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鬼滅の刃で中学英語#62~応援する助動詞「can」

こんにちは。

いよいよ来週、劇場版『鬼滅の刃』夢幻列車編が公開されますね。

別ブログの「英語の呼吸」でも、それに合わせて煉獄さん特集を始めてみました(死にそうです)。

また、映画に先だって、先行予約の情報も出てきました。

イオンシネマだと、10/12月の深夜(10/13火の0:00)から予約が出来るみたいですね。おそらく土日に集中するので、土日に見に行こうかと思っている人は要チェック!


さて、今回は「can」のお話です。

助動詞「can」

英語をやっていて、結構使うのに、学校での説明が断片的なのがこの「助動詞」というものですね。

英語は、「主語+動詞」という組み合わせが基本の言語ですが、それだとどうしても表現ができないこともあります。

そこで登場するのが「助動詞」。

日本語にも「助動詞」がありますが、その役割を説明せよと言っても、「えっ?」となることが多いでしょう。説明がとにかくややこしい。

しかし、英語の助動詞は実にシンプルです。

動詞の前に助動詞を置きさえすれば、その動詞の意味が助動詞の影響を受けて変化します

なんて超便利!


たとえば「can」。

これを動詞に置くだけで、「can」のない文に「できる」「やれる」という意味を追加できます。

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I can do this!
これなら斬れる
※do=する、という動詞

この文は、「I do this」という形でも、文は成立します。

しかし意味は「(俺は)これをする」という感じのものになるので、この状況で使えなくもないですが、「型」を使っても斬れない強敵に苦しめられている時の言葉ではないですよね。

原作では、どちらからというと、「ここが貴重なチャンスだ」という意味で「これなら斬れる」と言っているワケです。

だからそこに「can」という助動詞を動詞の前に追加することで、

I can do this.=(俺は)これをするのが出来る⇒これなら斬れる

という意味になるのです。

ちなみに「Do you~?」とか「don't」の「do」は、助動詞なので、ここで使われている動詞の「do」とは違いますから注意して下さいね。

「You can do it!」

このように、「can」という助動詞は、動詞の意味を後押し、いわばパワーアップさせてくれる存在です。

とくに「can」は、後ろの動詞に「できる」というような意味をプラスする助動詞ですから、先ほどの炭治郎の例のように、自分を奮い立たせるとき、誰かの背中を押したいときに使える助動詞です。

この名シーンの英語版にも使われています。

蝶屋敷での機能回復訓練を終えて、屋敷を出る前に、世話になった人にお礼を言い回っていた炭治郎がカナヲと会話していたときの、天然で距離感ゼロの炭治郎らしい元気づけの一コマです。

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You can do it!!
頑張れ!!
The heart is what drives us!
人は心が原動力だから
Your heart can get infinitely strong!!
心はどこまでも強くなれる!!
※drive=運転する、動かす、という動詞
※infinitely=限りなく、という副詞

最初の「You can do it!!」は、直訳すると「あなたはそれをできる」という意味ですが、日本語の「頑張れ」に相当する定番表現です。

「I can」じゃなくても、「You can」とすることで、相手に「それは出来るんだよ、大丈夫だよ」という想いをプラスした動詞の意味を伝えます。

この場合の動詞は「do」なので、なにか対象に向かって「する=do」ということを「できるよ」と言っているんですね。

だからこれが日本人の使う「頑張れ」と同じような応援の言葉としてつかえるんですね。

あえての「can」

最後の文「Your heart can get infinitely strong!!」ですが、今度は自分(I)でも相手(you)でもなく、なんなら人ではなく「(あなたの)心」という物ですよね?

物にも「can」が使えます。超便利。

「can」の意味をわかりやすくするために、よけいな装飾をなくしたシンプルな文にすると、

「Your heart get strong(心は強くなる)」

となります。

そうです、最初の炭治郎の「I can do this」と同じように、「can」がないと、なんか、一般論感が出てきて感情がこもってないですよね?

炭治郎は、カナヲに対して「できるよ!」「そうなるんだよ!」ということを、あえて伝えたいのだから、「can」を使って「get strong(強くなれる)」を強調し、なんなら「infinitely」という、「infinity(∞)」と語源を同じにする副詞を使って、さらに「get strong」の意味を強くしているんです。

つまり「can」を使うことで、この言葉は、心優しく(ポジティブな)炭治郎が、カナヲの背中を強く押す言葉に仕上がっているのです。


学校だと、「can=できる」とおぼえさせられますし、テストも「できる」というヒントを与えがちですが、英語を使うとなった場合は、「訳」以上に、動詞に後押しする力を与える、応援する「can」という助動詞の役割をおぼえておくことが大事です。

なお、それをより強く強調したいときは、「can」の発音を強めに言いいます。日本語でも「できるよ!」という部分を強く言うことありますよね?

それにしても、こんなことされたら惚れますよねぇ……無自覚なのが主人公らしいけど。

「can」の疑問文は?

このように、「can」は「できる」という意味だけじゃなく、動詞に力を与えてくれる助動詞というのがわかっていただけたかと思いますが、だったらこれが疑問文になったらどうなのか?

先ほどのシーンの少し前のコマに使われていたので、見てもらいましょう。

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Can I borrow that?
それ貸してくれる?
※borrow=貸りる、という動詞

「can」を最初に持ってきて、主語「I」動詞「borrow」と続いて疑問文にしていますね?

「can~=~できる」ということを疑問文にしただけなので、「Can~?=~できる?」という意味で、そこまで難しく感じないかもしれませんね。

ここでの「can」は別に誰かを応援しているわけじゃないですが、これが「Do I borrow that?」ならどうなると思いますか?


Do I borrow that?」を訳すと、「それ借りていいですか?」になります。

Can I borrow that?(それ貸してくれる?)」と、ちょっと違いますよね。

「Can I ~?」の方がなんとなくですが、「borrow=借りる」という行為、つまり動詞に力が入っていませんか?

なんか、貸さなきゃいけない雰囲気というか。

そう、疑問文でも、「can」を使うことで後ろに出てくる動詞の力を強める、後押しする効果があるのです。

なんでもかんでも「can」にはしない

ただ逆に、動詞の意味を強く後押しするのが「can」なので、これを使うのは時と場合を選ばないといけません。TPO*というやつです。

*Time(時)Place(場所)Opportunity(場合)の略

このシーンで「Can I~?」としているのは、炭治郎とカナヲは同期だし歳も近いからいいんです、「can」で

でも、これが目上の人や知らない人だったらどうでしょう?


Can I borrow that?(それ貸してくれる?)」って言えます?

「can」で「borrow」を強く主張しているわけです。

プレッシャーが強くないですか? なれなれしくないですか?


いくら外国人がフレンドリーだからって、それはマズいと考えます。

だから、そういう時は「can」ではなく、「Could I~?」とか「May I~?」とか「DO I~?」などの、「can」以外の助動詞を使って質問するんですね。

たとえばこちら。

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May we take care of Nezuko?
禰豆子さんは私たちがお預かりしましょうか
※take care of~=~の世話をする

終始丁寧な淑女・珠世さんのセリフですが、この文、「Can we~?」でもできるんです(珠世と愈史郎なので「we」です)。

ただ、それだと、「take care of」を強く主張することになって、「預からせてもらえる?」というなれなれしい感じが強く出てしまうんです。

そこで、「May」という丁寧な許可を意味する助動詞を使っています。

このへんはまた「may」の時にご紹介しますが、「can」と他の助動詞との違いがよくわかっていただける違いかなと思います。

「can」の否定形なら?

ここまで「can」は、動詞に力を与える、後押しする助動詞だとご説明しましたが、だったらこれを反対にした場合はどうなるでしょうか?

「can」を「can not」もしくは「can't」とすることですね。

例を見てみましょう。

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You can't kill it with that.
そんなものでは止(とど)めを刺せん

こちらは炭治郎と鱗滝さんが初めて会ったシーンですね。

初めて遭遇した人喰い鬼と戦い、なんとか木に固定して、とどめを刺すチャンスが来た!という時ですが、炭治郎が持っている小刀では「止めを刺せん」と止められた時の言葉に「can't」が使われていました。

ここまで「can」は後ろの動詞の意味を後押しすると言ってきましたが、今回はその真逆。

ちょうどこの、鱗滝さんが炭治郎の肩を押さえた時ように、

できる方向に後押しするのではなく、

逆向きのできない方向に引っ張るのが「can't」なんです

だから結果として「できない」という意味になるのです。

これをたとえば、例によって

「You don't kill it with that.」

という文にすれば「それでは止めを刺せない」というちょっと弱い意味になります。

つまり、原作で鱗滝さんが言った、「そんなものでは~」という部分を、「can't」という「できるわけがない」という後ろ向きに後押しする動詞を使って、原作のニュアンスを英語で表現している、ということなんですね。

まちがっても「そんなものでは」という意味を和英辞典で調べて訳しているワケじゃないんですよ。

どういう状況で、どんな言葉を言うのが適切かを「理解」しておくことは、「can=できる」と「記憶」しておくことよりも重要ですよ!!

本日のまとめ
・助動詞「can+動詞」は「動詞+できる」というような意味になる
・文中の「can」は、動詞を後押しし動詞を応援する意味になる
「Can~?」は、動詞を押しつける感じなので、親しい間で使うように!
・文中の「can't」は、動詞の足止めをして、動詞を応援しない意味になる

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