ぼくは、八百屋を始めようと思う。
突然ですが、八百屋を始めようと思っています。
そう、野菜・果物がいっぱい売っているあのお店です。
このnoteでは、そこに至るまでの経緯、なぜいま八百屋なのか。などの想いを綴ったものです。
ご興味のある方はぜひ最後までご覧ください。
感情だけがゆさぶられた2ヶ月
新型コロナウィルスの話題が出始めて約3ヶ月。
志村けんさんの訃報、緊急事態宣言の発表から約2ヶ月。
世界は一変しました。
人と直接会うことは"不謹慎"だとされ、すれ違う人がみなマスクをし始め、会議はリモートに。
綺麗な画質のテレビに映し出される映像は、オンラインの機材を使ったカクカクした画質の荒いものに。
エンターテイメントや、祭りなどの地域の文化でさえ賑やかな声は聞こえてきません。
誰もが予想し、期待していた「5G!」「AI!」「VR!」なんて声はとんと聞こえなくなりました。
ドラえもんの世界はすぐそこだったはずなのに。
ぼくが代表を務める法人の運営する飲食店・宿泊施設は、3月末から閉店していますが、この今治という地域でも、飲食店さんの声を聞く限り、まともではなくなっています。
半分なら御の字。7〜8割減は当たり前という世界です。
こんな時に考えるべきことは、"このお店を残すこと"なのでしょうか。
それとも、"何が何でも生き残ること"なのでしょうか。
はたまた、"ピンチはチャンス"なのでしょうか。
この2ヶ月間、足りない頭を全力で回転させています。
いろんな検討をしました。
・Uber Eats的なモデルを小さな都市で実現できるようなシステムを作れないか。
・テイクアウトをやろうか。
・移動スーパーなんてのもありかも。
・いっそすべて閉めようか。
・どこかに雇ってもらえないか。
・農業一本で行こうか。
・学校に行けなくなった子どもたちに何かできないか。
・放課後保育みたいなのもやってみようか。
・オンラインだけの塾みたいなのもいいか。
・YouTubeも、生配信とかゲーム配信でもするか。
などなど。
妄想することは無料なので、"あったらいいな×やりたいこと"がどこにあるのかを探す2ヶ月でした。
コロナとの向き合い方
正直コロナ以前の問題で、カフェの運営はあまりうまくいってませんでした。
ゲストハウスの収益こそ、そこそこあるものの、今治の商店街という場所の魅力向上には全く寄与できず、孤軍奮闘ではなく、孤軍さらに孤立状態で、カフェの収益は全く歯が立ちませんでした。
「どのタイミングで損切りをできるか」
それが昨年末くらいからぼくの中で考えていたことでもありました。
ただ、観光客は3月から、ゴールデンウィークまでひっきりになしにくることは昨年の様子からも容易に想像できていましたし、夏になると祭りもあるし、実際の決断は秋ころかな。という漠然とした気持ちでした。
そんなところにやってきた新型コロナウィルス。
ひとつのきっかけだったんだと思います。
「After コロナ」ではなく「With コロナ」の時代。
どんなことが求められるのかと言われると、おそらくもう「密」の場所は避けられるでしょう。
「感染症対策ができているか否か。」
お客さんが事業者に求める第一要件になるかもしれません。
飲食店・映画館・ライブハウスなども、収容率をあげるために隣との距離が近いものなどは、避けられると思います。
今、YouTubeなどをはじめとして、ミュージシャンのライブ映像などが公開されたりしていますが、あれを見るとすぐに、「濃厚接触やん!」って気持ちがきますよね。おそらくドラマなんかを見るときも、そうした目で見てしまうようになり、全てがフィクションに見えてくるわけです。
完全な終息はまだまだ先と言われる中で、来月回復するものでもなく、おそらく年単位になるはずで、「油断すんな!」という謎の合言葉が全国を駆け巡る日々が続くはずです。
抱いた決意。
油断すんな!という言葉と「うちはリスクはとらない」という言葉がセットになり、夏のイベント、さらには秋のイベントまでもが軒並み中止が発表さました。
これは甲子園をはじめとする全国規模のものから、今治で言えば夏の最大のイベント「おんまく」も夏の風物詩で、1年間の中で唯一商店街が人で溢れかえる「土曜夜市」も。
すべてが今の段階で中止の決定をしました。
あまりにも早い決定で、意味がわからないところも多分にあるものの、まあそうだろうなという気持ちも同時にあります。
それが、商店街でお店を続けることを決めた一つの大きな理由となったことも事実です。
1年間で唯一盛り上がるイベントがすべてなくなって、その他のイベントもやらないってなると、商店街終わるやん。
終わるという表現は少し乱暴かもしれませんが、事実、2年半お店を構えてから、商店街に新しいお店は増えていません。むしろ減っているというのが現状です。
さらにうちが撤退すると、また減るやん。誰も商店街にきてくれんなるやん。
中止のニュースを聞くと、そうした謎のやったろう精神がふつふつと湧いてきました。
「腹くくってもう少しやってみるか」
そう決心したのが10日ほど前だったかと思います。
そのお店に足を運ぶ理由
コロナという未曾有の局面を経た結果、飲食店などの比較的嗜好性の強いものについては、少なからず制限がかかってくるように思っています。
収容率、回転率で収益をあげることはもうできません。
ぎゅうぎゅう詰めで座っていたのは過去の話です。
さらに、自粛警察という名の意味不明な正義をふりかざした輩も出現していると聞きます。
気軽にカフェいけますか?
いけないんですよね。
誰が見てるかわからん。誰に何言われるかわからん。
じゃあ、ま、スーパーで買って家で何かしよか。
こうなるわけです。
そうなると、家以外で楽しむものの一つに「お買い物」があるわけです。
その「お買い物」を楽しくする。
それが今回の八百屋というお店への転換です。(随分と本題まで長い)
八百屋という選択
今治には「さいさいきて屋」というモンスター級の直売所があります。
週末には1日3000人の来客に、700万近くの売上を誇ります。
とりあえずさいさいに行けばなにかあるやろ。安いし。
というのが今治に住む人の一つの買い物パターンになっています。
ぼく個人としても、自分で作っている野菜のほとんどをさいさいきて屋に出荷しており、日頃からお世話になっている場所でもあります。
ただ、さいさいきて屋ができてからずっと思っていたことは、
「もっと農家さんの顔が見れればいいのにな」
ということでした。
出荷された農家さんの名前こそわかるものの、その人がどんな人で、どんなところにこだわりを持っているかはわかりません。
もちろんご自身でそういったPOPを展示している人はいるものの、かなり少数派です。
出荷する農家さんが多すぎて、ひとりひとり紹介できる場所はありません。
農家さんの顔が見える八百屋さんあればいいよな〜というのがずっと頭にありました。
そこでこのコロナ騒動。
もうこのタイミングしかないなというのが結論でした。
「この人から買いたい」を作る。
「八百屋カフェ」としてのMACCHIというお店では、出荷していただく農家さんをすべて丁寧に紹介する予定です。
ざっくりとしたイメージですが、県内農家さんを10〜15人。県外農家さんを5人前後。
全部で30〜40種類の野菜・果物を揃えることを目標としています。
県内の農家さんは基本的に畑まで足を運び、独自に取材し、紹介します。
県外の農家さんについては、キュレーター(呼び方考え中)という県外在住で農家さんに詳しい方に紹介していただき(フリーランスバイヤーみたいな形になる)、農家さんから直接仕入れます。
農家さんと、その農作物を丁寧に紹介することにより、「この人から買いたい」という人が増えることを目指します。
「野菜・果物を買いに行く。」
ただそれだけのことを、もっとワクワクできる体験に。
一回の食事を、より楽しめるものにする。
外出が貴重になる中で、買い物を楽しんでもらえるようなお店づくりをしてこうと思います。
こどもの落書きのようなパース。
こんな汚くても、なんか素敵に見える。それが八百屋さん。
誰もが気軽に立ち寄れる。そんな場所になればと思っています。
八百屋のその先。
店舗型の八百屋で全てが完結するわけではありません。
一番初めにこれからどんなことしようかなと考えたときに出てきたのは、移動スーパーでした。
その場合あまりにも品数が増えてしまうので微妙だなと思っていたんですけど、これが野菜・果物だけだといけちゃうわけです。
落ち着いていけば、野菜・果物の移動販売も行っていきます。
さらにさらに、加工品も挑戦していきます。
店内でのスムージーなどの飲食はもちろんやっていきますが、気軽にテイクアウトできるサンドイッチとか、野菜スティックとか。
野菜・果物があるだけで、なんでもやれる気になっています。
もちろんすべて実行してくつもりです。
足を運んでもらえる理由を、考えうる限りすべて作っていきたいと思っています。
店名に込めた想い
カフェ・ゲストハウス「MACCHI」は、誰かの心に火をつける「マッチ」の役割、人と人とをつなぐ「マッチング」を「街」で行うという意味を込めました。
一部、ここで出会った人たちや、心に小さな火を灯せた人はいると思いますが、まだまだ道半ばもいいところです。
ここに新たに、農家さん・農産物と消費者の「マッチ」という意味も含まれてきます。
まだまだ火を灯し続ける使命感を勝手に感じています。
さいごに
このコロナ禍で、新たに借り入れもしました。
新しいチャレンジにはリスクがつきものです。まだ返済の終わっていない債務ももちろんあります。
そんな中での決断は、正直今までの人生で一番悩んだかもしれません。
とりあえずまずはこの1年。
コロナと共存しながら戦っていきたいと思います。
商店街はなにもないとは言わせない。
夜市がなくても、おんまくがなくても、魅力的なお店があると言ってもらいたい。
商店街の生まれでもない自分がなぜそこまでこだわるのかまだよく自分を理解できていませんが、もうしばらくここで頑張ってみようと思います。
いろんな形でまたみなさんのお力をお貸りする機会が出てくるかと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。
おすすめの農家さんいたらぜひ紹介してください!
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