「愛がなんだ」を観た
少し前の平成最後の日、まだ少し肌寒いなか「愛がなんだ」を観に行った。
その日は大学時代の後輩2人と昼から餃子を食べビールを飲み、途中で映画を挟み、結局朝までカラオケで呑んだくれた。(平成ヒットソング振り返りカラオケは、令和でも積極的にやっていきたい)
一回目の鑑賞後の率直な感想が、「なんだかモヤっとする映画だな」だった。そのモヤッと感はゴールデンウィークが終わっても止むことはなく、とうとう先日2周目を見にまた渋谷へと足を運んでしまった。ちなみに、その後また呑んだくれた。
しかし2周目を見た後でも、やっぱりどこかモヤっとする。この映画は、スッキリとした結論を視聴者に与えない。ハッピーエンドでもバッドエンドでもない、投げっぱなしで後は視聴者が考えろという、結構無責任な映画ななのだ。だからこの映画は視聴者側に対しても特定の答えを求めない。「答えを出さなくてもいい」無責任さを許容してくれる。
ただのエモい映画ではなかった
この映画はいわゆる「エモい」映画だ。なぜかって、映画の端々に「エモい」描写が設置されていて、それが20代後半には特に刺さりまくる描写なのだ。
昼頃に起きて「何食う?」から始まる会話や、その後に始まる街歩きデート。ベッドの上の他愛もないじゃれあいが、世界で一番最高なエンタメなんだと再認識させてくれる。
ただ、それらはこの映画を構成する一部でしかない。
日常、ましては恋愛においては、誰もがモヤッとした、ピリオドを打ちようのない思いを抱えているもので、誰でもどこかに狂気を抱えているもので、そういう意味でこの映画はすごくリアルなんだ。
「愛ってマジなんなん?」ということ
ネタバレにならない程度に書くと、主人公は、成田凌演じる出版社勤務の男に、病的ともいえる愛情を向ける。深夜に部屋の外に放り出されても、部屋を掃除してタンスの中の靴下を整えたのにぞんざいに扱われても、その愛情はまったく変わらないどころか、どんどん深さを増していく。
自分は主人公にまったく共感できなかった。だから、映画を最初に観た感想は愛がなんだというより「愛ってマジなんなん?」である。
だからこそ、このあいまいさ、余白の多さが、観たあとに呑んだくれた理由でもある。無性に愛について語りたくさせる。「愛ってマジなんなんだろうね?」と居酒屋談義が幕を開ける。誰しも一家言あるテーマなので話はつきない。
この余白の多さが、この映画がゴールデンウィークを過ぎても放映が延長されていた理由だとおもうし、狙っていたのなら監督はうまいとおもう。これは実際監督もそう言ってるし、愛がなんだをひたすら語るイベントも開催されたらしい。
一人で見に行ったら感情を消化しきれずに心を変な方向に病みそうな映画なので、ぜひ人と見に行くことを勧めたい、と思ったけどもうやってないか。ただ、パートナーや恋人と観るのはあんまりおすすめしない。
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