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【コラム】ふと、思ったこと⑤〜人間、調子の良いときばかりではないから

◇武尊選手の告白

唐突だが、私はプロレスが好きだ。
今年は1.8の横浜アリーナでの『WRESTLE KINGDOM』の新日本プロレスとプロレスリングノアの対抗戦を見に行った。最高の初詣だった。

と言ってもこれはここ数年の話だ。
学生の頃はどちらかというとプロレスを蔑視していた。受けて投げての美学が理解できるほどに成熟しておらず、白黒がはっきりするK-1や総合格闘技の方が好きだった。

先日、格闘技の一大イベント、『THE MATCH』が行われた。
かつての私にとっては地上波放映の見送りは許されざる出来事だっただろう。しかし、そこから20年近く経った現在の私はPPVを買うほどの余裕はあれど、それを見送り甲子園から神戸サウナへ向かうというおっさん全開の休日を楽しんでいた。

那須川天心選手の勝利で決着した世紀の一戦後、
対戦相手の武尊選手が会見を開き、うつやパニック障害を抱えていることを発表した。引退の可能性も取り沙汰される中で、一時休養を選んだようだ。

選手寿命はそこまで長くないジャンルの中で休養を選択することは勇気が要ることである。

◇浮きつ沈みつ

武尊選手と比べるのも烏滸がましいか、ちょうど私も10年前、サラリーマンを辞めることになる1年前に彼と同じような状況にあった。

直接の原因は人間関係によるものだし、その相手を許すことは一生無いのだが、それ以前からの小さな要因の積み重ねが自分の心の破綻を招いたように思う。今となってはそれも全て自分の努力不足だとわかるのだが。いや、当時も分かっていたけど何も出来なかったというのが正解というか。

沈んでたのはちょうど10年前。27歳。人生の、若さの盛りである20代を無駄にしているという感覚が強かった。周りが結婚したり仕事で結果を残す度に自分のダメさ加減を感じて、滅入って、食べて、太る……こんな感じで体重も3桁に乗る手前まで増えていた。自分の人生に絶望しかけていた。そして、会社を辞めることを決めた。転職先としても人気の高い、ホワイトの極みのような業界最大手の会社を辞めて、あいつの人生もここまで、と言われたこともあった。

ではそのあとの人生は沈みっぱなしかというとそうでもない。……と思ってる。

なんとか講師業という仕事で、現代文や国語を教えるこの仕事でで生きていけている。色々な縁もあってまた一番大きな組織のひとつに名を連ねてもいる。そしてその「成功」(あくまで他人の評価。私はまだそう判断していない。)を一番喜んでくれているのは、前職時代の知り合い達であるのも事実だ。

繰り返すが、人生沈みっぱなしではない。
どこかにまた浮かび上がるチャンスがあるのだ。

◇浮き上がるのために必要なこと

個人的な話だが、いまこうしてなんとか生きながらえているのは、ちゃんと休んだからなのだと思う。

人間、本当にダメなときは時が解決してくれることも多い。時間の経過が抱えている問題を整理し、次の進むべき道を示してくれる、そんなこともあるのだと思う。

実際私も短くはない期間会社を休み、様々な人のサポートを受けながら少しずつ回復できた。そういう環境だったことももちろん大きいのだが。

そして、その中で塾・予備校講師という仕事に辿り着いた。そしてこの世界で少しずつ再生出来たのだ。

あまりにもしんどいときは思い切って休むことも大事。その選択肢を持つことも大事。

ふと、思ったこと。

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