見出し画像

博耕房大学受験部からのメッセージ~読書のススメ(読書初心者向け編)

 みなさんこんにちは。

 博耕房で現代文の授業を担当いたします武川です。

 4月も最終日を迎えました。本来ならば博耕房でも火曜日に古文、金曜日に現代文の授業を実施する予定でしたが、政府からの緊急事態宣言を受けて開講日を延期しましたし、その他の出講先もライブ授業はお休みです。この仕事を始めてそれなりの年月が経ちますが、もっとも歯痒いひと月だったなあ、と感じております。

 しかし、それは高校生の皆様も同じなのではないかと思います。
 最初は春休みが延長されてラッキー!ぐらいの捉え方をされていたかもしれませんが、休みは伸びてもディズニーランドもUSJも、さらにはスターバックスまでも閉まっていては何もできず、友達とも直接会えず。(しかし、デジタルネイティブの皆様は大人たちが「Zoom飲み会」で騒いでいるのとは対照的に、ビデオ通話などでコミュニケーションをとるのは当たり前かもしれませんか。)そろそろ暇を持て余しつつある……。

 そんなことはない。しっかりと勉強を進められている!という高校生もたくさんいらっしゃると思います。最近は多くの予備校が映像配信に切り替えて、それらの授業をうけつつ、問題集をこなしつつ、世の中が落ち着くのを待っている、、涙ぐましい努力です。素晴らしい。そんな皆さんは先日小池先生が書いたこちらの記事もご参照あれ。

 こちらは国語一般についての記事ですが、英語については別の出講先で(再度)同僚となる土岐田先生の記事をご覧ください。(シリーズ化されていますが、とりあえず③のリンクを貼っておきます。)


 それでも、勉強を進める上での息抜きもかなり工夫しなくてはならないと思います。積極的に外に出ることも適わないですからね。そこで今回は息抜き、さらには現代文を読む力の補強にもなる「読書のススメ」というテーマでお話していきたいと思います。
   なお、古文の葛西先生も類似テーマで記事を書かれていらっしゃいます。こちらも是非ご覧ください。

・読書経験ゼロ~少なめの人に向けて

 とは言え、読書もしたことがないのに読書しろ、と言われましても、何から手を付ければいいかわからない……と思う人もいるだろう。また、読書する=夏目漱石や太宰治などの文豪の作品を読まなくてはならない=なんだかハードルが高い……と尻込みをしている人も多いのではないだろうか。そんなあなた方に伝えたい。

 一歩踏み出せ!そしてつまらない常識に囚われるな! 

 もちろん、過去の文豪の作品は素晴らしいものです。しかし、それらの世界に出会う前にまずは第一歩を踏み出さなくてはなりません。そのために以下の作品をご紹介します。本当は、「そこそこ読書をしています!」という人向けの項目も作る予定でしたが、この項目がそれなりのボリュームになってしまったので、その記事は次回以降に回すことにします。

① 『友だち幻想』 菅野仁(ちくまプリマ―新書)

 「身近な人間関係」について様々に考えを巡らせるのが高校生なではないか、と思います。もちろんその葛藤の中で得られる感情の機微を知る経験はとても大事です。(デジタルではじつはまだ少し伝わりにくい部分ですよね)しかし、「必要以上に」悩む必要はないのだ、ということを教えてくれるのがこの一冊です。
 読書ビギナー向けに推薦しているのは、「テーマの身近さ」によるものです。自分の身の回りの出来事を深く掘り下げてくれていることによって自分の生きている現実について深く考えるきっかけが得られます。

②『そして、バトンは渡された」瀬尾まいこ

 お話の設定そのものはなかなか共感できるものではないと思いますが、登場人物の感覚や思考などは高校生の皆さんのそれに非常に近いものがあるのではないかと思われます。軽い、しかし浅くないーそんなところに共感をえるかもしれません。
 なお、この本は2019年の本屋大賞受賞作です。個人的には今年の受賞作である『流浪の月』(凪良ゆう)もおすすめです。


③『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』ブレイディみかこ

 こちらはエッセイ集です。作者はイギリス在住の女性。イギリス人の男性と結婚し、日本でいう中学生に相当する息子がいる。彼が「ハーフ」であることがイギリス社会でどのように受容され、その中でアイデンティティをどのように育んでいるのか、が読み取れます。同時に日本とはかなり異なるイギリス社会の在り方も見えてくる。そんな一冊です。

④『羊と鋼の森』宮下奈都

 こちらは山崎賢人が主演し、上白石萌音、萌歌姉妹が双子役で出演したことで話題になった映画の原作小説です。小説のストーリーも「青春の葛藤と若者の成長」という非常に明快かつ共感しやすいものであります。
 こちらを紹介したのは「映画やドラマの原作小説」から読書を始めるのも面白いですよ、ということです。
 私が高校生のころは東野圭吾ブームの真っただ中だったのですが、ドラマ化された『白夜行』や『ガリレオ』シリーズなどから読書経験が始まった人も多かったように感じます。なお、東尾圭吾作品では『容疑者xの献身』が一番好きです。実写化映画も母校のキャンパスで撮影していたことも印象的です。(しかし、石神が堤真一はないでしょう…)
 このような読書の仕方はある意味で「邪道」なのかもしれませんが、それでも第一歩を踏み出すことは代えがたいものであるとも思います。

⑤『死ねない時代の哲学』村上陽一郎

 最後にこちらの一冊を。入試でも村上陽一郎氏の文献は多数使用されています。予備校のテキストでも必ず一度は出会うのではないでしょうか。村上陽一郎氏の文章はとにかく論理が明快です。彼が何を言おうとしているのかを確認しながら読んでいってください。そして、現在の社会の状況に少し思いをはせてみてください。そうして皆さんの考える力はついていきます。

 以上、いくつか紹介させていただきましたが、何か参考になるものがあれば幸いです。


 また、博耕房では5/10(日)に体験授業を予定しておりますが、今後の緊急事態宣言の延長の有無などを踏まえて、改めてアナウンスさせていただきます。

 それではまた!




 

よろしければサポートをお願いします。日々の制作の励みになります。