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noteで学べるシステマ講座 第77回「沈黙について Part1/3」

noteで学べるシステマ講座 第77回
「沈黙について Part1/3」

人はなぜ言葉を発するのか?

司会:今回は「沈黙」がテーマです。以前ミカエルはその重要性を指摘していましたが、それについて詳しく教えて下さい。

ミカエル:まず、なぜ人間には人と会話する、コミュニケーションを取るという能力が備わっているのか考えてみましょう
 人は話をするときにエネルギーを消費します。ここから挙げられるひとつ目の問題は、その力の源はどこかということです。そして2つ目は話をするということ自体が人に力を与えもするし、奪いもするということ。この2点を頭の片隅に置いておいてください。

私たちが人に何かを話す際の目的についても考える必要があります。中でも大きな目的となるのは、自分の存在を見せたい、自己顕示したいという気持ちです。

私たちは「舌」というものを、物を食べたり、話したりするために使います。自己顕示としての会話も、食べるという行為も自分自身のためのものです。現代人は特にそうした使い方に特化しています。もちろん幼少期にそうなのは通常です。自分自身のことをまずやるということが、本能的に備わっている行為だからです。それが成長に伴って変化することもあるのですが、現代人はそのまま自分自身のためだけに使う傾向が強いように感じます。

ロシア語では「舌」と「言葉」が同じ単語(язык イズィーク)で言い表されます。この「язык」を今度は「言語」という意味から見ていきまししょう。そもそも「言葉」がなぜ必要なのか? それは自分に必要なものを得るためです。そして「言葉」は、それを大きくしたり小さくしたりすることができます。

もう1つ考えていただきたいのが、以前は自分の気持ちを表現したり、相手に対して関係を作る時の言葉というのは、比較的長い言葉が多かったということです。長い言葉によって相手に理解してもらおうとしていたのですが、最近は徐々に短くなっています。例えばロシア語での挨拶も英語の「Hi!」のように、簡略化された「Привет(プリヴィエット)」が主に使われています。

「Привет」はもともと、意味のない言葉でした。家族などのたまたまそこに居合わせた人に対して声をかけるのに用いるのが本来の用途です。でもそれが日常的に、誰に対しても使わるようになっていったのです。さらに遡ると、簡単な言葉ではなく、頭を下げたり礼をしたりすることによって、人に対する敬意を表していたわけです。そういったものがなくなり、挨拶がどんどん簡略化されていったのが、現代社会であると言えます。

「沈黙」の目的

 私が「話さない時間」を作ることを薦めているのは、自分が何を考え、話し、周囲に何を表現しようとしているのかを、立ち止まって考える時間を作ってほしいと思うからです。
人は様々な目的で話をすることができます。人を助ける、人を支える、人を応援し、喜ばせることもできますし、逆に人を悲しい気持ちにさせること、辛い気持ちにさせることもあります。

つまり人に力を与えることと、奪うことができます。だから、ただ言葉を発するだけでなく、どのように話すと、何がどのように伝わるのかを考える時間を作ってほしいのです。

 例えば、子どもに褒め言葉を投げかけながら育てれば、育てられた子どもにはポジティブな言葉がどんどん入り、ポジティブな気持ちになっていきま
す。そのポジティブさがその子に落ち着きというものをもたらします。その落ち着いた状態でいることで、その子は様々な達成感を得ることができますし、実際に何かを達成するという経験を積むこともできます。

褒め言葉への依存

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