鬼滅の刃で中学英語#33~肯定文なのに疑問文? 英文法と英会話の違い~
前回、「You are~.」から疑問文に変えるときに、「Are you ~?」と語順を書き換えることをお話ししました。
日本語だと、語尾に「か」をつければ疑問文になり、語順を変えることはないので、簡単だけど若干めんどいと思ったかもしれません。
今回は、英語の疑問文も、実は本当はめんどくさくないんだよ、本当は、本当はね!というお話をします。
実はひっくり返さなくても通じる!
結論から言いましょう。
英語は、ひっくり返さなくても疑問文にできます。
たとえば、以前紹介した、「You are~」の並びの文を見てもらいましょう。
(出典『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.2』/訳『鬼滅の刃』第2巻)
Aaagh! Nezuko! You...
(あ――――っ、禰豆子ォ お前っ…)
You're awake!!
(起きたのかぁ!!)
※awake=目が覚めて、という形容詞(発音)
「You're」と省略形になっていますが、これは、
You are awake
(あなたは)起きています
という並びの文ですね。
「これを疑問文にしなさい」という問題だったら、
Are you awake?
起きたのですか?
とするのが、本来は正解ですよね。
では、実際に同じく鬼滅英語版で、この「You're awake」を使った疑問文がどうやって表現されているのか見てもらいましょうか。
すべての始まりの第1話で、主人公・炭治郎が、冨岡義勇にノックアウトされて、目が覚めたときに義勇から話しかけられたシーンです。
(出典『Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba Vol.1』/訳『鬼滅の刃』第1巻)
You're awake?
起きたか
どうです?
最後に「?」がついただけじゃないですか??
意味も、無愛想な冨岡義勇さんだから「起きたか」になっていますが、もちろん、「起きましたか」「起きたの」でも、「You're awake?」になります。
学校では、英語の疑問文を作るのに、「疑問文はareをひっくり返せ」、「一般動詞の場合は頭にDoなどをつけろ」などと習いますが、それをしなくても、最後に「?」をつければ並び替えなくても疑問文として通じるんです。
並び替えなくても疑問文になる理由
このように、わざわざ「You are~.」形式の文を、「Are you~?」の形にし直して疑問文にするよりも、英語ネイティブの日常会話(つまり英会話)では、むしろ、「You are~?」という形の疑問文の方が多いかもしれません。
「えっ!?」
って思いますよね。
でも、映画の字幕を英語にして観てみて下さい。
「You ~ ?」という疑問文が、結構普通に出てきます。
そもそも、冷静に考えてください。
日本語だってそうじゃないですか?
日本語の疑問文は、英語と違って、「?」マークがなくても、最後が「か」で終われば疑問文になる確率がかなり高くなります。もちろん、すべてがそうではありませんが、文脈で理解できるから日本人が間違えることはありません。
だから、たとえば、
「お腹がすいていませんか」
「寒くないですか」
と書けば、「?」がなくても疑問文として理解できますよね。
でも、友達や家族との間で、こんな言い方します? しませんよね?
「腹減ったか」
「寒くないか」
という聞き方をすることもあるでしょうし、もっとシンプルに、
「腹減った?」
「寒くない?」
のように、「か」のかわりに「?」をつけたら、それで疑問文になりますし、親しい間柄ではむしろこういった使い方の方が多いのではないでしょうか?
なんでそんなことが可能なのか?
?
?
お気づきですか?
「?」のせいなんです。
「?(クエスチョンマーク)」がつけば疑問文
「?」は、「ハテナ」として有名ですが、正式な名前は「クエスチョンマーク」とか「疑問符」と呼ばれるもので、英語だろうが日本語だろうが、最後に「?」をつけることで疑問文にできる符号なんです。
だから、
「You're awake?(起きたか)」でも、
「You are angry?(怒ってる?)」でも、
「You think?(考えてる?)」でも、
「You did it?(やったの?)」でも、
「?」をつけたので、並びが普通の文(肯定文・平叙文)だとしても、最後に「?」がつきさえすれば、疑問文になるんですね。
(なお、文字のない会話では、語尾のイントネーションを上げる、というルールになっていますので、その辺注意)
日本語だって、「腹減った」は疑問文でも何でもないですが、「腹減った?」は疑問文ですよね。
そうさせているのはすべて「?」なんです。
むしろ、「?」というのはもともと日本にはなかったものですから、語尾に「か」をつける、「○○○○か」というのが疑問文の表現だったものに、「?」をつけた外国風の疑問文が定着した、という流れなんです。
(だから意地でも使わない作家さんもいます)
だから、「肯定文+?」で疑問文になるのは、当たり前なんです!
学校ではそのことを教えてくれない理由
それなのになぜ、英語の時間ではそれを教えてもらえずに、わざわざ、
「You are ~.」→「Are you ~?」
というめんどうな変換作業をさせられるのか?
腹立たしいですよね。
実際、こういうことをするから、英語を話せない日本人を作っているような気がします。
だって、「?」さえつければ、それで疑問文になり、疑問文が作れれば、会話のキャッチボールができ、英語でのコミュニケーションはとれるようになるじゃないですか?
(特にbe動詞と一般動詞で普通の疑問文の作り方が違うため)
英語でコミュニケーションを取らなければ、英語での会話力なんて身につくはずがありません!!
・・・とちょっと熱くなってしまいましたが、学校で「教えてくれない」には実は理由があります。
先ほどの義勇さんのシーンの原作を見てもらうとわかると思います。
「起きたか」
ですよ?
これ、日本語的に「正しい文法か」と言われると、どうですか?
たとえば国語の問題で、「この登場人物の気持ちをあなたはどう感じましたか?」という質問に対して、「メッチャ感動した!」と書いたら、まず○はもらえず、よくて△で、「とても感動しました」と書き直されますよね?
「正しい日本語」じゃないからですね。
英語の、「後ろに?をつけるだけ」の疑問文も、「正しい英文法」ではないのです。だから、学校で習わない。
極端にたとえるなら、日本語での「マジか」「それな」みたいな。日常表現としてはありだけど、「勉強」でそれが使えるかというと使えない……。
実際、英語での「肯定文+?」の形の疑問文は、親しい間柄とか、とっさの時に使うとか、確実にわかってることを確認するために使う*、ネイティブの日常会話表現です。だから、ネイティブが翻訳したこのシーンで使われているのです。
だから、面接の時とか、商談の時とか、真剣な会話をするシチュエーションではNGな表現です。もちろん、ペーパーテストにも出せません。
*先ほどの義勇さんの例も、起きているのをわかって「起きたか」と言ってますよね?(答えは別にいらない)
逆に、相手のことがわからないときは「Are you OK?」という正規の形にします。答えを聞きたいわけですからね。語順を並び替えることで「これは質問ですよ」というのを明確にしているのです。
だから、「肯定文+?」は、英会話学校では教えられるけど、教育機関である学校で教えるのは・・・となって、結果的に、「You are ~.」の疑問文は「Are you ~?」にしなきゃいけない、となっているんですね。
まぁ、だから楽しくないっていうのもあり……。
本日のまとめ
・肯定文の最後に「?」をつけても疑問文になる
・ただし、テストで書いたら「×」。親しい間柄なら「○」
・英文法と英会話は、国語と日常会話との違いって事です
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