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#1 クリエイティブという言葉で思考停止をする人達へ(クリエイティブ左脳論のすすめ)

0. はじめに


僕は、大学卒業後、広告代理店の博報堂に入社。広告制作やコミュニケーション、メディア、映画の出資などの業務を5年弱経験。東京藝術大学大学院映像研究科を経て独立。その後は、TVCMや映画を中心とした「クリエイティブ」に携わる仕事をしてきました。

2016年の4月から、ご縁をいただき、今年の3月末まで、宮崎大学で准教授のお仕事をさせてもらいました。

その間、大学で何をしているの?とよく聞かれたんですが、大学教員の仕事は、主に教育・研究・運営・社会貢献の4つあるんですが、その中で僕は4年間、『クリエイティブを左脳で語るコト』を教育し、研究してきました(あと作品制作もしてました)。また、それを基に地域(社会)ともプロジェクトをいくつか実施してきました。(貢献できているといいな!)

で、今、大学を離れたこのタイミングで、<講義やWSなどで行ってきたことを一度再整理したいという気持ち>と、<クリエイティブの現場に戻っても時々一歩引いて俯瞰できる視点に戻りたいという気持ち>から、noteのアカウントを作って発信することにしました。

以上が簡単な自己紹介です。

で、選んだ1つ目のテーマは、クリエイティブとはなんぞや、にしました。
これは、大学の講義でもどこかのセミナーでも講演でもワークショップでも、
1番初めに大大前提として話している内容です。

クリエイティブと言う言葉で、思考停止をしてはダメ!
クリエイティブは左脳で語れる!

1. 「クリエイティブ」は「アート」ではない。


クリエイティブ(CREATIVE)という言葉を辞書で調べると、
「創造的な、創造力のある、独創的な、創作的な」と書いてあります。

だから『クリエイティブとはなんぞや』のような問いをすると、「アイディア」「センス」「才能」などの右脳的なワードでてくることが多いです。

でも、それは「クリエイティブ」ではないです。「アート」です。少なくともここではそう定義します。

クリエイティブ<広告やコミュニケーションというジャンルにおけるクリエイティブ>は、ちょっと抽象的ですが、<何かしらの情報を与えて、何かしらの変容を起こす行為or制作物>とここでは定義したいと思います。
(クリエイティブとアートの違いについてはまた後日詳しく整理します)

クリエイティブとは、
情報を与えて、態度 or 意識 or 行動変容を起こす行為や制作物
(広告やコミュニケーションというジャンルにおかれるクリエイティブ)


2. クリエイティブは「左脳」と「右脳」で分けられる


1つ前の項目で定義した「クリエイティブ」と「アート」がごちゃ混ぜになって受け取る人が多く、クリエイティブ=アート=右脳的思考100%と言う印象を持たれることが多い気がします。その結果、クリエイティブに関して、「コメントをしていいのは一部の人」「わかんない」といった思考停止状態になる人が多いんだと考えます。

しかし、クリエイティブにとって一番大切なものは左脳的な要素だとまずここで断言したいと思います。さらに、乱暴に言えば、80点のクリエイティブを作るのに、センスや才能は一切必要ない。論理やら計算、つまり左脳的な能力で、誰でも80点は取れます(これをクリエイティブ左脳とします)

もちろんアート的な要素=右脳が全く0と言いたいわけではありません。80点のクリエイティブを100点に、そして120点に持ち上げる(=クリエイティブジャンプ)のは、センスや才能です。(これをクリエイティブ右脳とします)
だから、クリエイティブ左脳だけではダメです。

逆にクリエイティブ右脳だけだと、80点の土台がないので、クリエイティブジャンプをしたところで、100点にも120点にも届かないことが多いです。もちろん届くこともあります。が、それはただのラッキーというか計算ができないです。

成果を運任せにするなんてプロの仕事じゃないです。

つまり、100点120点の成果を出すためには、クリエイティブ右脳も左脳もどっちも必要であるわけで、多くのクリエイターは当たり前のようにそれを行なっています。感覚やセンス(クリエイティブ右脳)だけで仕事している人なんてほぼいないと思います。当たり前ですけど。(多分)

クリエイティブ左脳だけでも80点は取れる(80点しか取れない)
クリエイティブ右脳だけでは打率が計算できない
左脳+右脳で計算して100点や120点が狙える

3. 「クリエイティブ左脳力」はこれからの時代の必須スキル(本題!)


では逆に、そのクリエイターたちに依頼している側はどうか?
もしかしたら、成果を運任せ、とまでは言わないでも、クリエイター任せにする、アート領域なので口は出せない、なんてことをしていないでしょうか。

その思考停止は、とてももったいない。
これが今回の本題です。

クリエイティブは8割は左脳で語れるわけですから、誰にでも習得できるし、計算ができる、議論ができる、つまり、判断ができる、わけです。そこをしっかり組み立てた上で、最後のジャンプをクリエイターに委ねることがあるべきスタンスだと考えます。

クリエイティブ左脳力とは、クリエイティブを感覚ではなく言語化して議論する能力。抽象ワードではなく、具体的な(チーム、部署内での)共通言語で4W1Hを語り、成果を定義する能力。

この話を講義やらワークショップやらですると、「そんなこと言われなくてもわかっている」「何を当たり前のことを言うんだ」といったリアクションをもらいます。だけど、実際やってみるとできない人が沢山。クリエイティブ左脳力は、「言うは易し」であり、「訓練が必要な能力」だと僕は考えます。

クリエイティブ左脳力ができること
①クリエイティブの成果を(ある程度)計算する
②クリエイティブを議論できる
③「論理と議論」と「クリエイターに任せる部分」の境界線を明確にする

4. 1億総クライアント時代に求められるスキルとは


僕らは今、クリエイティブを使う機会に溢れています。クリエイティブを使ったり、クリエイターと仕事をする人はごく一部の人間ではない。何もTVCMとかそういった大それたことだけでなく、HPを作ったり、SNSで発信したり、ほとんどの人間がクリエイティブと向き合っていると思います。つまり、1億総クライアント時代と言える。(1億総クリエイターっていうんだから当たり前でもある)

ただ、クリエティブは魔法ではない。使い方を知っている人だけが本当の意味でそのパワーを享受できると僕は考えます。つまり、クライアント力が高ければ、受けるメリットも大きくなる。クリエイティブ左脳力を持ちながら、クリエイティブ右脳と協働して、最高のクリエイティブジャンプを生み出し、成果を最大化できるからだ。もう少し細かく整理すると下記のような感じになる。

クライアント力とは、
クリエイティブ左脳力を使って、クリエイター(右脳)と協働し
①定義した成果を計算し、狙う力。
②クリエイティブと成果を検証し、フィードバックを言語化し、次につなげる力。③それらのワークフローを効率的に設計する力。
最大限の成果をもたらすクリエイティブジャンプを生み出す力

5. 最後に〜なぜクリエイティブ左脳論を研究するのか


僕は、↑のクライアント力は間も無く特殊スキルでもなんでもなくなればいいなと思っています。クリエイティブを扱う力は、今では誰もがパソコンを扱うように(昔はごく一部の人だけが扱っていた)、今後必須リテラシーになりうるとも考えています。

つまり、誰しもがクリエイティブ左脳力とクライアント力を身につけ、クリエイターと協働し、沢山のクリエイティブジャンプが生まれる世の中が間も無くやってきます。

そんな素敵な世界の実現に少しでも役立てればと思い、クリエイティブ左脳論と勝手に名付け、日々学び、そしてシェアしていきたいと考えています。

例えばですが、前述した「アートとクリエイティブの違い」、他には「クリエイティブのTPO」「映画館で映画を見る理由」「クリエイティブの役割」「イキフン映像について」とかから書き始めてみようかなと思っています。(目標週1...)

このテーマに関して、一緒に議論していただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。ご意見、ご指摘なども大募集です。よろしくお願いいたします!



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