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【ワルモノ絵】スイッチー、オン!ワン!ツー!スリー!

やりはじめたらなんだか楽しくなってしまっている「ワルモノ絵」回顧。気分がノっているうちに書いていこうかなと思います。熱しやすく醒めやすい典型的日本人なもので。続いては『人造人間キカイダー』のワルモノたちから印象深いダークロボットたちを回想。


◉キカイダーを破壊せよ!が至上使命のハカイダー

やはりキカイダーのワルモノを語る上で外せないのは彼でしょう。ハカイダー。人間体の時の呼称が"サブロー"となっているように、光明寺博士が無理矢理造らされたキカイダー(ジロー)の弟分にあたるアンドロイド。製造者の光明寺博士の脳を頭に移植されているトンデモ設定ですが、博士の意識とは別にキカイダー破壊だけを目的に行動します。他のダークロボットにキカイダーを倒されるのを好まず、正々堂々と戦いを挑む姿は、これ以降の特撮ヒーローもののライバルキャラの原型となったと言われる渋カッコいいワルモノです。イラストは元祖ハカイダーのもっさりしたフォルムにこだわって描きました。後ろの人物は変身前のサブローの姿です。ナイフを掲げて変身するんですが、変身後の武器は拳銃だったりするのがミソ♪ 第37話「ジローの弟 強敵ハカイダー!」で登場し、最終回一つ前の第42話「変身不能!? ハカイダー大反逆!」でダークロボット・白骨ムササビに襲われ「どうせやられるならオレはお前に・・・お前にやられたかったぜ、キカイダー」のセリフを最後に絶命。キカイダーの物語を鮮烈に彩った立役者でした。

スケスケの頭部から見える脳味噌を描くのに苦労したハカイダー

◉見ていて心配になるグリーンマンティス

昭和40年代後半の空前の変身ヒーローブームの最中、1972年(昭和47年)に始まった『人造人間キカイダー』。ヒーローらしからぬ左右非対称の出で立ちは、デザインをした石ノ森章太郎曰く、理科室の人体模型から着想を得たそうで、彼自身「1、2位を争う傑作だと自負している」と語っていたそうですが、対してワルモノたちの造形は極めてシンプルで愛嬌のある造形が多いのが特徴です。第1話に登場したグレーサイキングはまんまサイですし、この第2話「怪奇 グリーンマンティスは殺人鬼」に登場するグリーンマンティスも、一目でカマキリモチーフと認識できます。子どもからすると「あ、カマキリのことを英語でマンティスというのか」という勉強にもなったかも。こいつ大岩を破壊しながら突然登場するんですが、カマキリのフォルムに忠実にしようとしたせいで、動くたびに細長い首が激しくグラグラしてるのでいろいろと心配になります。イラストを描きながら気付いたのは「こいつの目玉、プラスチックのザルで出来てるじゃん!」ということでした。

ザル製の目をしたグリーンマンティス
いわゆるこういうやつ。オレンジアントというキャラもたぶんザル目

◉キカイダーがシンパシーを感じたゴールドウルフ

第11話「ゴールドウルフが地獄に吠える」に登場。実は彼、光明寺博士によってキカイダーと同じように良心回路(プロトタイプ)を組み込まれていたダークロボットでした。そのため、親分・ギルの命令に反して、博士親子を逃がそうとします。しかしギルが増設した月光回路のせいで、月の光を浴びると自我を失って狂暴化してしまうんですよね。「お前を倒したくない」というキカイダーの願いは届かず、戦いを挑んできた彼は必殺技で返り討ちに逢います。爆死する寸前、雲が月を隠したせいで一瞬だけ正気に戻ったゴールドウルフが「月がもう少し早く隠れてくれれば・・・」と呟くシーンが非常に印象的なエピソードです。

キカイダー同様にギルの笛の音にも苦しめられるゴールドウルフ

◉"武器商人ダーク"を印象付けたブルーバッファロー

いかにも石ノ森デザインなブルーバッファローですが、こいつが登場する第4話「悪魔のブルーバッファローが罠をはる」では、ギルの率いる悪の組織ダークが、ダークロボットを兵器として世界各国に売りさばいていると姿を見ることができます。デモンストレーションを目にした買い付け役たちが入札するシーンは、なかなかの衝撃。子どもたちがどこまで理解できるかわかりませんが、製造したロボットを自分たちが使うのではなく、他国に売るという表現は、子供番組にしては攻めてるなあと思いました。とはいえ落札されたブルーバッファローを、結局自分たちの目的のために使ってキカイダーに壊されちゃうのですが・・・契約どうしたのかな?と余計なことが気になります。イラストはデモンストレーションの際に、頭の上から鉄球を落とされても平気なブルーバッファロー。わりと手抜きの作品です(笑)

頑丈さが取り柄のブルーバッファロー

◉ゆるすぎる造形が逆に味わい深いキイロアリジゴク3兄弟

第23話「キイロアリジゴク三兄弟見参!」に登場した3体のダークロボット。ちょっとずつ違うアレンジの施されたフォルムと、目の覚めるようなレモンイエローの体色が目を惹くのですが、全体的に造りがゆるいせいなのかユーモラスさが際立ったワルモノ。殺虫剤のCMとかに出てきそうなんですよね。エピソードの詳細は忘れちゃいましたが、1つのエピソードに複数ワルモノが登場する回などは、こんなふうに連結して一続きの背景にしてみたりすることがあります。右端の絵の背景には、アンテナがいっぱいついた構造物に立っている主人公・ジロー(変身前のキカイダー)を描いているのですが、彼、毎回とんでもなく高くて危なげな場所にギターを弾きながら現れるんです。「今回はどんなところから姿を現すのかな」とワクワクして待つのもキカイダーの楽しみのひとつでもありました。 

左から。キイロアリジゴク2号、3号、1号。末っ子の3号だけ、片親が別なのかなとか思ったり

ということで、キリがないのでこれくらいに。ダークのワルモノたちは「色+動物」というネーミングルールがあるのですが、普通に想像する組み合わせではないところが面白いです。「タコヤマブキ」とか「ピンクタイガー」とか「バイオレットサザエ」とか。まあ、中には「サソリブラウン」とか「キメンガニレッド」とか、普通に想像する組み合わせもありますが・・・。おおらかな昭和ワルモノのデザインが堪能できる『人造人間キカイダー』おすすめです!


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