記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

映画「暗くなるまでこの恋を」について

カトリーヌ・ドヌーヴの美しさのみ存在する映画であることに間違いないのだが…

2024年7月DVDレンタルにて鑑賞。
現在、動画配信サービスでは視聴できない。

序盤、新聞の恋人募集広告をきっかけに二人が出会い、結婚し、突然、女が疾走するところまでは、たいへんスリリングで楽しめる。
しかし、その後はサスペンス要素はしだいに消えていく。
探偵を頼んでいながら、自力で女を探しあてるルイ・マエ(ジャン=ポール・ベルモンド)。
失踪しておきながら、再びルイと寄り添うことになるマリオン(カトリーヌ・ドヌーヴ)。
男女間のすれ違う「愛」を描いているのだが、どうもしっくりこない。
だいたいそれぞれの本心が見えてこないのだ。
ならば、その「愛」をそっちのけで、サスペンスに終始すればよいものの、頼んだ探偵をマエは自ら殺してしまうという愚かさ。
これで、この映画は何を描こうとしているか不明となり、「混沌」として彷徨うことになる。
随所に「愛」に関する哲学めいたセリフが散りばめられ、「映画」らしさを留めてはいる。
だが、男と女、それぞれの感情がまったく理解できない。
同じようなテーマのゴダールの「軽蔑」でも、特に女(ブリジット・バルドー)の気持ちも理解しがたいが、感情の揺れというのはつぶさに表現されていたと思う。
しかし、このトリュフォーの「暗くなるまでこの恋を」は、セリフにおいて「愛」は語られはするが、おおむね空虚な呪文のようなものだ。
だが、たしかにカトリーヌ・ドヌーヴは唐突に乳房をさらけ出すまでもなく、とても官能的で美しい。
ラストちかくに登場する雪の中の小屋のなかで、ルイはマリオンの出したお茶のようなもので毒殺されると思われるシーンがあるのだが、その理解でよいのだろうか?
というように、トリュフォーの失敗作の部類に入るのが本作のようだが、手放しで「駄作」とは呼べない誠に困った「映画」である。

2024年8月14日UP
※このテキストは、筆者がYahoo!検索(旧Yahoo!映画)に投稿したものを転載したものです。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?