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梶田達二設定で塗る「晴嵐」

愛知県出身の画家で、主に少年雑誌のグラフティやプラモデルのボックスアートで名を馳せた梶田達二さんという方がおられます。ウルトラ怪獣などの絵も手掛けられていたり、僕にとっては小松崎茂さんと同じように馴染みのある画家さんです。


◉2017年のお正月用に作ってみた

トップ画像のキットは、アオシマから1963年(昭和38年)に発売された1/72帝国海軍水上機「晴嵐」です。2016年当時、飛行機プラモに絶賛ハマり中だったときにお世話になっていた<ホビコム>で、お友達への新年あいさつ用に何かを作りたいと思っており、目に留まったのがストックの中にあったアオシマのこのレトロキットでした。理由はこのボックスアート。

オークションでまとめ買いした中にあったのですが、箱の時点で異彩を放っていました

なんと爽やかで明るいカラーリングなんでしょう! まだ知識の浅かった僕は「もしかして練習用の機体でこういう塗装をしてたのかな?」とも思って調べたんですが、どこにもそんな情報はなく、これはきっと梶田画伯の粋なプレゼンテーションなんだなと解釈し、この目出度い感じの「晴嵐」をそのままに仕上げることで、新年を飾ろうと思ったのです。それまでクソ真面目に当時の彩色に忠実に塗ることしか考えてなかった僕にとって、新しい試みでもありました。

◉「晴嵐」だから青くしたのか理由は謎

このアオシマの1/72「晴嵐」キット、初版の1963年から僕の手元にあった1994年版まで、ボックスアートはずっと梶田画伯が手掛けられているようなんですが、何度かのリニュアルを経て上記の絵柄になっています。

1964年の2版目のボックスアートが「晴嵐」最大の特色を描いていて僕は好きです

順を追って見てみると、多少、元絵の印刷の調子や画像によってブレはあるものの、初版から1960年代半ばの3版目まではおとなしめの配色です(若干この時点で青寄りの緑には見えます)。4版目に現在の絵柄に変わったタイミングでのこの青い機体色になるんですね。アオシマのこのシリーズの他の機体の箱絵もチェックしてみたいですが、それはまた次の機会に。

◉なんだか「ホビー・ハイザック」みたいだ

あらためて眺めていたら『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』に登場する「ホビー・ハイザック」を思い出してしまいました。

RMS-116 ホビー・ハイザック(『機動戦士ガンダム逆襲のシャア』より)

こちらは戦後、ホビー用に民間に払い下げられた機体という設定で、ギュネイ・ガスがシャア・アズナブルを迎えにきた時に乗っていたんですが、そういう意味では「晴嵐」にもそんな世界線があってもいいな、と思ったり。

2017年当時、実際に<ホビコム>に投稿した際は、お友達の皆さんにも楽しんでいただきました。ガチなミリタリーモデラー諸氏からも「こういうのもたまにいいですね♪」と面白がってもらえたのが嬉しかったですね。

で実際に<ホビコム>で投稿した画像です

◉「自由に楽しめ!」というアオシマさんのメッセージかな?

キット自体は本当にレトロらしく、ゆるさ全開で、ちゃんと作ろうとすると大変なキットですので、あまり入れ込まずに作りました。箱絵ではカッコ良く描かれているインテークもキットでは穴が開いていなかったりします(笑)

正直、スケールキットでこれはアカンでしょ!というレベル(笑)

しかしながら今回は、敬愛する梶田画伯へのリスペクトを込めるのが目的でしたので、これで良いのです♪ しかもこのキットの取り扱い説明書には、練習機のカラーリングとマーキングしか紹介されていないんです。

「H24」というのは水性ホビーカラーのオレンジイエローなんです。
全面、オレンジイエローは練習機カラーですよね
デカールだけは実戦機のものが2パターン入っていますが
初心者にはどこに貼ればいいのか説明がない、という・・・

まあ、そういう事情もあるので、この「晴嵐」はこの着地点で良かったんだと思います。アオシマさんも、大戦機では実際にはあり得ないカラーリングのパッケージでGOサインを出したということは、もしかしたら「そうそう! プラモデルなんだから、それでいいんだよ!」というアオシマさんのメッセージのようにも受け取れますね。

しっかりとしたクリアパーツの台座も付属。「ちゃんと飾ってね!」という
アオシマさんの想いが、ここにこもっているような気がします

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