見出し画像

駒場東大前の定食屋、菱田屋が好きでたまらない

ガツンとした味付けの豚の生姜焼きをご飯の上にのせてハフハフ食べたくなることってありますよね。厚みのある豚肉を噛み切ったときに沁み出してくる肉の旨みとニンニク生姜醤油ダレが白いご飯をかみしめた時の甘みと渾然一体となって奏でるパーフェクトなハーモニー。あーホカホカでつやつやのご飯と一緒に食べたくなってきた。そんなムラムラした欲求を抑えきれなくなったら、渋谷から井の頭線でわずか2駅3分、駒場東大前駅へ向かいましょう。

吉祥寺に向かう各駅停車の最後部に乗り、駒場東大前駅の東口を東大正門でない方向に出てしばらく歩き、階段を下りて商店街を少し渋谷方面に戻れば日本で最も美味い定食屋があなたを待ち受けています(個人の感想です)。渋谷から10分もあれば着きます。

テーブルにはメニューがなく、みんな壁に掛けられた黒板を見て注文。生姜焼き定食は書かれていないが、頼めばちゃんと出てきてあなたのムラムラを慰めてくれるので心配することはない。

画像1

人気店で人が並んでいるときも多く、基本作り置きをせず注文を受けてから調理しているので混んでいるときは料理が出てくるのにやや時間がかかるときもあるが、昼はサクッと食べてすぐに出てくるお客さんばかりで意外と回転が速いのでご心配なく。行列ができていても、待っている間に外から見えるメニューで今日は何を食べよう、と悩んでいれば幸せに時間が過ぎていく。

昼は11時半からで、開店直後はむしろ混んでいるので12時ちょっと前ぐらいに開店直後の客が食べ終わったころのタイミングで行くのがいいのではないかと思う。

画像2

こちらが日本一美味い(個人の感想です)生姜焼き定食。肉が分厚いところに注目。がっつりとした食べ応えのある豚肉をニンニクショウガ醤油と玉ねぎの甘みが盛り立てる。タレが付け合わせのマヨスパやレタスに侵食していて、それをつまみにまずビール飲むというのも最高。米騒動勃発必至案件。ここはお米も味噌汁もお漬物も手を抜いていない。お米はつやつやで少し硬め、おかずによく合う。最近食べたみそ汁の具は干した白菜で、甘みが凝縮してパリッとした堪えられえない歯ごたえ。糠漬けはたぶん自家製。どれも今すぐ全国的に大至急旨い。

夜はお酒出すので回転落ちます、念のため。夜の生姜焼きはこんな感じ。添え物のスパゲティなどがなく、完全つまみ仕様。

画像3

ビールはハートランド置いてあるし、焼酎もハイボールも日本酒もある。夜に定食頼まずに単品料理複数頼んで酒飲むと大人になった優越感(?)が味わえる。

夜9時過ぎに明るい店の中で大人が大勢楽しそうにお茶碗持ってご飯食べているのを見ると、幸せな光景だな、と思う。

その他のメニューもご紹介。こちらはあなごのフライ。写真撮ろうと思ってもiPhoneの画面に入りきれないぐらいでかくて分厚い。手作りのタルタルソースだけでもビールジョッキ2杯ぐらい飲める。

画像4

こちらカキフライ。神田のやまいちで特ロースにカキフライを2個つけてもらうのが人生の中で最も贅沢なことの一つだと思っていたけれど、菱田屋のカキフライをたっぷりタルタルソースで食べるのも相当な贅沢だ。

画像5

そしてこのアジフライの大きさをみよ。ぱっと見分かりにくいが20センチを超える大羽のアジを外はサクサク、中はふわふわに揚げてある。このタルタルソースの盛りの気っぷの良さ。これをご飯と一緒に食べると、脂質と塩分と炭水化物の刺激が脳内に満たされてくらくらする。

画像6

写真はないけれど刺身の新鮮さも特筆すべきポイント。マグロもブリも分厚く切りつけられて、軽く醤油つけるだけで紫の液体の表面に脂が広がる。

煮魚もいいぞ。煮あなご定食。あなごの骨と頭で取ったと思しきタレと柔らかいけど煮崩れていない実のしっかりしたあなごに本わさびつけてご飯に乗っけて食べると米が無限に食べられそう。あなごが大きすぎてご飯が不足するのが玉に瑕。ちゃんとご飯を温存していないとイナダシュンスケさんに怒られてしまいそう。

画像7

またたまに出てくるレアキャラ、ハンバーグ系もおすすめ。ひき肉の粗さの残った肉々しいパティに箸を入れると肉汁が飛び出してきて熱せられた好きレットに落ちて新品のエルメスのネクタイに染みができまくったことがあったが後悔はなかった。クミンが効いたラムハンバーグ、牛肉のハンバーグ。肉汁ブシューってやりたい方は前もってお茶碗のお米をハンバーグの手前側の鉄板に敷き詰めて自分の方に肉汁が飛び散るのを防ぐのがおすすめ。

画像8

画像9

冬には肉豆腐もいいぞ。

画像10


初来店時に覚えておくべき重要なことは「いきなり扉を開けて勝手に店に入らない」こと。そしてもう一つ重要なことは、サービスを取り仕切っている小柄な姐さん(姉さんというよりもこっちの漢字がしっくりくる)の指図は絶対、ということ。ガラスの扉で中から外は見えているので、姐さんが声を掛けてくれるまで外で待つ。そしてどの席に座るのか指示されるので、それに従う。この店では姐さんのいうことは絶対なのだ。

店の人に聞いたわけではないが、混んでいるときによく行く客の一人としてなぜ姐さんのいうことが絶対なのか解説しておく。

黒板のメニューを改めて見てほしい。刺身、煮物、揚げ物、焼き物の定食だけで14メニュー、そして生姜焼きとサイドメニュー。ちなみに定食のメニューはほぼ毎日全部入れ替わる。普通のお店のランチは多くてもAランチからCランチと日替わり定食、の4種類ぐらいだろう。毎日新しいメニューを作り、たくさんの選ぶ喜びを提供しつつ作り置きせず、できるだけ待たせず手際よく提供するのは神業に近い。そして席数はあまり多くなく、学生街なのでランチの時間が限られている客も多いため、店の儲けのためではなくお客さんのために回転早くすることも重要なサービスだ。

手作り・多品目・高回転の3つのすべてを満たすことは難しい。それを可能にしているのが姐さんの仕切り。だから彼女が絶対なのだ。

どれ頼まれるか事前に分からないのに自分で毎日昼に14種類のメニュー作る準備して、いきなり頼まれた料理を上手に10分ぐらいで作り上げ、待たさず提供することがどんなに大変か想像してみてほしい。そしてメニューはほぼ毎日変わっていて、新しい料理が毎日出てくる。それを毎日毎日こなしていることには感謝しかない。

だから私はお勘定の時に姐さんにごちそうさまを言ってから必ずオープンキッチンの中に向かって「美味しかったです!」とマスク越しに大声でいいます。料理してくれている人に客として感謝の気持ちを伝えたいので。

行列のできる定食屋 「菱田屋の男メシ! 」 (オレンジページブックス)

画像11


菱田屋への行き方はこちらのGoogle Mapsのリンクをクリック。(NoteもGoogle Maps貼れるようにいい加減すればいいのに。)

日曜日はお休みです!ぜひイナダシュンスケさんに行ってみてもらいたい。


今回も最後までご覧いただきましてありがとうございました。
以下に最近私が飲んで感銘を受けたウイスキーの簡単なコメント書いておきます。幻のボトルになるので見つけたら絶対買った方がいいボトル、黄色いフルーツが感じられる90年代ボウモア、ディーンストンの中では最も美味いのでは、と某バーで話題になったボトルなど。

投げ銭してもいいよという方はよろしくお願いいたします!


ここから先は

674字 / 4画像

¥ 100

お読みいただきありがとうございました。あなたのシェアが、ほかの誰かの役に立つかもしれません。 「参考になった」「共感できた」という方はSNSなどでシェアをお願いします。 また太っ腹なサポートも、自分が書いたことがどなたかの役に立ったことがわかり、とても励みになります。