ヘルシンキのシェアスクーター。スーッと走るとかっこいい。
ヘルシンキの街を歩いて気づいたのが、その辺に電動キックボードが落ちていること。
それにしても無造作に転がっている。
いったいこれはなんなのかと現地であっこちゃん(ヘルシンキに引っ越したママ友。現地でいろいろとお世話になりました)に聞いてみたところ、アプリで使えるシェアスクーターだと教えてもらった。そうかシェアリングエコノミーというやつか。日本でもシェアサイクルやカーシェアリングがあるけれども、なんだか使い勝手が悪そうで使わずにいたやつだ。シェアサイクルはいちいちステーションを探して置きに行かないといけないのがめんどいのである。
その点、このシェアスクーターは乗り捨てできるのがいい。まさに言葉通りの乗り捨てで街中の至る所に転がっているのである。
ヘルシンキの街中でよく見かけるのはVoiとTierとLime。hoopやBoltもあったけど少数派なのでめったにお目にかかることはない。
微妙に料金体系が違うものの、ロック解除1回ごとに1ユーロかかって、1分ごとに15セントとか課金される。乗り捨ててあるのを拾って乗って、目的地に着いたら乗り捨てる。
早速、片っ端からアプリをダウンロードして設定。なぜならかっこいいからね。ヘルシンキの街をスクーターで風をきって走るとか、最先端っぽくておしゃれじゃないですか。だからぜひこれはやってみなくては、と。
登録方法はそれぞれ異なって、確かVoiはメールで認証してクレジットカードを登録。Limeがフェイスブック登録が使える。TierはSMSで電話番号登録。最終的にはぜんぶクレジット決済なので、カード情報を登録することになる。ちょっと面倒だったのがSMS認証。なぜなら今回利用したsimには電話番号がついていなかったから。これがないとTierは使えない。あとVoiでPaypal支払いをする場合もSMS認証が必要だった。
なので日本のsimを入れ直して、SMSメッセージを受け取って設定完了。
早速、乗ってみるのだけどなんとぜんぜん動かない。
右手のアクセルをいくら押しても動かない。でもアンロックされてるうえ、時間で課金されるのでどんどん出費が増える。仕方ないので一度ロックして乗り方を調べてみたら、キックして移動が始まってからアクセルを押さないとモーターが駆動しない「キックスタート方式」なのだそうだ。超初歩的なミス。で気を取り直してキックスタートを試みると、快調に走り出した。
右手にアクセル。左手にブレーキ。で、アクセルはどうもオン・オフしかないらしい。今回、試したのLimeとTierだったけど、どちらもそうだった。だからスピード調整は通常のキックボードと同じように後輪のカバーを足でタイヤに押し付けて減速するか、左手のブレーキを使うことになる。ブレーキは前輪に効くためか、急ブレーキすると前につんのめりそうになって危ない。電動スクーターは初めてってこともあって、乗りこなすのに若干の慣れが必要だった。でも大したことではないので、移動にはとても便利。一応、マニュアルには「ヘルメット着用のこと」と書いてあるのだけど、被ってる人なんてほとんどみない。速度は20キロまでで、結構勾配のきつい上り坂やでこぼこ道もガシガシ走って意外にパワフル。
Tierの方がタイヤが太い車種だったので、もしかしたら石畳とかのでこぼこ道を走るには向いてるんじゃないかと思ったのだけど、あまり変わらなかった。
乗り終える時はまたアプリを開いて「Lock」をタップ。
すると自動的にキーがロックされてレンタルが終了する。これもマニュアルにはちゃんと自転車置き場とかに置いてねとあるのだけど、守ってる人はたいしていない。ちゃんと停めたことを記録するため、写メを撮って送るように指示されるけどこれはskip可能。たぶんみんなやってないんじゃないかな。草むらに捨ててあるようなやつもあったし。
セコイのだけど、アプリの画面を呼び出すまでも課金されるので、スムーズに画面を出せるようにしておく必要といいね。でもGoogleマップみながらの移動になるので、アプリ間の移動を素早くしないといけない。
個人的には泊まってるところから駅への移動で時間を節約したい時、ちょっとタクシー使いたいけどそうでもないような場面でよく使った。私は初めての土地に行った時にはとりあえず歩き回って土地勘を掴むところから始めるのだけど、そういう人には便利だと思う。街中の方向とか距離感とかつかめるし。
一番長く乗ったのは、「LÖYLY(ロウリュ)」という海沿い新しくできたおしゃれサウナからの帰り。ハブステーションのカンピ(Kampii)駅まで乗った。
だいたい15分くらい。料金は700円ほど。値段的にはタクシーとそんなに変わらないか、下手したらタクシーより高いのかも知れないけど、体で道を覚えられるという利点がある。
ライドを終えるとこんな明細がメールで送られてくる。
これはTier。
こちらはLime。
僕の場合は全部クレジット払いにしているので、これがそのままクレジットに課金されることになる。
ただこのシェアスクーター、夏季しかやっておらず10月ごろには回収されてしまうとのこと。だって雪降るもんね。そりゃそうだ。しかし夏場は工事シーズンでもある。ヘルシンキ空港もマリメッコ本社もがっつり工事中だったし、街中も至る所で掘り返している。これもやっぱり雪のせい。雪で工事なんてできないから、夏の間にまとめて済ませてしまうのだ。
シェアスクーターのサービスはヨーロッパやアメリカなど至るところでやっているそうで、寡聞にして知らなかった。モスクワにもないけど、エストニアにはあった。エストニアではヘルシンキでは少数派だったBoltが多くて、シェアスクーターだけでなく車やデリバリーも可能な「Uber+UberEats+シェアサイクル」みたいなサービスになっている。
日本では全く見かけないけど、浜松で実験的に始まっているらしい。
フィンランドでは国の IT化を進めるにあたって、高齢者のITリテラシー向上にかなりの手間を費用とかけたそうだ。すると高齢者も新しいサービスを活用できるだけでなく「よく分からないからやめろ」という、反対意見が激減し、新しい施策がやりやすくなったとか。
このMaasとしてのシェアスクーターを日本で展開しようとすると、「高齢者との衝突事故の危険性が指摘されていかにもぽしゃってしまいそう。だからまずは高齢者向け講習会なんて実施してお年寄りに使ってもらうと良いのかもね。免許返納した高齢者には補助金が出るとかさ。
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