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多彩でお値打ちなキットが非常に"A"!《後編》

《前編》ではハセガワさんの1/72・Aシリーズにラインナップされている帝国陸海軍の機体を紹介しましたので、《後編》では残りの5機、大戦時から近現代までの米軍機を紹介していきます。ヘリコプターやジェット機など、プロペラ機以外の新しい世界に触れるきっかけとなったのも、このAシリーズでしたね。


◉A-8「サンダーボルト」

ハセガワ1/72 Aシリーズ No.8「リパブリックP-47D「サンダーボルト」」
(第57戦闘航空郡・第65戦闘飛行隊[イタリア]/1944年(昭和19年))

A-10「コルセア」の次に作った米軍機です。アメリカの飛行機を作ってて楽しいと思うのはやはり個性豊かなマーキングの数々。部隊やパイロットのキャラクターが想像できるファンキー&ブレイブな絵柄は、あの戦争への関わり方の違いやメンタルの違いをも考えさせられたりします。日本じゃこんなウッドペッカーみたいなイラストなんか絶対描けなかったでしょう。まあ、特にこのサンダーボルドはド派手なカラーリングとマーキング例がWeb上にたくさんあって、ちょっとビックリします。

ちょっとググっただけでもこんなに多彩。とても軍用機に見えない!

機体そのものはやはりマッチョで、日本の「鐘馗」のデカイ版といった印象を受けました。機体を供与したイギリス兵からは「乗りたくない」と言われたばかりか、本国アメリカ兵からも「空飛ぶバスタブ」なんて言われてたりしていたようです(笑)。とはいえ、P-47の「D」型は「サンダーボルト」の決定版とも呼ばれる優秀な機体で、このDシリーズだけで1万機以上が生産されている事実がそれを証明しているといえそうです。


◉A-9「ウォーホーク」

ハセガワ1/72 Aシリーズ No.9「カーチスP-40N「ウォーホーク」」
(第49戦闘航空郡・第7戦闘飛行隊 J.B.パリス中尉機[ニューギニア]/1944年(昭和19年))

アメリカ軍の主力戦闘機としてWWⅡのあらゆる戦場で活躍したという「ウォーホーク」。名前からして勇ましくてアメリカンパイロットたちが好きそう。このN型はP-40の最終量産機で、軽量化などを施し、より機動性を高めたタイプで最終生産数は約5,000機にものぼったそうです。よく日本との戦闘相手にも名前があがってくる機体でもあって、『トラ・トラ・トラ!』や『パール・ハーバー』などの映画にも登場していますね。キットの仕上がりも上々で、とても作りやすかったと記憶しています。キャノピーまわりなんて気持ちのいいくらいのピッタリ具合でした。白い尾翼が印象的なカラーリングのパリス機ですが、白という色がWWⅡ機ではなかなかレアなので塗り甲斐もありました。アメリカ機としてはスリムなシルエットの機体ですね。


◉A-10「コルセア」

ハセガワ1/72 Aシリーズ No.10「F4U-1D「コルセア」」
(アメリカ海兵隊第312海兵戦闘中隊"チェッカーボード")

僕が飛行機プラモを作り始めて、最初に手掛けた米軍機がこの「コルセア」だったようです。特徴的な逆ガルウィングが大好きで、昔から存在を知っていた機体だったので、他国機を作るなら「コルセア」から作りたいと思っていましたし、実際に作る時もテンション高めでした。実際に作ってみると日本の機体とはサイズ感にそこまで差は感じないですが、圧倒的に重厚感というか肉厚な感じがしました。マッチョという言葉がふさわしいかも。塗装は、独特のネイビーブルー一色ではありますが、潮風にあてられて白っぽく汚れた様とかをウェザリングで再現するのが面白いと思いました。米軍機については塗装も含めて、わりと上手く出来た実感があります。「コルセア」もまた作ってみたい機体のひとつ。

1990年(平成2年)にF1に登場したティレル019は、ハイノーズにすることで
フロントウィングが「アンヘドラル(下反角)ウィング」となりました。
当時は「コルセアウィング」という呼ばれ方もしていました。中島悟さんのマシンです

◉A-11「イロコイ」

ハセガワ1/72 Aシリーズ No.11「ベルUH-1H「イロコイ」」
(陸上自衛隊 霞ヶ浦航空学校)

僕にとって初めてのヘリコプターキットであり、いまのところその後に続くキットもまだないのですが、この入門編的なAシリーズの中にヘリコプターがラインアップされていることは非常にいいことだなーと思っています。実際に作ってみると飛行機とはまったく違う工程だし(そりゃそうだ)、ヘリコプターという特殊な空飛ぶマシンの面白さを知ることができます。
今回はパッケージに描かれている自衛隊の迷彩機を目指して製作したのですが、箱絵に描かれているフロント部分のアンテナはキットの中に用意されていないんですよね。そこで自作することに。 

このアンテナを再現したかったのです
プラ棒と真鍮線でそれっぽく造作してみました

この加工作業がなかなかに楽しかった。ちょい改造の面白さも味わわせてくれる、それもまた安価キットの魅力ですね。下の<nippper>さんのキットレビューでも指摘されていますが、古いキットならではの少々大袈裟なモールドのワクワクする感じがたまらないです。


◉A-12「ドラゴンフライ」

ハセガワ1/72 Aシリーズ No.12「セスナA-37 A/B「ドラゴンフライ」」
(OA-37B アメリカ空軍・第51戦術戦闘航空団・第19戦術航空支援飛行隊)

Aシリーズのしんがりキットですが、順番的には早い段階で製作していました。プロペラのない初めての飛行機モデルだったと思います。キット自体は1970年(昭和45年)に作られたということもあって、パーツの合いも悪かったりで苦戦しました。隙間が空いたりする部分もあちこちあるのですが、とにかく組み立てること優先になった気がします。名前通りの地べたを這いつくばるようなスタイリングと、翼の下にこれでもかとぶら下げる装備の多さが印象的。「戦術航空支援飛行隊」というのは、実戦機ではなく訓練や演習のサポートを行うための部隊だと思いますが、FS36118グレー一色の味気ない塗装が"道具"感を否でも応でも高めてくれますね。デカール貼りも大変だった。現用機はプロペラが無い分、そういうところが大変だと知りました。あれもこれも注意書きを表示したがるのは現代人の悪いクセですね(笑)


以上、ハセガワさんの定番ライン、1/72・Aシリーズの全ラインナップでした。結局半年以上はかかってしまったコンプリートではありましたが、このAシリーズと向き合ったおかげで、飛行機プラモの奥深さの一端を垣間見ることができたかなと思っています。ハセガワさんはAシリーズ以外に、Eシリーズまでの定番ラインを1/72で展開されています。ガチのモデラーさんたちの多くは、1/48とか1/32とかのスケールを舞台に選ばれたりしますが、僕のような緩いモデラーは、借家に飾るスペースもありませんので、これからもきっと1/72の世界でほどほどに楽しんでいきたいと思います。

最後にキットを使って撮ったエモい写真で締めたいと思います♪

夕映えの中のウォーホーク。迫力のエアインテークと美しいキャノピーを見せたくて


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