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鬼滅の刃で中学英語#59〜人称代名詞はアレが大事~

前回#58で複数の人称代名詞、「we」や「they」のお話をしました。

それくらいなら大体どんな人でも覚えているのですが、問題はこれが変化した時ですよね。

「our」「us」「ours」とか「their」「them」「theirs」と変化するのですが、どうにもこの使い方をイマイチマスターしきれない子も多いです。

「変化」を覚えられない理由

この「we」の変化とか、「they」の変化、なんなら「I」も「you」も「he」も「she」も「it」も変化しますが、これら人称代名詞の変化は、中1で習う一番重要なポイントでありながら、イマイチみんなハッキリと理解しないままずーっと進んでしまっている気がします。

それというのも、そもそも日本語と英語が違うからです。

私たちは、「I=私」、「we=私たち」とおぼえてしまっていることが多いですが、実際は「I=私は/私が」、「we=私たちは/私たちが」という意味であるという風には中々おぼえません。

なぜなら、日本語では「私」「私たち」と「は」「が」は切り離されているからです。


しかし、英語はそうではありません。

英語には、日本語の「は」「が」などの助詞が英語にはありません。

じゃぁ、「I=私は」の「は」はなんだよって言うと、便宜上くっつけているだけなんですよね。英語には別に「I=私は」なんて意味はないです。


あくまでも、日本人が英語を日本語で理解するために、「I」に「私は」とか「私が」という意味をつけているだけなんです。

だから、わかりづらいのです。


そもそも英語には、日本語の「助詞」に該当するものはなく、その働きを、「of」とか「with」などの「前置詞」と、「語順」で担っているのです。

前置詞は話すと長くなるのでまた別の機会にしますが、この「語順」というのがどうも忘れられたまま、「アイマイミーマイン」とか、下のような「日本語の意味」が書いてある表を使って、丸暗記させられるわけです。

人称代名詞

日本語と英語の大きな違い

先生の名誉のために言っておきますが、とても大事な英語の基本だから、解説は授業でしているハズで、ちゃんと聞いてない生徒にも問題があると言えば問題がありますが、理解しづらいのも確か。

だって、日本語の常識では考えられないですからね。

その結果、学校のテストの場合は、ちゃんと「彼○○だった」「彼○○は」「彼○○した」などと、問題文にそのヒントを必ず入れてくれますが、一歩学校を飛び出れば、そんな教科書的な文ばかりではありません。


というのも、元となる日本語に「主語」がない文が普通にあるからです。

例えばこちらをご覧ください。

治らない-探す見つけるから

『鬼滅の刃』1巻第1話のシーンですが、これだけセリフがあって、いずれも「主語」がありません。

今度は英語翻訳版を見てもらいます。

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違いがわかりますか?

下の翻訳版は、ほとんどの文に「主語」があります。

比較して見るとよくわかります(太字が主語)。

治らない
She won't get better.
鬼になったら人間に戻ることはない
A human who becomes a demon cannot go back.
探す!!
I'll find a way!
必ず方法を見つけるから
I swear!(※swear=誓う、という動詞)
殺さないでくれ
Please don't kill her!

最後の文だけ命令文なので主語が省略されていますが、実際は「You」という主語があります。

英語の授業では、命令文などを除き、こんな「主語がない日本語」の文は取り扱いません

なぜなら、日本語文の主語は、英語の主語を書くための「ヒント」だからですね。

教科書的にするなら、先ほどのシーンの日本語に主語を()で付けて、

(彼女は)治らない
She won't get better.
(人が)鬼になったら人間に戻ることはない
A human who becomes a demon cannot go back.
(私が)探す!!
I'll find a way!
(私が)必ず方法を見つけるから
I swear!(※swear=誓う、という動詞)
(あなた)殺さないでくれ
Please (you) don't kill her!

と、こうする必要があるわけです。

「語順」で決まる意味

なんでこんな話をしたかと言うことですが、日本語は「助詞」で意味が変わる(=重要)ように、英語は「語順」がとても大切だからです。

日本語と英語の、この決定的な違いを理解しないまま、人称代名詞の変化を丸暗記しても、いちいち「~を」だから「me」だ、みたいに、日本語訳をあてにしないと書けなくなっちゃいますよね?

それよりもっといい方法があります。習うより慣れろです。

たとえばこちらのシーンをご覧ください。

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「she=彼女は/が」が入っている文ですが、他にも二つ「her」が入っているのわかりますか?

But she was like a goddess when she healed the people who became spiders.
でも蜘蛛にされた人たちを治療してる時は女神のようだったな
They all came to her in tears.
みんな泣きながらしのぶさんの所に行ってたからな
And she's really attractive.
そしてめちゃめちゃ可愛いんだよ
Her face is so beautiful.
顔だけで飯食っていけそう
(日本語訳は原作『鬼滅の刃』第6巻)

使われ方に注目していきますね。

But she was like a goddess when she healed the people who became spiders.
でも蜘蛛にされた人たちを治療してる時は女神のようだったな

最初の文は「she」が2回使われていますが、いずれも主語です(2つめは節の主語)。三つ目の文も「she」が主語になっています。

And she's really attractive.
そしてめちゃめちゃ可愛いんだよ

主語は基本的に文の先頭に来るので、文の先頭(近く)に来るようなのは「she」になるのです。

これを「主格」と言います。


They all came to her in tears.
みんな泣きながらしのぶさんの所に行ってたからな

二つ目の文の「her」は、「she、her、her、hers」の、3番目の「her(彼女に/を)」です。

「to she」には絶対にならず、「to her」になるしかないのです。

しかし、「They all(みんな)came(来た)to(に)her(彼女に)in tears(涙ながら)」という文ですが、「her=彼女に/を」と訳すと日本語的にヘンですよね?

「to」が「に」なんだから、「her」の「に」は?二重??

・・・みたいな感じで混乱したが最後、「英語なんてわからん!」と言って考えるのをやめた子はたくさんいたことでしょう。

この文の構造は、

They all(みんな)➡主語
came(来た)➡動詞
to her(彼女の所に)➡目的語

なんです。

動詞の後ろに来ているから、主語にはならない(だって疑問文になりますからね)。つまり、動詞の後ろに来ているから「目的語」になるわけです。

つまり、「came to her」の「her」は「目的語」の時の形なんですね。

だからこれを「目的格」と言います。


四つ目の文は、

Her face is so beautiful.
顔だけで飯食っていけそう
彼女の顔はとても美しい)

と、日本語と英語がちょっと違うので訳を追記しましたが、この「her」は、先ほどの「her」とは異なり、「she、her、her、hers」の、2番目の「her」です。

「her=彼女の」という意味ですね。見た目は一緒だけど、機能が違うんです。

この例文でも、後ろに「face(顔)」という名詞がついているように、「her ○○=彼女の○○」という、後ろに付く名詞を所有していることを表します

だからこれを、「所有格」と言います。

「所有格」は、「my book」「your name」など、必ず後ろに名詞がつきます。


というように、日本語訳の「意味」よりも、英語での「語順」、つまりどこに置かれるのか?ということが、本来は大事なんですね。

そこが完全に物になっていないから、表の丸暗記や日本語に頼らないといけなくなり、中途半端な記憶で乗り切ろうとしてしまうわけです。

語順で変わる文の例

こういった、場所によって人称代名詞の形が変わることを「格変化」と言いますが、これ、いくつも例文を見させられてきたと思うんです。

でも、なんでこんなに頭に入ってないかって、例文がバラバラなんですよね。

先ほどの胡蝶さんのように、一人の人が、どうやって格変化させているのかを見て行った方が、正直わかりやすいです。

そして、案外そういう風に使えるということも学べます。

「テストのため」になるかはわかりませんが、英語そのものの直感的な理解は進みます。

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Friend? Our connection is nothing so superficial.
仲間? そんな薄っぺらなものと同じにするな
We are family. Strong ties bind us.
僕たちは家族だ 強い絆で結ばれているんだ
※connection=つながり、という名詞
※superficial=表面的な、という形容詞
※tie=絆、縁、という名詞
※bind=縛る、結びつける、という動詞

鬼の累は、炭治郎に対して、「自分たち」のことを、「we」「our」「us」で説明しています。

「we」は主語だから文の頭
「our」は所有格で名詞の前(主語になることもある)、
「us」は目的語だから動詞より後

ということですね。


所有格の変化を「表」でおぼえるのもいいのですが、どこに置くとどう変化するのかを理解しておくことがとにかく大事なんです。


本日のまとめ
・人称代名詞は置かれる場所や使い道で変化する
 主格は文の頭、所有格で名詞を、目的格で目的語をとるってことですね。

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