令和3年度京都大学法学部3年次編入試験に合格したので、受験生のために体験記を残す
こんにちは。Teaです。
本記事では、令和3年度京都大学法学部3年次編入試験の合格体験記を読むことが出来ます。
もともとnoteはやるつもりなかったのですが、せっかくの経験をアウトプットしないのはなあ、と思い、ここに記すことにしました。
というかお前は誰やねん、と言われそうなので、少し自己紹介します。現在大学2年生で、どこかの大学の国際系の学部に所属しています。
受験校は京大のみです。TOEFLibtのスコアは60点でした。
受験までの経緯をお話してから、アドバイスというほどでもないけど、やっておいた方がいいことや、やって良かったこと、後悔したこと、今思うことをお伝えしようと思います。
個人的にやっているブログと同じように書くので、さらさら読めます。ご安心下さい。
動画はこちらから。ラジオ感覚でお聞き下さい。
高3 3月 編入受験を決意
私は、高校3年生で京大の文学部を受けましたが、不合格でした。高1の時から憧れがあったので、落ちたのはかなりショックでした。
落ちてただただ悔しかったですし、成績が伸び悩んで不完全燃焼感があったのもあり、悔し涙を流しました。
母には、「編入や院進でまたチャレンジすればいい」と言われ、迷わず京大の編入試験を受けることを決意しました。
やりきってから後悔なく、正式に受験生活を終えたい、と思ったのです。
大学1回生 問題連発
私は張り切って勉強を始めましたが、ここで問題が連発していきます。。
まず、モチベーションが保てない。編入なんてやらなくても死なないし、周りが自由に遊んでいる中、何してんだろう、っていう気分になります。
そして、全力のアウェー感。
大学受験って、もう世間の風潮からして、絶対受けなきゃいけないものみたいな位置づけなんですよね。半強制的なんですよ。本来受験なんて自由なはずなのに、高校生の50%は大学に行くんです。
しかも、大学受験にいくらかかろうが、2浪くらいしようが、みんな文句言いません。なんだかクレイジーな世の中です。
でも、その後の勉強や受験は、必ず「学歴コンプ」とか「学歴ロンダリング」とかディスられる。出会い系アプリで出会った、D大学の男性に編入の旨を話したら、上記のようにディスられました。(即別れた)
18歳以降は努力しちゃいけない、18歳で決まった学歴をずっと背負わなきゃいけないなんて誰が決めたんでしょうか。学歴社会のワリには、勉強し続けている大人に対しても目線が冷たいですよね。
そして最後に、情報少なすぎ。マジで、情報少ないです。
周りに編入したという体験をした人もいないし、必死にブログやTwitterを使って情報を集めました。
基礎的な勉強、TOEFL対策
ここで、1年生の時にどんな勉強をしたか、ということも書き残しておきます。法学は、この1年は、良さそうな参考書を買い、繰り返し読みました。
当時はこれでかなり勉強しているつもりでしたが、今思えば、読んで終わりだったな、と反省してます。
私が編入に使った本は、あとでまとめて載せておきます。
英語のほうは、早くTOEFL受けて、慣れときゃ良かったなと後悔しています。値段は張るけれど、たくさん受けた方が伸びやすいです。絶対。
私は、1年生の12月にようやく初受験しましたが、編入決意したらすぐに、受けに行って、結果を見て対策していってください。
結局、私は5月まで粘りましたが、高得点が取れず、60点という低スコアで出してしまいました。(京大合格者の平均は80点)あんまり英語のアドバイスはできないですね。
言えるのは、「早めに対策して、高得点取っておきましょう」、これだけです。
大学2回生 Tea 挫折する
2年生になって、試験までいよいよあと約半年、ということになり、合格者を多く輩出しているECC編入学院のWeb講座をとりました。
高いスコアがとれていなかったので、TOEFLの勉強も続けていました。
しかし、TOEFLのスコアが一向に上がらず、毎日勉強していても、手応えのない日々が続いていました。
法学についても、勉強をしていても、どうしたら京大の問題が解けるようになるのか、全然分からずもやもやしながら勉強していました。
そんな勉強の状況が続き、私は少しずつ病んでいきました。
そうして、2020年の6月ついに心が折れます。
挫折した原因は以下の通りです。
・進歩が見えなかったこと
・孤独
・ただただストレス
・モチベーションが保てなくなってきた
・キャパオーバー
です。
この時の私は、多分プチ鬱状態でした。何をしても成果が出ず、お先真っ暗で、コロナで人とも会えず、編入に関して誰にも相談できない。
なんでこんな辛い思いして京大に入らなかんのだ、と思えてきてモチベーションも保てなくなっていきました。
精神的に参ってましたね~。
そして、私は法学も英語も勉強を辞め、2ヶ月くらい、勉強しない期間を過ごしました。
その間、高校の時仲良くしていた友達から「編入頑張れ!」とメッセージが来ると、心を痛めながら「頑張る!」と返していました。
なぜか再決心した
自分でも分かりません。
2ヶ月休んで頭が冷えたのか、一度決心したことは諦めないと決めていたのか、「諦める」と親に言いたくなかったのか。
8月に再決心し勉強を1からやり直しました。
今思えば、頑張りきってスッキリしたいという当初の目的がよみがえったのかも知れません。
試験まであと3ヶ月、ということで、法学もTOEFLもどちらも頑張るのは無理だな、と思い、法学に一点集中することにしました。
こうして、8月は、基礎の本を読み、講義を受け、アウトプットしまくり、法学の基礎を固めました。
編入予備校の対面授業
これがなかったら、やっぱり諦めていたし、続けていても試験日にまともな答案を書けなかっただろうな、というものがあります。
それは、編入予備校での対面授業です。
編入予備校の映像授業はとっていたのですが、コロナの関係や、対面に行く度胸がなかったことから、対面授業はとっていませんでした。
しかし、「せっかく秋の授業から大学も対面だし、京大講座は緊張感あふれる中、質の良い授業を受けられるよ」と予備校のアドバイザーさんに言われ、9月から意を決して通うことにしました。
講師の方は、京大に毎年合格者を出していて、編入界隈でも有名な方でした。また、教室で講義を受けている仲間達は超優秀。はっきりいって自分以外、天才でした。
毎回の講義はド緊張で受けてました。講義では当てられまくるし、今までまともに書けなかった答案も書かされまくりました。
しかも、合格者のTOEFLのスコアは平均80点ということを知ったとき、かなり凹みました。
何回か心が折れました。うん。(笑)
まわりの天才達に勝てる自信がねえと。
しかし回数を重ねていくうちに、変化が現れました。
合格ラインに達している答案が書けるようになってきたことです。
回数を重ねたこと、添削を受けたこと、返ってきた答案を見て分析、改善したことが、要因だと思っています。
先生が書いた答案を添削してくれ、ここは良い、こういうこと書けばもっと良い、そのようなアドバイスをくれました。
返ってきた答案を見て、「もっと分析して、色々な切り口から論じてみよう」とか「功利主義とか入れてみよう」とか、そんな風に、講義後にマックに居座って、分析して、反省ノートを書いてました。
こんな感じで試験までの1ヶ月をすごし、試験では、これまで学んできたことをすべて出し切ることができました。
試験を終えて
無事に試験を終えたものの、落ちただろうなあ、と思いながら待ってました。
自分の書いた論文は振り返れば振り返るほど、クソに思えてくるし、そもそも英語の点数が低すぎる。
でも、学部試験が終わったときのような、後悔や、やりきれなかった感はないです。
そりゃ、こうすればよかった、ああすればよかった、ってことは探せばいくらでもあります。
それでも、「やりきれた」「なんだかんだ楽しかった」って思えていたのが良かったです。
まさかの合格
12月18日金曜日、10時、合格発表でした。
しかし、私は落ちたと思っていたし、不合格を知りたいと思わなかったので、10時半からの2限の授業を受け、家に帰ってから、コーラ飲みながら海外ドラマを見て、めっちゃ現実逃避していました。
不思議だったのは、落ちたと確信していたのに、すごく不安で恐怖を感じ、吐きそうなくらい緊張したことです。
合否を知る手段は3つでした。
1 京大まで行って掲示板を見る
2 京大のホームページで見る
3 合否通知が郵送されてくるのを待つ
私が京大の文学部に落ちたとき、ホームページで見たので、なんとなくトラウマで、2は除外でした。
速達でも、次の日になるだろうな、と思い、緊張し続けるのが嫌だったので3も除外しました。
残るは1しかありませんでした。
京大には、バスで行ける距離でしたので、現実逃避を辞めて、意を決して見に行くことにしました。
バスの中では、「落ちてもすべて無駄だったわけじゃない、大丈夫だ」と自分に言い聞かせてなだめました。
京大に着き、掲示板まで重い足取りで向かいました。遠目から自分の不合格が分かるのが嫌だったので、下を向きながら、掲示されている紙をちらっと確認し、見る前に深呼吸しました。
そうして、パッと顔を上げ、目に飛び込んできたのは、自分の番号でした。
ちょっと一瞬意味が分かりませんでした。
スマホから、受験票の写真の引っ張り出してきて、番号を確認すると、自分の番号はやはり自分の番号でした。
混乱と興奮の狭間に突き落とされた私は、一旦その場を離れて、もう一度番号を確認し、パニックになりながら、母に電話をかけました。
その後、インスタもTwitterも「おめでとう」フィーバーでした。
ECCで同じクラスだった方で、合格だった方もそこにいて、少しだけお話しました。(お互い顔と名字だけ知ってるレベルで初めて話しました)
直前の勉強
最後の1、2ヶ月の勉強内容をここにまとめます。
私は2ヶ月くらい休んだ時期があり、TOEFLも60点のまま全然伸びず、かなり、ハンデがあった状態だと言えます。
それでも合格できたのは、予備校のおかげであると思っています。
既述の通り、2020年の4月、ECC編入学院のWeb講座をとりました。ただ、早めに対面には行っとけば良かったなと思ってます。仲間と先生の存在は重要。
ECC編入予備校の対面授業に行き始めたのは9月でしたが、そこでは授業を通して、京大でよく使う知識や、答案の型を学びました。
最初は全然答案をかけなかったものの、回数を重ねるごとに上手くなりました。
予備校には、土日、丸々いた感じだったので、平日に、問題を解き直したり、欠けた知識を参考書で補給したりって感じでしたね。
大学の授業はちゃんと出てました。使えそうな知識とか、純粋に興味のある学問は、ちゃんと聞いてましたね。
京大の試験問題に答える時、前日に受けた「中東研究B」という動画講義で紹介された知識を、使うことができたので、興味のある分野に詳しくなっておくのがオススメです。
私は国際系の学部っていうのもあり、中東や平和学が好きになって、割と大学の授業はマジメにやってました。
使った参考書
ECCのテキストを中心に勉強していましたが、一応、使った参考書をまとめておきます。
まだ手元にある本(○で示します)は、定価より安く売ろうかなとも考えているので、編入に興味のある人はお問い合わせ下さい。
・キヨミズ准教授の法学入門(星海社新書)○
一番最初に読んだ本です。京大目指したい人は、法か経済か、どっちが肌に合うか検査する必要があるので、読んでみて下さい。
さらっと読めます。
・池上彰の憲法入門(ちくまプリマー新書)○
2冊目は憲法の入門書です。憲法ってどんなものか知るのにいいです。これも適性チェックとして読みましょう。
・はじめての法律学(有斐閣アルマ)○
3冊目は、法律学の本です。自動車事故をテーマに、刑事責任やその他の法律の知識が学べます。かなり重たいテーマですが、文章は読みやすいです。
私は、本にツッコミをペンで書きながら読んでました。青ペンで書いてしまい消せないので、ブックオフでは売れないです(笑)
・いちばんやさしい憲法入門(有斐閣アルマ)○
4冊目は2冊目と平行で憲法の入門書を読みました。京大の過去問を解いていて思うのは、京大めっちゃ憲法好きってことです。(私も答案書いているうちに憲法好きになりました。)
私はその他の大学を受けていないので、特色は分からないんですが、憲法は詳しくなっといて損はないです。
・法学入門(有斐閣双書)○
5冊目は、立命館大学の名誉教授、末川博氏が書いた本です。
10周くらい読んで、法学の基礎を染みこませました。
・政治学の名著30(ちくま新書)○
この本は読みましたが、頭の弱い私には、少し難しかったですね。しかし、政治学の知識は結構詰まっているので、ある程度政治学の勉強が進んだ人にお勧めです。
結局あんまり読めてないです(笑)
ここまでで、大学1回生の1年で読んだ本ですね。次から2回生です。
・ウォーミングアップ法学(ナカニシヤ出版)○
この本はどの合格者もオススメしていたので、買いました。入門書ですが、結構分厚いです。その分内容が濃くて、基本知識が全部入ってる勢いです。
また、問題演習がついていたので、法学の基礎知識を身に付けるのにはすごく役立ちました。
・はじめて出会う政治学(有斐閣アルマ)○
政治学の知識が薄かったので、夏にようやく買いました。この本、結構読みやすくて良いです。政治学の基礎的な知識が、分かりやすく解説されています。
・演習ノート法学(法学書院)○
この本にはめちゃくちゃお世話になりました。問題に対する論文の例が載っている本です。こういう知識は、この問題でも使えるんだ~とか、知識の使い方を学びました。
また、答案を書く練習にもなりましたね。
私は答案の書き方が分からない状態が結構長く続きましたが、この本を何度も読んだり、パソコンで書き写したりして、答案の型を身に付けました。
法学編入、ロースクールの界隈で結構有名な本だそうです。
・政治学(有斐閣)
定価で買うと高かったので、学校の図書館で借りた政治学の本格的な本です。試験が終わるまで2ヶ月くらい借りっぱなしでした。
予備校の講義で、政治学の知識が出てきたとき、自分の知識が浅すぎて焦ったときは、この本を読んで確認していました。
・法哲学(有斐閣アルマ)
この本は買ったけど、私には難しすぎて読めなかった本です。ほぼ新品状態でしたので、売ってしまいました。
読めなかった理由として、難しかった他に、再決心してから時間がなかったので、読む時間がなかったことや、この知識を答案に活かす能力が自分にはないな、と思ったこと、ですかね。
時間がある方は、読んだらいいですね。多分何周かしたら深く理解できるやつやな、と思います。
・平和をめぐる14の論点(日本平和学会)○
これは好きで読んでましたね。国際政治や平和、社会問題に興味があったので、楽しく読んでました。
先ほども書いたとおり、好きな分野に詳しくなっておくのはオススメです。
本気でやれた
合格発表の時に、なぜか吐くほど緊張した、ということを言いました。2限の国際法の授業は、めっちゃ上の空でした。(ごめんなさい、教授)
ただこれは、ここまで本気でやれた証拠なのではないかと。
色々挫折もあり、ハンデも抱えながら、最後の3ヶ月間はダッシュするように駆け抜けられました。
京大1本しか受けず、TOEFLも60点で、挫折した時期もありましたが、自分の中で全力が出せたこと、というのは、何より嬉しかったです。
頑張りきってスッキリする、という当初の目的も達成できたのです。
やってよかったこと
予備校に通ったことですね。授業料が高額であることのみが難点ですが、編入を志すのであれば、行きましょう。
過去問、添削、仲間、勉強の環境、編入受験に必要なものすべてを手に入れられると言えます。
予備校の宣伝しても私には1円も入りませんが、全力でオススメします。
後悔したこと
TOEFLをもっと早く受けて、対策をすすめればよかったこと、息抜きが上手くできなかったことですね。
TOEFLについては既に書いたので、息抜きについて。
私は、要領も悪くめっちゃ不器用なので、息抜きもすごく下手です。
もっと自分のコントロールの仕方を知って、対処できていたら、あの2ヶ月間も勉強していたかなと。
直前期は、運動をすることでメンタルを保てていたので、私は体を動かす系が向いているのかもしれません。
受験校、京大だけの理由
学歴を更新したいというよりかは、京大に行きたいという思いの方が強かったからですね。
また、今の大学でのサークルを抜けたくない、というのもあり、今居る場所から離れたくないな、と思っていました。
それだけです。
京大の試験で大切だと思うもの
私が勉強をしてきて思ったのは、答案に知識を詰め込むだけでは、不十分である、ということです。
じゃあ、どうすればええんやってことで、良い答案の条件を、シンプルにまとめてみました。
答案=論じる力×出題者と対話する力×法学の基礎知識×知見(時事、倫理、歴史、その他の学問)
まず、正しく日本語で論理的に文章を書くことです。これは、練習が必要です。
そして、出題意図にちゃんと答えていくことです。試験が始まって一番最初に「出題者と対話する」と問題用紙の端に書いたくらい、心がけていました。
次に法学の基礎知識です。これは、ECCの講義や参考書で学べます。ちゃんと答案で使えるように、復習を徹底することをオススメします。
最後に、知見と書きましたが、時事、倫理、歴史、その他の学問の知識を上手く使う能力です。
とは言え、京大でよく使う知識以外は、興味がないと、なかなか覚えられないので、興味があるものに少しだけ詳しくなっておくのが良いと思います。
私でいえば、国際関係学や、中東地域の社会文化、同性愛、夫婦別姓、LGBTQなどのジェンダー関連、社会学が好きでした。
既述の通り、試験前日に受けた授業の知識を京大の試験で使えました。
時事については、最近のニュースを知っておくと共に、ここ10年くらいずっと問題になっているような、広義の時事問題についても、詳しくなっておきましょう。
また、答案は、答案構成というメモを書いてから、書いて下さい。
私は、答案構成をしっかり書くものの、答案を書きながら、急に思いついたものを書き足すことが多かったですね。
京大の試験でもやって、メモるの忘れましたが、いきなり書くのは悪い癖なので、辞めましょう。絶対。
思いついたらメモって、論理確認してから答案に戻るのが一番良いですね。
まとめ
いかがでしたか?編入試験の体験記でした。
多くの編入受験生に、私のメッセージが伝わればいいなと思います。
長い文章を読んで頂きありがとうございました。
それでは。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?