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【中学受験ネタ】SAPIXマンスリー組分けテスト算数予想問題

鉄人会というプロ家庭教師のサイトがあって、SAPIXの組み分けテストの予想問題がアップされていた。
SAPIXの中学受験コースは九州にはない。かの有名なSAPIXでどんな問題が出るのかはずっと興味があった。
鉄人会さんに対して、ありがたいような、申し訳ないような気持ちで、SAPIXの算数予想問題をダウンロードした。

早速息子にやらせたら、いつもより苦戦していた。
ウンウン唸っている息子に、
「正月サボったツケじゃないの?」
と言うと、
「問題が難しいんだよ、マジで」
と言われた。
結果、115点(150点満点)。

うーん、微妙。
メチャメチャ悪いわけじゃないけど、よくもない。
日能研の公開模試でこの点数なら、あまりよくないと言えるけど、SAPIXなら、難易度的に見て、こんなものかもしれないし。
ただ、間違った問題の解説を見て、「しまった」と悔しがっていたので、「もっと取れたはずだよね」とあまり説得力のないアドバイスにとどまった。

このままでは明日の公開模試に向けて、まったく緊張感がないので、翌日塾のテストから帰った後、愛光中学の過去問題をやらせた。
(100点満点。配点はわからないので正解率で)

算数 55点。
よしよし、悪いね~(ざまあ)。
国語 75点。
えっ? 苦手じゃなかったっけ、国語?
社会 81点。
ま、まあ、得意科目だからね。
理科 86点。
えー、なんでそんなにいいの? 公開模試のとき、がっつり足引っ張ってたじゃん。

ボロカスな点数を取って、反省してくれることを祈ったが、見事に失敗。
しかも算数だけが悪いという、後につながらない結果。
こんなところで運を使うなよ、みたいな残念感。
このままでは自尊心だけが肥大して、模試でドボンになることは必至。
マズイ、マズイですよー。

予想以上によかったので、息子が吹き上がる。
「ボク、難しい中学の過去問で、ゴミみたいな点数取りたいんだよね」
前回の公開模試で、過去問で悲惨な点を取ったあと、本番ではよかったので、やつなりに味をしめたらしい。

こうなったら、最強難易度との呼び声が高い灘中の問題をやらせて、おのれの無力さを教えてやる。
「じゃあ、灘中過去問で地獄に落ちてもらおうか」
……あれ? 灘の過去問がない。
ああ、そうか、受けるつもりないんで、過去問買ってないんだ。
最大の寒波で、外はあたり一面雪景色。外出できない。書店に行けない。
完全に詰みの状態。

「なにやってんだよ、せっかくゴミみたいな点数取るチャンスだったのに」

なんで君が上から目線で、偉そうに言ってんだよ。しかも自分で「ゴミみたいな点数」とか言うな。
仕方ない。6年になってからだと思っていたが、かくなる上は開成の過去問題をやらせよう。
さすがにボコボコにやられるはず。

算数が終わり、息子が報告にきた。
「85点満点中、64点だった」
え? なんで? 150点満点中、113点になるじゃん。
なんでサピの5年生問題ごときで115点で、開成過去問で同じような点数なの? 10年前の開成問題は簡単だったの?
「社会、70点満点中、60点だった」
「理科、70点満点中、60点だった」
「国語、85点満点中、67点だった」
なんか今年のツキをすべて使ってしまったような点数。

いかん、息子が嬉しさのあまり踊りだした。
完全にヤバいコース一直線。
息子よ。先日久留米附設の過去問で150点満点中、55点しか取れなかったことを思い出すんだ。
「なんだよ。開成365+(開成中対策問題集)のほうがよっぽど難しいじゃん」とか言ってる。
だから、たまたまなんだって。たまたま君の得意な問題が出ただけだって。このあいだは久留米附設で55点だっただろ。55点。

やがて狂乱騒ぎから、やっと冷静になってくれた息子がぽつりと呟いた。
「終わったな……」
それから、
「なんでこういうときにだけ、いい点数取れるんだろうね、ムカつく」
そのことにやっと気づいてくれたか。
「ゴミみたいな点数取るのは、諦めよう。いつものように勉強しよう」
しまった。私まで「ゴミ」って言ってしまった。
「そうだね」
息子が肩を落としてそう言った。

我々を見ていた妻が見かねて一言。
「ねえ、いっそのこと、緊張感を持たせるために、明日まで一切勉強しないってのはどう?」
「そんなこと、できるか!」
私と息子が同時にツッコんだ。

結局、明日の公開模試は不安しか残らなかった。

小説が面白いと思ったら、スキしてもらえれば嬉しいです。 講談社から「虫とりのうた」、「赤い蟷螂」、「幼虫旅館」が出版されているので、もしよろしければ! (怖い話です)