭素もしやすいはずですよね。

日本はこのままある一定まで人口を減らし、
あるところで定常化させるというロードマップを
立てるべきと私は思っています。

当然、経済規模が小さくなりますから、
今のままの資本主義がつづいているなら、国力は弱くなります。
今のままの尺度がつづけば、です。

私の意見は置いておいて、問題は日本のメディアですね。
これまでずっとわかっていたことなのに、ダンマリを決め込んでおいて
イーロン・マスクが発言したら、
まるで初めてわかったかのように大騒ぎです。

あなた方が2000年くらいのときに大騒ぎしなかったせいで、
もう日本は完全に手遅れになっているわけで、
メディアの罪は大きいのです。
それと、自分のことを自分で語れず、
外圧でしか気づけないこの国の情けなさですね。

本当にダメな国だと思っています。
このまま衰退するのが相応しいんですよね、実は。
落ちるところまで落ちて、
そこから皆で本気になって自力で這い上がるしかないと思っています。
皆さんはどう思われるでしょうかね。

ふたつめは、イーロン・マスクさんの
「このままでは日本は消滅する。
 それは世界にとって大きな損失である」という発言の、
後半のほうのことなのです。

え?今さら、この日本がなくなったら世界の損失?
日本を有効な市場だと思っているのかな?

これを見るに、
イーロン・マスクさんは資本主義がこのまま継続していっても
人類は持続していけると思っているようです。

まぁ、今、電気自動車で飛ぶ鳥を落とす勢いなわけですから、
そういう気持ちになるのもわかります。

でも、私はイーロン・マスクさんのような人にこそ
この大宇宙の絶対の法則であるエネルギー保存の法則と、
エントロピー増大の法則をしっかりと理解し、その上で、
人類の持続可能性について考えて欲しいのです。発信力がありますからね。

どういうことか、簡単に言います。

この地球上にあるものはすべて、人間も含めてすべて、
原子と分子からできています。
そして姿形はいろいろと変わるものの、その総量は変わらないのです。
これを「エネルギー保存の法則」と言います。

私たち人間の体は、私たちが食べたものの分子が姿を変えたものです。
そして私たちが排泄したものも、
やはり私たちの分子が姿を変えたものであり、
それが別の生き物に姿を変え、
地球上の分子はグルグルとまわっているのです。

これは精神論ではなくて、科学的な事実として、
地球はひとつの有機体なんですね。
私もあなたも、地球の一部であって、地球そのものなんです。

と、いうことはですね、
今後、地球の人口は100億に達すると言われています。
今は80億くらいでしたか?
では残りの20億の人間がこれから生まれてくるわけですが、
その20億人分の人間の分子はすでにこの地球に存在していて、
それが人間になっていくということなんですね。

意味わかりますか?
食糧危機は当然、やってきます。

分子の総量が変わらないのだから、当たり前です。

ここでもうひとつ重要なのがエントロピー増大の法則です。
これは簡単に言うと、
いちど掘り返した資源を使うと、二度と資源には戻せないよ、
ということだと思えばいいです。

大量の水の中にインクを一滴たらすと、
それはどんどん拡散して行きますよね。
決して自然にもとの一滴のインクに戻りません。
このように、ときの流れの中で
物質は秩序をなくしていく方向にしか変化しません。

これがエントロピー増大の法則です。
人間は、地球を掘り返して資源を使い、
それをもう使えないゴミに変換しているのです。
人間の経済活動の本質は資源をゴミにすることです。

そしてゴミは二度と資源には戻りません。少なくとも自然には戻りません。
もちろんリサイクルや循環型社会を実現することで、
再資源化は可能ですが、
そのためには別のエネルギーを大量に消費しますから、
やはりトータルにはエントロピー(無秩序さ)は増大するのです。

再生エネルギー化することや循環型社会で
地球をゴミの星にするまでの速度を落とすことはできますが、
避けることはできない。これが宿命なのです。

ガソリン車を電気自動車にし、電気を再生可能エネルギーにすれば
地球へのダメージは格段に少なくなりますが、
太陽電池も、電気自動車も、やはり最後は地球のゴミになるしかない。

そういう宿命の中に、我々人類は生きているというのが現実なのです。
それを踏まえた上で、未来像というものを描かなければいけない。
人類の持続可能性だけを考えたなら、
できるだけ何もしないでいることです。
それが種としていちばん長く存続することでしょう。

でも、それは実際には難しいわけですから、
セカンドベストとしてはどんな手があるのか、
みんなで考えなければなりません。

あ、それはイーロン・マスクさんに聞いたってわかりませんよ。
誰にもわかりません。
みんなで考えていくことなのです。

どちらにせよ、今のままの資本主義は、
地球をゴミの惑星にする日を早める仕組みなので、
私はどうにかそこを変えなければ、と思っています。

みっつめ。最後です。
今回のことを書くのに、イーロン・マスクさんを調べたら、
彼も1971年生まれの同い年であることがわかりました。

やはり、今50歳くらいの、
我々の世代が未来を握っていると勝手に感じています。

我々が今後10年で何を変えられるかが人類の勝負だと思います。
最後は短いですが、そんなところです。

私はどうも好きになれない安倍晋三さんが、
日銀は政府の子会社だと発言してニュースになっていますが、
大嫌いな安倍晋三さんながら、その考えには私は賛成です。

大切なのは日銀の独立性ではありません。
人類の持続可能性です。

そのためには、今までのルールは躊躇なく変える必要がある部分も
出てくるはずなんですね。

ただ、安倍晋三さんたちは、その変化を悪用する可能性が高い、
ということが最大の問題なのです。
やっぱり属人性から逃れられませんからね。

はてさて、人類はどこへ向かうやら。
一人でも本気で一緒に考えてくれる人が生まれることを祈ります。

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