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山室毅聡 Takaaki Yamamuro
2018年2月22日 20:00
レパルスとメルは、このところずいぶんとなついてくるようになった。水槽に近づいてのぞいてみると、「きたぞ、きたぞ。」と近寄ってきて、その長い首をのばしながら目をみひらいて僕の顔をみつめてくる。そして、首を右左にうごかして「食事をとりたいよ。」という合図をしてくる。しかし食事をあげるには、まだ少し早すぎた。「きのう食べたばかりじゃないか。」と僕は首をふった。「申し訳ないのだけれど、これ
2018年2月21日 17:29
夜になり、ゆったりとしたソファに座ってビールを飲みながら読書をしていた。ヘミングウェイの短編小説集をぱらぱらとながめるように読み、それに飽きると音楽を選んでかけて聴き、またしばらくすると読書にもどった。そんなことをしているうちにオレンジジュースが飲みたくなってきた。なんの前触れもなくそれは急にやってきたのだった。ちょうどいい大きさの新鮮なオレンジを半分にしてしぼっていく、果実と水分がでてきて、
2018年2月10日 10:20
夕方になるかならないかぐらいの時に散歩をしていた。その日は久しぶりに雨も降っていなく、いい天気というわけではなかったけれども、久しぶりに散歩するにはぴったりの日だった。知らない通りを歩いていていると(実は適当に歩いていて道に迷っていたのだけれども)、少しばかり古びた建物があった。その建物を見上げると三階の窓から1人の男が、外を見るようにして立っているのが見えた。その男は、最初はかなり高齢に