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『涙も笑いも力になる』~私が講演会で学んだこと~

「涙も笑いも力になる」

これは、昨日ノートルダム清心女子大学で行われた副島賢和先生の講演会のテーマである。

副島先生は、日本テレビで2009年に放送された「アカハナ先生」のモチーフとなった方である。そして、現在も大学に勤務されながら院内学級の担当もされている。

副島先生の著書も拝読させていただいていた私は、講演会の前日からワクワクが止まらなかった。

冒頭に話を戻すと、「涙も笑いも力になる」と言うテーマを最初に見た私は

「笑いは、確かに力になるよな・・・。落ち込んだとき、笑うと元気が出てくるし、子どもたちと笑い合えれば教室の雰囲気が良くなって何かクラスに見えない力が湧いてくるように感じる。でも、涙ってどういうこと?」

以下、私が副島先生の講演会で学んだことを述べていく。その中に前述した「涙は、どう力になるのか?」という問いの答えも出てくる。

① 「やさしいどうして?」

「やさしいどうして?」の発想は、子どもの行動に対して、「そんなことしちゃダメでしょ!」であるとか、「前にも言ったよね!どうしてやめられないの!」ではなくて、どうして何回もするのかな? と子どもの側に立って、その背景を一緒に考えることです。
青山新吾(2022)「エピソード語りで見えてくるインクルーシブ教育の視点」学事出版

副島先生の実践は、まさに「やさしいどうして?」の発想を具現化されているなと感じた。

まなざしがどこまでも温かく、子どもの側に立っている。教師のための教師中心の実践ではなく、学習者のための学習者の生活に根差した実践である。

「死にたい」
「自分は、不良品だ・・・」
「僕の人生は、あきらめないと生きていけない!」

こういった言葉が院内学級で担任をされている時に子どもたちから出てきたという。私たち教師(すみません・・・。特に私です。)は、こういった子どもたちの言葉に対して、

「そんなこと言っちゃダメ」
「不良品?そんなことないよ!」
「あきらめなかったら、夢はかなうよ!」

などと安易な言葉を返してしまう。そして、子どもたちの言葉の奥にある想いや背景を理解しようとせず、子どもたちの感情にフタをしてしまう。

副島先生は子どもの言葉に「やさしいどうして?」のまなざしを向けて、子どもの「こころ声を聴く」ためにはどうすればよいかを常に考えられているなと感じた。

◎教材を通して
◎言葉で表現することを手伝う
→絵本を使って
→教材を使って
◎行動からの読み取り

見えていることだけが真実ではない。見えない事にも目を向ける。むしろ、見えないこと(自分が見えていない事・見ようとしていなかったこと)にこそ目の前の子どもの本当の気持ちが隠れている。

私も今一度、目の前の子どもたちに「やさしいどうして?」のまなざしを向けられているか、関われているかを振り返っていこうと思う。


②  感情を表出することの大切さ

「ちょっと落ち着いて!」
「そんなに怒らなくても」
「その話、ちょっと後でもいい?」

恥ずかしながら、自分が子どもたちに言ってしまっている言葉である。こういった「落ち着かせよう」とか「後で話を聞こう」と思って発した教師の言葉が、子どもの感情(子どもの今)にフタをしていることがある。

「ちょっと落ち着いて!」という言葉には、子どものためではなく、教師が落ち着いてほしいという思いも含まれている。

「そんなに怒らなくても」という言葉には、発散している子どもの気持ちを無理やり抑え込もうとする思いも含まれている。

「その話、ちょっと後でもいい?」という言葉は、「今、話したい!」という子どもの「今」を大切にできていない。

こういった、講演を聞くまで意識もしていなかった言葉の数々。

そういった自分の言葉を振り返るようになったのは、副島先生がおっしゃっていたことがきっかけである。

「風船、怖い人?怖かったら、怖いって言いましょう。それは、自分を守るために大切なことです。」

「感情に良い、悪いはありません。」

「どんな感情も大切にしてください。感情は、願いを伝える役割です。」

子どもたちが感情を出しているのに、その感情にフタをさせてしまっていた自分を反省した。私は、どれくらいの子どもの言葉を無視してきたのだろうと。

「涙も笑いも力になる」


感情を表出させることは、悪いことではない。それは、自分自身を救うことなんだよ。私たちにできること。それは、感情にフタをすることの方法を伝える事ではなく、その伝え方を一緒に考えていくこと。副島先生のお話から学んだことである。そして、感情を伝える事の大切さを子どもたちにも伝えていきたいなと思う。


③  子どもの「今」を大切に

「○○さんは、〇年生の時・・・」
「前はこうだったのに・・・」

これは、私が言われてきた言葉、言ってきた言葉である。

副島先生のお話の中で「今」という言葉が多く出てきた。

・「今」としっかり向き合う
・「今」を生きる
・「今」感じている感情は、間違っていない
・「今」に向き合っている

自分は子どもたちの「今」にどれくらい向き合えているだろうと振り返りながら聞かせていただいた。過去も大切である。そして未来も大切である。しかし、今(現在)の目の前の子どもたちが見えなかったり、見ようとしていなければ過去も未来も考えることができない。

子どもたち一人ひとりの「今」としっかり向き合っていきたいなと思う。



以上が私が学んだことである。衝撃的だったのが、副島先生のエピソード語りである。子どもたちと副島先生とのエピソードは、涙なしには聞くことができなかった。本当に目の間に子どもたちと副島先生のやり取りが映像として浮かんでくるぐらい具体的でそして感動的なものであった。

私も今年より来年、来年より再来年と一人でも多くの子どもたちとの物語を子どもたちと共に創れる教員になっていきたいなと感じる。

そのためには、目の前の子どもの事を知る事、知ろうとする事。そしてそれを楽しむ、面白がれることが大切であると感じる。

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