noteで学べるシステマ講座 第61回「孤独が人を攻撃させる　ミカエル・リャブコクラスより」

孤独が人を攻撃させる

2022年1月22日に実施されたオンラインコース「感情的な人と向き合うには」第2週のテキスト化です。

北川：当コースは「感情的になってしまった人とどう向き合うか」がテーマです。いろいろな感情があると思いますが、今日は特に攻撃的な人への対処法について、詳しく教わることができればと思っています。

ミカエル：まずはその質問について、もう少し具体的に考えていきましょう。まず、さまざまな場面が考えられます。日々の生活において家族に攻撃的な性格の人がいるということなのか？　それとも仕事でかかわる人が攻撃的な性格なのか？　または突然、攻撃的になってしまう人に対する話をすればよいのか？　自分がその人と関わらなくてはならない状況が長時間続くのか？　毎日その人と一緒にいなければいけないのか？　それとも一瞬だけ対応すれば済むのか？　

北川：２つの状況を用意しています。まず1つ目が「パワハラ」について。日本では上司からのパワハラによるストレスで、従業員が会社を辞めたり、体調を崩してしまったりすることが問題視されています。こういった問題に対してどう対処すれば良いのか？　もう一つの日本の問題としては、巻き込み型の自殺です。お金もなく、仕事も友達もいない人が将来を悲観するあまり、社会を恨み、社会への復讐として他人を巻き込んで自殺する、自殺テロのような事件が増えてきています。こうした錯乱状態の、自暴自棄の人に対してどうすれば良いのか？
なので質問は「職場のパワハラ」と「自暴自棄への対処」の二つです。

攻撃性は孤独から生まれる

ミカエル：この簡単に答えられる問題ではありませんが、シンプルな側面が潜んでいるとも言えます。あらゆる人間の行動には原因があります。その原因を知ることが重要です。そのような正しくない行動をしてしまう人に多くみられるのが「孤独」です。自分が思っていること、自分が助けてほしいこと、自分が必要としているもの・ことを共有できていない、誰とも共有できていないということに問題があることが多いです。

日本では自暴自棄になって、他人を巻き込む事件を起こしてしまう人がいるとのことでした。例えば、極度の自暴自棄状態の人が建物に火をつけたとしましょう。その時はその人に対してできることはもうありません。すでにその状況は起こってしまっているので、その人を変えることはできないです。すでにひとつの事実として起こってしまっているため、覆すことはできません。

手遅れになってはなす術がないので、常に私たちは予防するよう行動しないといけません。防ぐ方法を考えるのです。私たちの世界には膨大な量の情報が溢れています。テレビやラジオ、インターネットからそれらを受け取りますが、こうしたメディアは「ひとりでいる」という状況、つまり「孤独」を創り出しやすいのです。

私たちが孤独を解消するには、やはり誰かとの会話が重要です。神との対話としての祈りでも良いでしょう。そういった心の支えとなるものを持つことがとても重要です。それが神なら神を心の支えにすることが大事です。猿から生まれた人がいるなら、猿を心の支えにしたら良いでしょう。それはそれで良いことです。（編注：ダーウィンの進化論をネタにしたジョーク。神に人が作られたとする旧約聖書の教えと進化論が矛盾することによる）
大切なのは誰か、心の支えとなる人がいるというです。それが親やきょうだい、師匠や恋人、妻、夫であることもあるでしょう。そういう人たちの存在が必要なのです。

心の支えとセルフコントロール

人には、自らを制限しなければならない時があります。自分の行動や発言、自分のやりたいことを我慢しなければならない時に、心の支えがあればそれが耐える助けとなります。そして怒りを抱いていた対象を、理解できるようになっていきます。一番大事なのは、相手を理解しようとすることです。その人がなぜそういう行動をするのかを深く理解していくこと。特に身近な人をしっかりと見つめ、観察するのです。「彼は今日はなんだか自信を失っているな」「元気がないな」そういうことに気づいたら、「なぜそうなのか」と、しっかり愛情をもって見つめていくのです。そうやって家族や身近な人を見つめていくことで相手の状況も変わっていきます。自分が相手の心の支えとなることができるからです。なので、普段から身近な人たちや、大切な人たちをしっかりと見つめて、対話をし、理解に努めなければなりません。