Do I have "real" DREAM?

気が付くとそこは1980年代暮れの世界。
少しレトロで、それでいてまた刺激的な服装を身に纏う街行く人々。丸いヘッドランプが特徴的なやけに角張った車の助手席に座っている俺は運転席に目を向ける。まだフサフサで白髪の1本も無い髪に、目を細めてしまう程に明るい水色のジーンズ、白いタンクトップとネックレス。あまりにも夏、TUBEの擬人化のような姿をした男。サングラスはかけていたっけ。しかし、彼はれっきとした俺の父親だった。いや、父親になるはずの男だった。
何故か俺は動揺していない。有り得ないだろう?
20歳前後であろう父親と同じ顔した男が運転する車の助手席に乗っているのだ。「タイムスリップでもしたのか?」そんな事を考えている暇はなかった。窓の外に目をやると、歩道を1人の可憐な女性がこちらに向かって歩いてきている。そう、俺の母親だ。これまた厚い化粧と艶っぽい服装をしている。こんなことを言うのは忍びないが、俺の母親は美人だ。その母親が若かりし姿で歩いている。俺と、もちろん、運転席に座る男も彼女に釘付けだった。運転席から離れ、男はその女性に接触を図ろうとする。
……待て、俺がいるぞ。このまま放っておけば2人は出会うのだろうが、その横に2人の息子である俺が居てしまっているぞ。まずい。何か嫌な予感がする。俺は知っている。バタフライエフェクトというやつだ。このまま若かりし母親と出会ってしまうのか、父親を止めるか、でもそうしたら父親と母親が出会うことはなくなってしまうのか……?
どうする、俺。決断の時……


………というのが、最近見た俺の夢だ。
俺の両親の出会いはこんなものじゃないし、タイムスリップがどうだとかバタフライエフェクトがどうとか、余りにも夢すぎておもろい。

夢ってマジで何なんだろうな。よく会う人が出てきたり、有名人と普通に会話してたり、懐かしい人が突然出てきたり。
よく、「記憶の整理」と言われているけれど、本当にそうなのか?
俺は夢の中でよく行く場所がある。そこは自分の知る場所に地形は似ているのだけれど、建物や雰囲気はまるで違う。し、その場所も普段あまり行かない場所なのに、夢ではちょくちょく出てくる。本当に「記憶を整理」してる?


もし、寝ている間だけ、脳が本当の記憶を掘り起こしているんだとしたら……?
現実世界では、まるで夢の世界のように自分の体を好き勝手動かせるけど、
夢の中では、まるで現実の辛さを体現するように自分の体が思うように言うことを聞いてくれない。

夢って、何なんだろうな。

夢に良く出てくる現実でも親友のアイツは、本当に親友なんだろう。
夢には出てこない現実の親友のアイツは、もしかしたら本当の俺が「仲良くなりたい」と強く願う叶わぬ人なのかもしれない。
だからこうやって、現実世界で思うように仲良く出来ているのかもしれない。
夢によく出てくる有名人のあの人は、夢を叶えられなかった本当の俺の友達の、夢を叶えさせてあげた仮の姿なのかもしれない。

じゃあ、今こうやって現実世界でもがいている俺は、なんなのだろう。

これが、
本当の俺が望んだ本来なりたかった俺の姿?
そこまで良いものでもない気はするが、これが本当の俺が望む姿なのだとしたら、本当の俺はどんなに貧弱で守衛的なのだろう。今のこの俺で、本当の俺の望みは叶っているのだろうか。

せっかくならば、もっと良い姿を見せてあげたいかもしれない。本当の俺の想像に"限界"があるのならば、この俺自身が勝手に覚醒してやるしかない。任せておきな、本当の俺。

こうしてまた生きる理由を見つける。
……という夢のような夢の話。夢はどこまで行っても夢で、ただの「記憶の整理」だろうな。
ただ、これが未だ本当の所は誰も分かっていない
"夢"についての俺の"夢"だ。

執了。

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