見出し画像

#05 ベガの犠牲になる人びと

今回のふたつのエピソードには、それぞれ心を惹きつけるゲストキャラクターが登場します。母星の平和を引き換えに命を差し出すことを強いられた女性兵士、父母を失くした寂しさにつけ入られてしまった純粋な少年。人の心を持たぬベガ星連合の恐ろしさを、観る者に印象付けるお話二篇。
<▼前回の記事はこちら>


第9話「許されざる怒りを越えて」

脚本/藤川桂介

◉いきなりの特攻命令
ベガ星の親衛隊からスカルムーン師団に送り込まれてきたコマンダー・ミネオ。どこか不安げな表情の彼女にガンダルはおもむろに任務を告げます。

グレンダイザーへ取り付き、そのまま自爆してグレンダイザーごとデューク・フリードを倒せ!

ガンダル司令

着任早々、いきなりの特攻命令です。「ええっ・・・!」と驚くミネオ。そりゃ驚きますって。すかさず、ガンダルの顔がパッカーン!と割れていつものようにあの女が登場。

怖気づいたのか、コマンダー・ミネオ? もし、この作戦に成功した時はお前の故郷・ルビー星の安全は永遠に保障されるのだぞ。そのことを胸に刻んでゆけ。

レディガンダル

「ベガ星連合軍」というくらいなので、ベガ星人だけでなく多種族で構成されている軍隊だとは思っていましたが、ミネオのようにベガ星支配下の母星の平和と引き換えに、やむなく軍属となっている異星人たちがいるということが判明します。言い換えればベガ星連合軍といっても、揺るぎ無き一枚岩ではないということですね。

ミネオは初戦で任務に失敗し、負傷したところをデュークに救い出されます。デュークにしても、コマンドを捕虜にしてベガ星連合軍の内情を知ろうとしていた矢先だったので、狙い通りの展開でした。白樺牧場に匿われたミネオは、なんだかんだと世話を焼く牧場の人たちとの触れ合いの中で、デュークを倒す使命が果たせなくなってしまいます。「あなたを殺すことなんて出来ないわ」と、ガンダルに与えらえた剣を取り落とすミネオ。森の中で抱き合うシーンとかあって、このままデュークとミネオは恋仲になってしまうのでは?といった展開。ミネオの事情を察したデュークは「君さえ良かったら、ずっとここに居ていいんだよ」とまで言ってくれるのでした。

ひかるのワンピースを借りて身に着けたミネオを
牧場の面々は優しい笑顔で迎え入れます。これぞダイバーシティ!

▶円盤獣ジルジル

円盤獣ジルジル

元の円盤形態から、ゲットマシンのような物理法則無視の変形をして人型になるジルジル。人型だけだと円盤形態のイメージがまったく湧かないので、特別に円盤形態も描いてみました。まあ、他の円盤獣もたいがい物理法則無視してますけど・・・。いかにも永井デザインなシルエットがいいですね。アフロダイAからの女性型ロボの潮流を感じます。
ミッションがグレンダイザーにしがみついての自爆攻撃だったので、それ以外の見せ場はほぼ無いのが残念。

◉故郷を捨てられなかったミネオ
ミネオは一度はデュークの温かい言葉を受けて、白樺牧場での人生を夢見ますが、やはり故郷・ルビー星を見捨てることは出来ず、苦悩の末、不時着したまま放置されていたジルジルに乗って逃亡を図ります。
ガンダルに言われ、彼女の所在を血眼になって探していたブラッキーに見つかり「どこへ行くのだ?」と問い詰められたミネオは

見逃してください。誰の目にも触れない遠い所へ行きたいのです。

コマンダー・ミネオ

と懇願しますが「許さん!ベガ星連合軍のコマンドとして潔く死ね!」と一蹴され、脱走者として処刑されるミネオ。追いかけてきたデュークが必死に助けようとします。ここのデュークの怒りの攻撃はちょっとムネアツ展開です(BGMの入りもいい♪)。
結局はマザーバーンの攻撃から逃れられず、被弾して地球に落下したミネオは、デュークの腕の中で「ルビー星のことを・・・頼・・・」と言い残して息絶えます。呼応するように夜明けの海辺で爆散するジルジル。

なんともやりきれないラストシーン
ミネルバXを思い出してしまいました

敵側にもミネオのような立場の異星人がいることを知り、デュークはあらためて宇宙平和のため、ベガ星連合軍の殲滅を固く誓うのでした。


第10話「あこがれは星の彼方に」

脚本/上原正三

◉まだ本拠地探しを諦めてなかったブラッキー
宇宙人に円盤に乗せてもらう約束をしたんだ、と話したせいで番太や吾郎くんから"嘘つき"呼ばわりされる農家の少年・新一くん。それに腹を立てた彼は白樺牧場に乗り込み、ひと騒動起こしてしまいます。祖父に叱責されても尚、自分は嘘つきではないと主張する新一くん。なぜなら、それは本当のことだったから。
新一くんが会った宇宙人というのは、こっそり地球に飛来したブラッキー配下の2人組でした。彼らはグレンダイザーとTFOの所在を突き止めるため、「円盤に乗せてやろう」と新一くんをそそのかしスパイ活動をさせようとしていたのです。ブラッキーはまだグレンダイザー本拠地探しを諦めて無かったんですね。

◉今回もいいとこなしの甲児くんと美味しいとこ取りのデューク
なんとかTFOを牧場の納屋の中で見つけた新一くんでしたが、2人組に「グレンダイザーのほうも見つけないと円盤には乗せられないね」と言われ、昼の日中に宇宙科学研究所に侵入し、速攻でバレます(笑) 
工作発覚を恐れたのか新一くんを監視していた二人組は彼を射殺しようとしますがアクシデントで当て損ねてしまいます。はずみで新一くんと、彼を助けようとした甲児くんが川に落ちてしまうものの、デュークが2人を無事に救出。甲児くんはいつも最後の最後にデュークに持っていかれちゃいます。
救出されたのも束の間、二人組は再び新一くんを連れ去っていきます。結局今回も人身御供作戦。ちょっとワンパターンですね。

▶円盤獣グリグリ

円盤獣グリグリ

グリグリは能力・デザインともに、いまひとつ魅力に欠ける円盤獣。頭のトサカ部分は回転するノコギリになるのですが、グレンダイザーのコクピット窓すら破壊できず(泣)。腹部あたりが牙を持った口のようになっていて、ここをもう少しアレンジすると面白いデザインになったんじゃないかなと思いましたが。
二人組は新一くんをグリグリの右足のつま先に転送させて「小僧がどこに行ったか解るまい?」とデュークにマウントを取ろうとしますが、なんとデュークはおもむろに

デューク・テレパシー!!

と叫ぶと超能力を発揮して、新一くんの居場所をあっさり透視してしまいます。こんな能力を持っていたなんてズルいよデューク(;'∀')! グリグリは円盤形態に戻り、お決まりの回転突撃でグレンダイザーに迫りますが、ダブルハーケンでこじあけられて右足首を切除された後に、しっかりトドメをさされてTHE END。

◉真一くんには正体がバレた?
エピローグでは今回の出来事を回想する新一くん。「正義の宇宙人に助けられた」と話し相変わらず嘘つき呼ばわりされちゃっているようですが、大介との会話や円盤の中で見た出来事から、大介がデュークその人だと確信しているようでした。

新一「デューク・フリード・・・なんだ、大介さんか!」
デューク「デューク・フリードって誰だい?」
新一「僕の心の友達。僕を宇宙へ連れてってくれるんだ!」
デューク「そうか。今にきっと行けるよ。その時のために今のうちからうんと勉強するんだよ。君の心の友達によろしくな!」
新一「デューク・フリードにかい?」
デューク「そう、デューク・フリードにだ」

新一くんの回想(妄想?)シーンから

円盤に乗って宇宙に行く夢は果たされなかったものの、未来に向けて、その夢を繋いでくれる存在と出逢えたことは、新一くんにとって何より生きる支えになるのでしょう。


次回、第5話に続きます!


この記事が参加している募集

#私の作品紹介

96,726件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?