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ワインテイスティングに学ぶ上手な負け方のススメ

ある時勤め先で、100名超規模の大きな国際会議の運営に携わったことがあります。
 
数日間に渡る会議初日の晩のこと、オフィシャルディナーの途中で世界各地の関係会社からの代表を募ってワインテイスティング(利きワイン)をやるというイベントがあったのですね。
 
ルールは各地からの参加者が目隠しをして、フランスの同じワイナリーの高級ワインと一般ワインのうちどちらが高級ワインかを当てるというものです。テイスティングはスムーズに進んでいったのですが、なんと一般ワインを選んだのは参加者10名中ただ1人、フランスではないですが同じくワインが有名なとある国の代表の方でした。

答えを知っている事務局連中は「あらら、あの人ちょっとかわいそうかなぁ」なんて感じで見ていたのです。

なぜそちらのワインを選んだのか

イベントは盛況に終わり、最後にその方がステージ上でインタビューを受け、なぜそちらのワインを選んだのかとの質問を受けていました。

答えて曰く、

「フランスのワインが非常に美味しいのは間違いないが、このワインはどう考えても少々美味し過ぎる。このためこれはフランスものではなく自国産だと信じて疑わなかったのだ」

と。
 
こちら、聞く人によっては負け惜しみと捉える方もいるかもしれませんが、傍で聞いていた私は地味に感動・感心してしまったのですよ。

相手を攻撃せず、自分も負けず?

フランスワインを「非常に美味しい」と素直に評価し、かつ、さらにそれを通り越して自国のワインへの惜しみない愛を表明する・・・まあ、勝ちに等しい負けといったら言い過ぎかもしれませんが、何と言いましょうか、流石会社のトップになるような人物の機転はすごいな、としみじみと感じ入った次第です。
 
ビジネスでも私生活でも誰しもが苦しい場面に出くわすこともあるでしょうし、時には敢えてこのような役回りが求められることもあるかもしれません。

仮に何かしらの苦境に立たされた場合でも、あるいは苦しい時だからこそ、ユーモアや機転を利かせた言動を心がけたいものだ、とつくづく考えさせられた一場面でした。
 
皆さんにもこういう経験があったら是非ともお聞かせ下さいね。ここまでお読み下さり有難うございました。


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