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【ワルモノ絵】マイナスに飛び込む勇気をくれたタローマン!

次の【ワルモノ絵】回顧は『タローマン』と決めていたのですが、とある関連書籍を読破してから、と思っていました。ようやくその時がやってきましたので、一部に熱狂的なファンのいる令和が生んだ唯一無二の存在、善悪を超越した巨人・タローマンについて振り返ります。


◉小学館『タローマンなんだこれは入門』を読了して

定価3,000円も出しておきながら、パラパラめくる程度で本棚の肥やしにしてしまっていたこの本を、今回ようやく隅から隅まで読みました。なんというか、一言で当然語り切れる内容ではないのですが、あえて「なんだこれは」以外の言葉を述べろと言われたら「これぞプロの本気の仕事!」という称賛を送るしかありません。著者の藤井亮さんと豪勢スタジオの皆さん、そして小学館のスタッフに惜しみない拍手を。
昭和のあの小学館入門百科シリーズのテイストを、それこそ重箱の隅をつつくかの如くオマージュしながら「タローマン」の、あのシュールな世界観を損なうことなく一冊の本にした情熱には頭が下がります。

"超復刻版"とか帯に書いてますけど今回初出版ですから!
CasaBRUTUSの特集号も買って読みましたが、タローマンの圧勝です

実際のテレビ放送で受け取った内容の1000倍も濃い内容を、全て咀嚼しきれていませんが(だってテレビは全10話でしたが設定では全30話あって、そのすべてにちゃんとあらすじとサブタイトルがあるんですよ)、当時、放送とほぼ同時並行しながら書いたワルモノ絵から、胸に響いたサブタイトル回を登場した怪獣・・・もとい、奇獣とセットで紹介してみたいと思います。

◉第1話「でたらめをやってごらん」・・・森の掟

飛行奇獣「森の掟」

この企画そのものを的確過ぎるほど表した第1話。物事に理屈なんかいらないのだ!という豪放さが気持ちいい。ルールや決まり事のほうを向いて、ついつい行動してしまいがちな、息苦しく変わり映えのしない僕たちの世界。そんな世界とオサラバしてみるのもいいんじゃない? もちろん、そのために「ちょっとだけ勇気が必要だぜ」太郎師匠はそういうこと言っているのだと理解しました。だから僕は恐る恐るでたらめをやっていきます(笑)

◉第2話「自分の歌を歌えばいいんだよ」・・・歓喜

梵鐘奇獣「歓喜」

優しい言葉の中に、世界にふたつとないオリジナルな人であれ!という太郎師匠の熱いメッセージを感じる言葉です。学校の中で仕事をしていて痛感したんですが、あの空間では「人と違う自分があからさまになること」を、なぜか先生も生徒も敬遠しがちです。誰かと同じ歌を一緒に歌うことが悪いことだとは思わないけど、自分にしか歌えない自分の歌を、誰に気兼ねすることなく歌えるのが居心地のいいゴキゲン空間の、最低要件だと思うんですよね。だから皆さんも遠慮なく大声で、自分の歌を歌いましょう!

◉第4話「同じことをくりかえすくらいなら、死んでしまえ」・・・駄々っ子

癇癪奇獣「駄々っ子」

パターン化された行動に嫌気がさして活力を失うタローマン。そもそも飽き性の僕には、太郎師匠の言葉に強烈なシンパシーを感じました。別に芸術家でもありませんが、なにか常に新しいことに触れていたい気持があるので、落ち着きのない人生を歩んでいるのは確かです。単純作業を繰り返す、前例踏襲型の仕事もちゃんとこなす、そういう人たちは本当に尊敬します。僕にはそれができません。いかにそれが問題のない完成されたものだったとしても、もっとこうすればいいんじゃないか?と手を入れてこねくり回したくなるんです。そのおかげで生きづらい人生送ってるなーとも思いますけど。

この回で登場し、タローマンを助けようとして断られちゃった
「タローマン2号」もワルモノじゃないけど好きでした

◉第8話「孤独こそが人間を強烈に生きるバネだ」・・・痛ましき腕

剛腕奇獣「痛ましき腕」

頼りになる誰かがそばに居ることや、ふとしたときに話相手になってくれる人の存在は大切だなと思います。一方でそれによって甘やかされている自分にも気付いていたりします。正直、本当に孤独な時間というのを、これまでの人生で経験したことのない人間です。真の孤独というものが、自分にどんな影響を及ぼすのかは考えもつかないのですが、太郎師匠が言わんとしていることは分かる気がします。いつかそういう日が訪れた時に、しっかりビヨヨヨーン!と跳べる自分でありたいものです。

◉第10話「芸術は爆発だ」・・・太陽の塔

べらぼう奇獣「太陽の塔」

テレビ最終話に登場したのは、やはり誰もが知るこのフレーズでした。無数に蠢く太陽の塔も十分にインパクトがありましたが、最後に必殺技で問題の根源でもある地球そのものを木っ端微塵にしてしまうタローマンの、なんと痛快なことよ。善悪を超越し、ただ真っ直ぐに、自分の思うように生きることこそ、ナチュラルな生き様だと彼は教えてくれます(たぶん)。シュールな世界観だからこそ、太郎師匠の遺した数々の言葉がしっかりと輪郭を持って観る者に伝わる気がしました(おそらく)。


とういうわけで、物語の内容については一切触れませんでしたが、真面目にレビューするのもなんか違う気がするので、気になる方は、なにかの機会を見つけて見ていただければ幸いです。

当時(2022年7月)の記事でも凄まじい盛り上がりっぷりが話題になっていますが、僕はYouTubeで楽しんだクチです。

毎回、奇獣のモチーフになった岡本太郎師匠の作品について、どこに行けば見れるのかとか、いろいろ調べまくりながらワルモノ絵を描いていました。楽しかったなー♪

でも、実は『帰ってくれタローマン』をまだちゃんと観れていません。

今回読んだ『なんだこれは入門』は、この「帰ってくれ~」の内容も含んでいるので、この記事を書きながら、やっぱりすべてを見届けたい気持ちがムクムクと湧き上がってきています。

いつか『タローマンA』が放送される日のために。

それにしても限定ソフビが、べらぼうに高いじゃないか。
せめて"かるた"は手に入れておこうかな。

今回、テレビに出ていない奇獣がまだ大量に居ることを知って
「このままでは終われない!」と思い始めている僕がいます

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