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いい歳してぼろぼろ泣いてるんじゃないよ「くまのレストラン」

皆様、人生進捗いかがでしょうか。僕はダメです。相変わらず好き勝手に生活しております。

今日は直近でプレイしたNintendo Switch「くまのレストラン」について、レビューはしませんが話します。

あなたは「最後に食べたいもの」はなんでしょうか。

ご両親の思い出のメニュー?
忘れられない絶品?
いつも食べてたあの料理?

人の数だけ答えがあり、叶えられないものでかり、そして月並みな問いでもあります。よくあるテーマといえばそうですが、それゆえ奥が深いテーマでもあります。

「くまのレストラン」はその「最後に食べるもの」を軸にストーリーが展開していきます。

1.どんなゲームか

「くまのレストラン」は、iOS/Androidアプリ、SwitchやSteamで配信されているOdencatのゲームです。

タイトルの通り、くまがレストランを営業していて、そこに訪れる客の思い出の料理を提供していく…ものなのですが、そこは天国と地獄の狭間にあり、最後の晩餐をご馳走している、という舞台から物語が始まります。

「くまのレストラン」。天国と地獄の間にあるそのレストランでは、くまのシェフにより死者に最後の晩餐がふるまわれます。ハンバーガー、オムレツ、寿司、プリン、なんでもござれ。”記憶のかけら”さえあれば生前の好物を作ってご覧に入れましょう。
あなたは助手の「ねこ」として、レストランの店長の「くま」を手伝うことになります。「ねこ」はお客さんの生前の記憶に「ダイブ」することでお客さんの好物について知ることができます。・・・でもじつは「ねこ」は自分が誰で、どうしてここにいるのかよく覚えていないのです。なにが好物だったのかさえも。

上記サイトからの引用の通りで、主人公はそのくまのレストランを手伝うネコくんで、そこで出会う人や動物の記憶にダイブし、思い出の料理を再現していきます。もちろん、それだけに留まらないのですが、是非そこはゲームを実際にプレイして楽しんでもらいたいです。

記憶のかけらを調べることで、あなたは多くの人の死と触れ合うこととなるでしょう。「・・・最期なんてろくなもんじゃないけどな」くまが言ったその言葉通り、記憶のかけらに残されていた記憶はそれぞれの客の最期の瞬間、辛く重いものです。かけらを見るも見ないもあなた次第です。ときには知る必要のないこともあるのですから。
「くま」と「ねこ」の二人が織りなす短編レストランストーリー。このゲームには、難しい謎解きも、ワクワクするバトルも、胸躍るアクションも、ありません。でも、そのかわりにきっと、ほんのすこし、思い出にのこります。

紹介でも書かれている通り、派手なアクションや駆け引き、攻略要素はほぼないです。
ゲームのプレイ要素としては、
・シナリオを追って、選択肢を選んでストーリーを進める
・探索をしてフラグを立てていく
・そしてあきらめないこと
の3つになります。難しいゲームではなく、誰でもクリアできるんじゃないかというものです。ノベルゲームに近いんじゃないかな。たぶん分岐もそんなにない。

つまりゲームのかたちで物語を楽しむ。そういったゲームになります。


2.過去の名作との繋がり

ネタバレ回避でストーリーに触れないのであればあまり話せることがないじゃんということにはなるのですが、それでも書いているのは、プレイしてめちゃくちゃよかった…というプレイ後の高揚感と、「これあのゲームのリスペクトめちゃくちゃ多いな」という点について、どこかに書き残しておきたいという衝動が抑えられなかったためです。

その過去の名作とは、「Forget me not -パレット-」です。

2001年発売、もう今から21年も前の作品です。

このゲームのシステム、シナリオ自体は1999年のソフトフェアコンテストにおいて発表された作品で、2001年発売のものはその製品版ということになります。

PlayStationのソフトですので、いまプレイする環境を整えるのは難しいかもしれません。PC版フリーゲームも存在するみたいですが、動作するOSがめちゃくちゃ古そうで、やっぱりなかなかプレイはできなそう。

ただこのゲーム、とんでもない名作です。

精神科医である「シアノス・B・シアン」の診療所に、診療時間をとっくに過ぎた夜、謎の女性がドア越しから一人の少女の記憶を取り戻させてほしいという。シアンは後日きてくれと追い払おうとするが、彼女は「わたしたちには時間がないの」と銃で脅迫しカウンセリングを強要する。そんなやり取りの中、突然鳴り響く電話・・・電話から聞こえてきた声の主は記憶喪失の少女(B.D)本人だった。精神科医のシアンは電話を通じて「覚えているのは赤い色だけ・・・」という少女の言葉をもとに少女の精神世界を移動し、失われた記憶の先にある真実を見つけ出す記憶探しが始まる。 

引用元 https://freegame-mugen.jp/sp/adventure/game_135.html

このゲームに見られる「くまのレストラン」との類似点を挙げていこうと思う。

①精神科医として他人の記憶に没入していくシステム
「パレット」では、精神科医シアンとして、カウンセリングというかたちでひとの記憶を辿っていきます。そこで情報を集めて、少しずつ謎を解いていくゲームシステムになっています。
「くまのレストラン」では、最後の料理を作るヒントとして、お客の記憶にダイブしヒントを得ていきます。

②輪郭だけ囲まれた中身のない人物
「パレット」でとても印象的なのは、輪郭だけが見える人物の登場です。彼らもシアンがカウンセリングを重ねて、情報を集めることで誰なのかと言うのが判明していき、それに連動してゲーム内でもキャラクターデザインがハッキリするという仕掛けになっていました。
「くまのレストラン」でも同様に、輪郭だけが分かり、顔が見えない存在がいます。彼らもまた、ストーリーを進めることでデザインが判明し、誰なのかと言うことがわかります。

細かく見れば類似点はまだあるように思いますが、この根幹に関わる演出にどうもこの「くまのレストラン」が20年前の名作アドベンチャーゲームのギミックをリスペクトしているように感じられたので、紐づけて語らずにはいられませんでした。
実際のところ、僕はゲームフリークというには水深2mmくらいのところにいる浅瀬ちゃぷちゃぷマンなので、すごく一般的なシステムなのかも知れません。ただ、昔のとても好きなゲームの面影を感じられて、もう喜びが止まりませんでした。

いいゲームでした。どちらも。


3.令和のパレットとして

何を隠そう僕自身このシステム、仕掛けがゲームとしてというか、もう小説や物語としての伏線回収や謎が解けてひとつに繋がるエクスタシーが

大好物

なもので、貪るように泣きながら食べてしまう習性があるのですがもうほんとこの「くまのレストラン」はそこがしっかり作り込んであります。

プレイヤーをストーリーに没入させる仕組み、仕掛けがちゃんと存在していて、その工夫のおかげでプレイヤーの感情移入のさせ方がエグい。

クリア後のオマケ要素で細かい疑問も解消されており、最後までスッキリとさせてくれつつ、暖かいような悲しいような読後感がたまりません。


もしまだプレイしていない方がいれば、この蔓延防止の世の中、Switch版は1,500円で遊べますので是非プレイしてみてください。

ご清聴ありがとうございました。

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