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映画「夢みる小学校」をモンテッソーリ・レッジョエミリアを知り尽くした児童発達学博士が語る

カナダ在住でカナダの大学で幼児教育の教員養成に取り組まれている児童発達学博士の研究者、島村華子さんに子育ての不安や重さから大人も子どもも解放され幸せになる話題の映画「夢みる小学校」の感想を聞きました。

dreaming-school.com

「こんな学校やっぱり行きたいよね。海外の人にも見てもらいたいね。」

島村華子  (Ph.D)
モンテッソーリ&レッジョ・エミリア教育研究者。上智大学卒業後、カナダのバンクーバーに渡りモンテッソーリ国際協会(AMI)の教員資格免許を取得。カナダのモンテッソーリ幼稚園での教員生活を経て、オックスフォード大学にて修士・博士の学位(児童発達学)取得。現在はカナダの大学にて幼児教育の教員養成に関わる。著作に12万部の『自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』。
専門分野は動機理論、実行機能、社会性と情動の学習、幼児教育の質評価、モンテッソーリ教育、レッジョ・エミリア教育法。

第一声が、
「こんな学校やっぱり行きたいよね。海外の人にも見てもらいたいね」
ではその全文をご案内します。

「危ないからダメ」の一言で終わってしまうことに、無限の可能性があるということを映画が改めて教えてくれる。「自分で考える力」を奪わない教育システムのお手本!

★★★ 島村華子さんより、映画「夢みる小学校」鑑賞コメント ★★★ 

「危ないからダメ」の一言で終わってしまうことに、無限の可能性があるということを映画が改めて教えてくれる。

こどもにとっては、
-トライアンドエラーを繰り返せる場所(チャレンジすること、チャレンジしないことも歓迎される場所)
-体にも心にも残る体験できる場所
-信頼されていることを経験できる場所
-自分の能力を信じる体験を重ねることができる場所
-子どもの学ぶ権利と学び方の自由が守られている場所
-もともと持っている「なぜ」の好奇心の芽がルールによって摘まれない場所
-自分の声には価値があることを学べる場所

おとなにとって
-コントロールを手放すことを学び直す場所
-「共同学習者」として子どもを一人の人権を持った人間として尊重する方法を学ぶ場所
-「社会に備えて」ではなく、毎日のこどものあり方を大切にする方法を学ぶ場所

「自分で考える力」を奪わない教育システムのお手本!
映画「夢みる小学校」パンフレット(パンフレットにはここまで詳しいことは書かれていません。) 

島村華子さんは、いつも正直でストレートな感想をくれるので、ここまでのコメントをもらえるのは想定外。驚きました。正解なんてのない教育の中でここまでのコメントですよ。

なお、きのくに子どもの村学園の理事長の堀さんは、著書をお読みいただくと分かりますが、A.S.ニイルとJ.デューイの理論と実践を組み合わせたきのくに子どもの村の教育は、モンテッソーリ教育とは全く違うことはもちろんのこと、教具の使い方に制限があるモンテッソーリを書籍で批判されていました。
(なお、私から、補足すると、モンテッソーリは教具がすべてではありません。各教育、それぞれ独自の世界観ですので、混ぜることも、一緒にすることも不適切で、それぞれの教育法は異なるものです。)

そのことがあるので、元モンテッソーリ教師でもある島村華子さんにもう少し聞いてみました。
なお、私自身、モンテッソーリで大切な「自由と責任」について、日本国内でも様々な解釈があるように感じており、その解釈について、疑問を持つことがあります。それを踏まえて「自由と責任」を中心に聞きました。

華子さんは、

「堀さんと「自由と責任」の表現方法は違えど、実質はモンテッソーリ教育の考える自由と責任の共存と似てる。子どもたちが自分をありのままに表現できる自由があり、同時にコミュニティの一員として自分の役割や行動の影響を考えながら責任を持って自主的に動いている。外的に押し付けられた制約ではなく、自分で考えた末の責任なの。それが自由と責任って思ったよ。」

なお、華子さんは、日本の一部のモンテッソーリ教育の実践自体に、「教える」目線が強いと感じている様子。
それに対して、
「きのくに子どもの村は、教えるじゃなくて 気づいてもらう 一緒に学ぶっていう目線がある。これは大きな違いだと思うよ。」

対等な関係があってこそ、学びが起こる、これは児童精神科医の佐々木正美先生もおっしゃっておられたことです。

自由と責任よりも大切なこと

さらに、華子さんに質問。

木村「「自由と責任」といった時に、一定の制限を受けることを学ばせなければならないって風潮が、日本にはあるような気がする。それについてどう思う?
(というのも、本映画では、「自由と責任」よりも「自由」が重要だと伝えてます。とても深いことなので、真意はぜひ映画で確認してね!)

華子さん「自分で最初から最初まですれば大人が外側から制限を設けなくても「この行動を取ったら相手にどういう影響があるだろう」って自然と考える視野も身について それが本人が気付ける自然と責任(制限)になると思うんだよね」
「だから、きのくにの取り組みに反対する理由が一つも思い浮かばない」と。

長女の学校での様子 渡り廊下を作っているのかな。おそらく2017年ごろ

一人ひとりがみんなと自由に

実際、きのくにの子どもたちが書いた文章にはこんなものがあります。北九州子どもの村の子どもたちが書いたものからの抜粋です。

子ども達は学校の自由のことをこんな風に紹介しています。

「一人ひとりがみんなと自由に」
そう、一人の自由じゃない、みんなと自由になるんだって!

華子さん
「そうだよね コミュニティの一員という意識を持てる環境だからこそ、自分勝手じゃなくて 自分と他者という目線に変わるよね。
競争の中だったら 自分対誰かになっちゃって 協働の意識は薄くなるよね。」

木村「日本のモンテッソーリのトレーニングでの印象は、
自由には責任がある。そんな簡単に自由には出来ないんです、的な印象を感じる。
モンテソーリ視点では、きのくに子どもの村の取り組みは、「やりすぎ」って言われるのかなと思ったんだけど、どう? この教育すべてに賛同できるわけではないっていう人もいるよ。」

華子さん
「モンテッソーリの責任は黄金ルールによるもの
 1)自分を傷つけない
 2)他人を傷つけない
 3)環境を傷つけない

これが自由には責任がある1番の根底の考えだよ。

全然やりすぎじゃないしモンテッソーリのファームスクールと似てる。
疑問に思うところはなかった」

木村「そうかぁ。ファームスクールとめっちゃ似てるよね。豚飼ってるし、畑もやっているし。」
華子さん「良い映画だからみんなに見てほしい」

木村「ところで、日本の学校についてはどう?日本の公立学校がもっと自由になったらなぁて思うの」

華子さん「既存の学校からきのくに子どもの村学園の教育へのジャンプは難しいだろうなあ。先生たちがコントロール手放せない人多い気がする」

木村「やっぱり、先生のうしろにいる僕ら保護者、大人自身が子どものコントロールを手放せないってことだよなぁ」
などなど、そんなお話をしました。

立場を越えて話せる機会を

さて今後ですが、
僕個人は、日本のオルタナティブ教育の世界って、それぞれで閉じてる印象を持っています。それを残念に思っています。

また、それだけに、この映画は、モンテッソーリでも、レッジョエミリアでも、イエナプランでもないもので、伝えていくのは大変に感じています。

だからこそ、
・モンテッソーリ分野の人に見てもらう
・レッジョエミリア分野の人に見てもらう
・イエナプラン分野の人に見てもらう
・不登校分野の人に見てもらう
・公立先生コミュニティの人に見てもらう
・森のようちえん分野の人に見てもらう
(続きは書ききれない)、、、
と、たくさんの草の根活動が重要で、分野や立場を超えた交流や対話こそ重要だと感じています。

ぜひ皆様のご協力を頂けますと幸いです。
一緒に企画をさせてください。

2月11日(金・祝)20:00~21:30 NHK Eテレ すくすく子育て15年担当者が語る! きのくに子どもの村学園取材記事に書ききれなかったこと  


NHK Eテレ すくすく子育て15年担当、汐見稔幸、齋藤孝、苫野一徳、養老孟司、100分de名著など書籍の企画・編集・執筆の教育ライターが夢みる教育!
2/8(火)発売の『週刊女性』映画「夢みる小学校」の学校「きのくに子どもの村学園」取材記事に書ききれなかったことをお話いただきます。https://www.facebook.com/events/353201636623101

参加チケットはこちら https://yumemiru-sukusuku.peatix.com/view
NHKすくすく子育てを歴代最長の15年担当


ゲストのこれまでの活動は多彩

お申し込みは以下より

2月13日(日)20:00~21:30 オンライン NHK Eテレ すくすく子育てでお馴染みの井桁容子さんに映画「夢みる小学校」についてお話いただきます。

井桁容子さん「見終えた時に、一筋の涙が流れた。感動ではなく悲しみだったのかもしれない。感じて、考えて、気づく学びの世界で救えた命があったのではと。」
この悲しみの涙とは?
https://www.facebook.com/events/1008429313102836/

参加チケットはこちら https://peatix.com/event/3156751/view

上映がはじまりこの2日間、映画を観賞された方とお話ししていろいろな気づきが生まれています。その気付きは以下にコメントで書いています。

毎日、勧賞者とお話し会を開催しています!ご連絡ください。

https://www.facebook.com/groups/2361353034189654/permalink/3194552790869670/

残念ながら問題は学校が引き起こしているのではありません。

いくるかある気づきの中で、伝えたいことがあります。
保護者の多くの方は多くの学校の先生に見てもらいたいと思ったと思います。
でも、現実は、この映画のような世界は保護者以上に子どもが大好きで教師の道を歩まれた先生方のほうが強く持たれています。それなのにどうしてこうなっているのか(できないのか)。
それは、保護者が、子どもが幸せかよりも、表面的な分かりやすいテストの点数に捉われたり、宿題を出して勉強させてやってほしい、定期テストをしてほしい、、、と旧来型の教育を望んでしまっています。
もう今の子ども達は自由な放課後、自由な週末の時間さえ持てず、親の不安の解消のための活動に取り組むしかないのです。
とはいえ、そんな親自身が持っている思い込みにさえ気づけないのが現実です。

条件付きの愛情から、無条件の愛情へ

2020,2021年の子育て本ベストセラー!Amazonの家庭教育・幼児教育で1年近く連続1位、『モンテッソーリ・レッジョエミリアを知り尽くしたオックスフォード児童発達学博士のが語る 自分でできる子に育つ ほめ方 叱り方』( https://www.amazon.co.jp/dp/479932599X/ )では、
「条件付きの愛情をエサにした子育て」から、子どもと保護者が幸せになる「無条件の愛情の子育て」への変化をお話しされてます。

児童発達学博士の島村華子さんは、教育法以上に、親の子どもへのイメージが大切だといいます。
それは、アンコンシャス・バイアス(大人自身の無意識の偏見)に気づくことです。
例えば、普段の子どもへの声かけを子ども役になって体験するとこんなことに気付かされます。

”体感することは何よりも腹落ちするので、知識だけで詰め込むよりわかりやすい”
”書籍の内容を実践したがうまくいかず諦めていましたが、今回純粋に子どもの立場に立てたことで心を寄り添うことの効果が分かりました”
”書籍内容は知っていても、理解できていなかった”
”子どもの気持ちがよくわかる。関わり方でこんなにも違うんだと実感”
”子どもの気持ちが分かる良い機会”
”自分のメガネでなく、こどもの視点にも立ち返ろう、と思いました。”
”本では理解したつもりでもできていなかったことを知ることができました”
”子ども役になることが大切!対話しないとこどもの本当の気持ちはわからない”

改めて、家庭で起こっていること、学校で起こっていること、そして、企業組織など職場で起こっていること、共通点があるような気がしませんか。

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木村 智浩
株式会社ガイアックス チーフ・カルチャー・オフィサー
オルタナティブな教育と組織の研究家
奈良県生まれ。早稲田大学卒業後、ソーシャルメディアとシェアリングエコノミー分野に注力する起業家輩出のガイアックスにて、営業、新卒採用、広報IR、経営企画、事業立ち上げ(国内トップシェア獲得)等、幅広く経験。MVPを最多受賞。現在はインディペンデント・コントラクター。奈良県在住。
4児の父。子どもたちは、モンテッソーリ園、また、体験型学習中心の自由学校に通う。
ポジティブサイコロジー・プラクティショナー(セグリマン博士)。国家資格キャリアコンサルタント。
元ソニー上席常務の天外伺朗の天外塾にて「ティール時代の教育と子育て」が2020年より開講。
日本最大級のオンライン保育者研修「保育アカデミー」運営。
ミネルヴァ大学院卒業生と教授による自己革新プログラムproject MINTコーチ。システムリーダーシップ実践コミュニティ コミュニティ・ストラテジー・オフィサー。

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