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★★2023年版★★ ウイスキーをスコットランドから日本に持ち帰ろうとしている人が知っておくべきこと

(本文は無料で読めます、有料部分は投げ銭用です)

★★2023年版はじめに★★

今年もスコットランド行って、蒸溜所でボトル買って100本近く日本に送りました。昨年の経験を踏まえても、やはり今年もそこそこ苦労し、ドキドキしました。

↓去年の超ヒヤヒヤ経験はこちら

今年のアイラフェスに行った私の知り合いのバーテンダーたちも、DHLでボトル3箱送ったそうですが、日本に届かずに送り主住所として書いたホテルに返送されてしまい、今現在も回収のメドが立っていないと聞きました。

先日某バーでお隣になった方が今度スコットランドに行って蒸溜所巡りをされるとおっしゃっていて、ボトルの送り方について質問を受けたので、今年どうやってボトルを日本に送ったのか、最新の状況のアップデートも含め改めてまとめます。

スペイサイドから送る場合

クライゲラヒーにある有名なバーの方にも聞いてみましたが、エルギンのWHSmithから送るのがベストです。

WHSmithはコンビニのような文房具屋さんのようなお店。エルギンのWHSmithは、Gordon and Macphail(GM)本店の隣にあるので、観光がてら行ってみてください。


教会の裏の電話ボックスの奥の青い看板がWHSmith

レジで「DHL Expressで日本に荷物送りたいんだけど、ボックスもらえますか? I would like to ship packages to Japan by DHL Express, can I have yellow boxes?」などとお願いすると例のDHLの黄色いボックスもらえます。

Box5で9本程度、Box6で12-15本程度ボトル入ります。

その場でボトルをパッキングして送るのは非常に難しいので(理由は後述)、明日送りに来るから箱ちょうだい、って言って、一度宿に帰ってパッキングするのがおすすめです。

ちなみにですが、DHLの黄色い箱のインクが服についたり、Apple Watchの白いベルトが黄色く汚れたりしますので、綺麗な服着て作業するのはお勧めできません。

パッキング

日本からは、下のようなエアクッションとポンプ(←ポンプ忘れるとエアクッション全く意味ないので要注意!)、箱を補強するためのビニールテープ持って行ってください。ビニールテープもWHSmithで買えますが、3Mのちゃんとしたテープだと6ポンドとかしますので、日本の100均で買って行った方がいいかもしれません。

エアクッション買うの忘れたら、Amazon UK使ってホテルに送ってもらうという手もありますので念のため。

エアクッションにボトルを入れる時、特に太いダンピーボトルは、エアクッションにボトルを入れてから膨らませる方がお勧めです。

またパンパンに膨らませると、穴を開けて空気を抜いてから出ないと出せなかったり、ラベルが破れたり、ポンプを壊してしまったりします。

ボトルが割れるリスクがどうしても心配でパンパンに膨らませたい、という時は、一度ボトルをビニール袋で包んでからエアクッションに入れて膨らませてください。そうすればスルッと抜き取ることができます。またポンプ壊れてしまったらエアクッションは無用の長物になってしまいますので、ポンプは丁寧に取り扱いましょう。

ボトルを包むだけではなく、ボックスの底に敷き詰めてクッションにすることもできます。

普通のトール瓶の場合、Box5だとエアクッションに入れて立てると箱の蓋と干渉する可能性が高いので、高さのあるBox6がいいかもしれません。スコシアやオクトモアのように縦に長いボトルはBox5では無理で、スコシアのボトルはエアクッションの蓋をせずにBox6に入れました。

GMのコニサーズチョイスの箱付きや、グレンファークラスの木箱入りなど頑丈なものは、ボックスの底にエアクッション敷いてそのまま入れてしまってもおそらく大丈夫です。あと紙のチューブに入ったものは、立てて隙間にエアクッション入れて送ればおそらく大丈夫なはずです(あくまでも自己責任でお願いします)。

DHLの黄色い箱の底が抜けないように、テープで補強するのを忘れないでください。またWHSmithから送る際は、箱の中身のチェックはテキトーなので最初からテープで封をしてしまってもいいかもしれませんが、本当は中身とインヴォイスが整合しているかチェックしてからでないと荷物を引き受けてくれないことになっていますので、封をしないで箱を開けたままにしておく方が無難です。

DHLのウェブサイトからインヴォイス作って事前にAWBをもらっておく

インヴォイス?AWB?なんじゃそれ?と思うかもしれません。

インヴォイスは、税関申告用の書類で、荷物の中身がなんなのか、価値はいくらのものなのか、本数は何本か、容量とアルコール度数はどれぐらいなのかなどを記入します。

インヴォイスがしっかり記入されていないと、イギリスからの輸出通関、日本への輸入通関のどちらもトラブルになります。

DHL Express UKのHPに、送り主(自分、ホテルなどのイギリスの住所がないと送れない)と送り先をまず記入します。

私は自分が泊まっていたアベラワーのコテージの住所を使わせてもらいました(便利でいいところでした、Booking.comで予約できます)。

そして重要なのが次のページ。

内容物の種類をNon-document(書類以外)に指定。

Item Description(内容物詳細)には

「Whisky Glenfarclas 2002 Single Cask #3774 700ml ABV 54.3% PERSONAL USE」

などと書きます。

酒の種類とアルコール度数で日本での酒税の税率が変わり、それが容量に対してかかるので、Whiskyと明記し、アルコール度数(ABV)と容量(700mlなど)を必ず記入。

PERSONAL USEと書いておかないと、商業輸出入と思われてとても面倒なことになります。具体的には、イギリスから商業輸出する際にはEORIと言われる事業者登録識別番号が要求され、それがないと輸出通関できません。

おそらく私の知り合いのバーテンダーたちは、商業輸出だと思われて荷物がイギリスの住所に返送されてしまったのだと思います。

また日本での輸入通関時でも、個人輸入だと購入価格x0.6に対して内国消費税がかかるのに対し、商業輸入とみなされると(購入価格+送料)x1.0になってしまう上、食品検疫の手続きを要求されます。

他のアイテムがあれば「Add another item」をクリックして追加、全部書き終われば「Continue」を押すと、AWBとそのバーコードが出力されます。

このバーコードもしくはAWB(10桁の数字、Air Waybillつまり航空貨物運送状番号)を持って、WHSmithに行くと、送り状をプリントアウトしてくれてパッケージに貼ってくれ、送料を払えば一件落着です。

今回WHSmithから送ったボトルは、全てなんのトラブルもなくスムースに日本に届きました。

ですが残念なことに、ボトルをスコットランドから送ると必ずなんらかのトラブルが発生する、と思っておいてください。

そのため、必ず先ほどウェブサイトに記入した内容、複数のBoxを送るのであればそれぞれのAWBとその内容物を控えておいてください。

DHL Expressグラスゴーはやはり鬼門だった

今回はスペイサイドの蒸溜所を回った後、エルギンのWHSmithで無事ボトルを送り、その後アイラとキャンベルタウンに行きました。

アイラとキャンベルタウンでもボトルを買い、これをどこから送るかで悩んだのですが、グラスゴーのWHSmithは街中にあるため、クルマを店の前に駐めておくと駐禁切られたりするリスクがあります。

そのため、昨年痛い思いをしたDHLグラスゴーに意を決して突撃しました。


今回は自分のラップトップから情報を全部入力したので、エルギンのWHSmithでそうだったように、AWB番号を見せて箱にラベル貼ってもらい、お金払うだけでいいのでは?と淡い期待を抱いていたのですが、その期待はあっけなく秒で打ち砕かれました。

運の悪いことに、スコットランド人のおばちゃんが、自分が配送手続きに全然慣れていないために私のことを怒鳴りまくります。

こちらは「全部詳細は入力済みで、AWBも持っているから、ラベル貼ってくれればいいだけなので」と説明しているのに、自分が自社ネットワークから情報引っ張り出すやり方知らずに何もできないので逆ギレして私に当たりまくります。

しばらく耐えていたのですが、あまりのうるささに他の人が出てきてくれてパソコン操作を手伝ってくれて、ようやくおばちゃんのヒステリーは落ち着きました。

ですが、

「お前のイギリスでの住所と送り先の住所、何も見ずに言え(たまたまイギリスでの住所は何度もウェブで入力していたので覚えていた)」

「イギリスでの住所が確認できるID見せろ(そんなのないのでパスポート見せて勘弁してもらった)」

などとガンガン詰められます。

確かに、DHLグラスゴーの窓口の後ろには「イギリスの住所が書かれたIDを荷物を送るとき提示してください」と掲示されていました。

また去年よりルールが厳格になっていて、ウェブ上で登録された内容物の情報と、すべての箱の中身とが一致しているか、ボトル1本1本チェックされました。箱に入っているボトルは全部中まで開けさせられ、箱の下に何か入っていないかまで調べられました。

Boxにボトルを戻す時にきちんと順序立てて入れないと元通りにならないので手伝おうとしたら、「最後に内容物に触るのはDHLの人間だと決まってる」と強く言われ、口頭でこうしろ、ああしろと指示しなくてはいけないというめんどくささ。

「DHSmithではそんな厳しいこと言われなかったのに、やっぱりDHLグラスゴーは鬼門だわ」と心の中でつぶやきながら作業しました。

なんとか3箱送ったのですが、残りまだ3箱送らなければならず、クルマに戻ってBoxの底を補強するテープ貼るためにカウンターにあるハサミをおばちゃんに借りようとしたら「貸してあげない」と意地悪言われ、「もう3箱送るために必要なんだ」と言っても「だったらここでやれ」という始末。全く話になりません。

このおばちゃんとまたやるのは嫌だな、と思っていたら、ヴェロニカ、という若い女性がおばちゃんの代わりに面倒見てくれました。

「あなたがクルマに戻って、リアゲート開けて雨の中濡れながらMacBookで情報入力しているの見てたわよ、言ってくれれば私やったのに。それ私の仕事だから」

おばちゃんとのあまりの落差よ。

「ありがとう、エクセルのスプレッドシートで情報管理しててそこからコピペで入力できるから、自分でやった方が早いと思って」。

彼女にそう伝えたのですが、彼女の優しさが心に沁みました。旅の後半1週間ほどは一人旅だったので、ふとした人の優しさが本当にありがたく感じられました。

なんとかグラスゴーDHLから荷物を送り出すことには成功したのですが、もう2度とここからは送らない、と心に誓いました。ですが次回どこから送るかは未定です。

無事送れたと思っていたら、翌日DHLから「商業輸出の通関のためにEORI番号送れ、さもなくば輸出通関できないぞ」というメールが来たので、「業として輸出を行っているわけではない」旨を書いて返信しました。


その言い分で輸出してもらえるかずっとドキドキしながら1日が過ぎ、DHLのウェブサイトにAWB入れて荷物の追跡をしたら、無事にイギリスミッドランドからドイツに航空輸送されたことが確認できたときには本当にホッとしました。

まとめ

昨年の記事にも書きましたが、機内手荷物・預け入れに関係なく、飛行機に持ち込めるウイスキーは5リットルまでと国際ルールで決まっています。

過去日本のバーテンダーで大量に飛行機にボトル積もうとして、結局ボトルだけ降ろされた実話を聞いている身としては、スーツケース1つあたり7本ずつであれば大丈夫、という賭けに出る気にはあまりなれません。

(BAが非常に厳しくて、ドイツ系や中東系の航空会社であれば大丈夫、という証言もあります)

ですのでどうしてもボトルを国際発送しなければならないと思っています。

DHLの使い勝手があまり良くないことが今回改めて身に染みましたので、次回スコットランドからボトルを送る時は、FedExでピックアップに来てもらうなど、新たな方法を考えてみたいと思います。



ここから先は、投げ銭代わりに書いています。ご興味あればぜひどうぞ。

イギリスから日本に送れないときのトラブルシューティングの方法

なんらかの理由で、イギリスから日本に送れず、イギリス国内に荷物が残ったまま自分だけ日本に帰ってくることになったらどうしたらいいのでしょうか。

諦める前にやるべきことがいくつかあります。


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