労働、報酬、そして手品

労働とその対価によってえられる報酬は生きていくうえで必要なものです。労働が必ずしも必要かはわかりませんが、報酬として得られるお金がないと現実生きていくことはできません。

わたしはもともとあまり欲のない人間なのと、若いときはひどい生活をしていたのもあって、ほかの人よりも生活レベルがだいぶ低いラインで満足してしまいます。

幸運にも他職種と比較すると金額の面では今のところゲタを履かせてもらえている職種ですし、ありがたいことに一定の評価もいただける場所で働いており甘えさせてもらっているとも思う一方で、ライフラインを守るための支出であれば子どもが生まれる前の十数年前とほとんど変わらず、もう少し給与が落ちてもギリギリ何とかなりそうな生活レベルではあります。

そういったわけで報酬で得られるお金に対するインセンティブが今はあまりないので、組織における評価制度においても心が動くようなことがここ最近ありません。「きみのパフォーマンスはひじょうによろしくないので等級降下・減給となります」と言われたらそれはショックでしょうけど、そんなことはないようバランスをとって労働しているつもりです。

また、仮に賞与や昇給が評価の場面で伝えられたとして、それは "がんばったで賞" ではなくて "がんばりを期待してるで賞" なはずなので、期待をかけられることに粋を感じつつも報酬としてのお金がインセンティブに感じられないので気が重い、というのが正直なところです。


最近こんなレポートを読みました。雑に要約すると以下のような話です。

"企業が高い評価と処遇で定着を期待するのは最上位評価を受ける社員のみであり、PIPや足切りによる入退場を繰り返した結果、中間層以下には原資が分配されづらい、モチベーションやチーム・コラボレーションに効果を発揮しない、などの問題からアメリカ企業ではノーレイティングといった考えで制度設計をしはじめている"

ここ5, 6年くらいわたしも中間層をウロウロしているであろうという認識はありますが、いくつかの就業経験からこれまでの所属で原資分配が適切だったかは評価できません。同僚の等級や給与がすべて見えていれば感じることもあるでしょうが、先にも書いたとおり給与という報酬に対するインセンティブはそもそも感じないので、給与面の待遇にはあまり思うところはないというのが正直なところです。

一方でモチベーションの維持については深く考えておきたい内容です。

ここまで "報酬としてえられるお金" という言い方をしてきましたが、お金だけではなく、報酬の中には "仕事の上達=仕事をするうえで役に立つスキル獲得" も含まれるはずです。お金だけが労働のモチベーションとはかぎりません。

先日ダラダラと書いた日記ですが、チャレンジできる状態とは学習を進められる状態が大前提にあると思っていて、給与という報酬をベースにして期待をかけていただけるのはありがたい一方で(書いたようにありがたいと同時に気が重いものです)、"チャレンジしていくためにきちんと学習のステップを刻みたい" という一労働者としての欲求もあります。

ストレッチなゴール設定というと耳障りがいいのですが、ものすごい高みを目指そうというわけでもないのに、高い目標を前にすると現実と理想の乖離に対してネガティブな感情がわいてきます。それは理想の状態になりたいがゆえに感じる届かなさ・歯がゆさ・不安というよりも、誰からも強要はされていないでしょうが、会社に所属している以上求められる役割として強要されているような気がしてしまう息苦しさに近いものに思えます。

「易きに流れる」という指向性も、息苦しさからの逃避といった行動ではないかと考えられなくもないです。達成すべき高い目標までにどう学習しステップを踏んでいけばいいのか、自分で足元を確かめながら進みたいのです。

わたしはラーニングアニマルと言われるような類の人物ではないですし、自分の身の丈より数倍はあろう大きな問題や課題に対して及び腰になってしまいます。労働においてとれるリスクをかなり小さく見積もって生きているので、他人より小さなステップで積み重ねたいのです。

現実問題として企業としてはこの目標を達成してもらわないと困るということもあるとは思います。しかし、さきのアメリカ企業における制度見直しの話を真に受けるとするならば、知識労働が主体になっていく時世で、それぞれの仕事の上達はバラツキがあるものだから、お金という報酬以外でそれぞれに内発的労働ができないものだろうか、ということを考えたりもするのです。


気付いたらびっくりするほど真面目に日記を書いていたのでもうやめます。こんなのもうやめだやめだ!!!!何が労働だってんだよ、バカヤロー。

酒! 酒だけが身を助く。酒だけが頼りだ。

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