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【NY×鳥】息子が見つけた小さなシギは片足だった

アメリカ版「日本野鳥の会」のAudubon(オーデュボン)のバーディングで初めて訪れて以来、何度か足を運んでいる湿地保護区があります。

少し前に1人で訪れた時、チドリの一種のKilldeer(キルディア/フタオビチドリ)が海岸沿いのトレイルのすぐ脇で抱卵しているのを発見。

これは是非子どもたち(8歳♂、5歳♀)にも見せてあげたいと思い、週末に一緒に行ってみることにしました。

(今日の報告は、別の鳥についてです…笑)

Killdeer 首回りのリングが2つあるのでフタオビチドリ。ファンキーな英名は鳴き声からつけられたそうです。


広葉樹の林と草地を700メートルほど歩いて海岸に出ると、目の前に干潟が広がります。

干潟をつっきる細い一本道を歩いていると、

息子が「鳥がいるよ。」

と、トレイルのすぐ脇、1メートルと離れていない泥地を指さしましました。

ぱっと見なにも見えません。

そんな近くに鳥がいたらさすがにわかるだろう、子どもの見間違えかな?と思って数秒目を凝らしてみると、

なんと、本当に小ーっさな鳥がすぐそこにいる!!

スズメと同じか、さらに若干小柄な鳥が、泥にくちばしを指しては餌を探しています。

大きさがわかりにくいですが、周りに芽吹いている植物の背丈が数センチ。鳥の体長が13~15センチくらいです。

干潟やビーチなど海岸で見られるshorebirds(シギ・チドリ類)に、こんなに小さな種がいるとは知りませんでした。

ちょうど通りかかったバーダーさんに聞いてみると、Least Sandpiper(アメリカヒバリシギ)だろうということでした。

世界で一番小さなシギだそうです。

(英名もサンドパイパー/Sandpiperシギで、Leastが最小ですね)

自分ひとりだったら、まったく気づかずに通り過ぎてしまったと思うと、観察眼を発揮してくれた長男に感謝!

しばらくみんなで見ていると…

「あれ、片足が無い?」

鳥は片足で立っていることもあるので、いろいろな角度からよく観察してみましたが、

確かに、左足が間接の上のところで切れてしまっているように見えます。

★動画を撮ってみました(子どもの声が入っているのでご容赦💦)

「飛べるのかな…。」

「天敵に食べられちゃうんじゃない?」

と心配する子供たち。

漁具か何かに絡まってケガをしたのか、天敵に襲われたのかもしれません。

しかし、初心者目には、足が片方なくなっていることを除いては、

特に弱った様子もなく、羽や体格、餌を食べる姿も普通に見えました。

よくよく考えてみると、シギは春になって南から渡ってきたはず。

この場所に到着してからケガをした可能性もありますが、

場合によっては、ケガをしていても、長距離飛行に影響が少なければ、渡りを続けることができるのかもしれません。

家に帰って、アメリカヒバリシギの生息地(下図)を調べてみると、

ニューヨークはちょうど北の繁殖地へ向かう渡りのルート上にありました。

Birds of the World: Least Sandpiper
南米北部から北米南部で越冬し(水色)、  夏はカナダやアラスカのツンドラで繁殖(オレンジ)。黄色が渡りの際に通るエリア。


仮に、片足を怪我したシギが、南から何百・何千キロという距離を渡ってきて、

これからさらに北へと向かうとしたら、すごいことですね。

もちろん、仮に北までたどり着くことができても、続く繁殖に、再び秋の渡りと、命懸けの大イベントが続きます。

ケガのコストに、旅路のどこかで負けてしまうかもしれません。

それでも、傷ついた小さな鳥の強靭さを感じました。

子ども達も、動物園で見る動物とは違う、自然に生きるいろいろな状態の動物と出会うことで、

言葉にはならない刺激を受けているような気がします(そうであってほしい)!

終わりに、今回の小さなシギを見つけてくれた長男ですが、動体視力がいいのか、

遠くを飛行中の「カモメ」を肉眼で見て、頭と翼の先が黒い(=いつも見るカモメと違う)ことも教えてくれました。

Laughing Gull(ワライカモメ)夏はニューヨーク近辺にも渡ってきて繁殖するそうです。こうして静止画にして光を調整するとまあまあわかりやすいが、太陽の下飛んでる姿を肉眼で見ても、私にはわからなかった💦
ワライカモメ ©Fred Hsu カモメにしてはすごい特別感!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

キルディアについては、別の記事で書きたいと思います。


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