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しん劇の小噺・司会

おはようございます。
しん劇でございます。

あたくしの知り合いで、シングルマザーの演歌歌手がいるんです。
子育てしながらイベントで歌ってるんですけど、彼女、歌もうまいけどトークもうまいもんだから、歌の仕事と司会の仕事とダブルでやってるんです。

あたくしは売れない芸人と売れない役者のダブル貧乏ですから、飲むたんびに

「毎回とは言わないからさ、3回に1回、いや、5回に1回くらいは、司会の仕事で俺のことも売り込んでよ」

なあんてセコいお願いをしてたんです。

そしたら、しばらくして電話が来まして

「しん劇さん、今度の日曜、イベントの仕事入ったんだけど空いてる?」

やった!お願いするもんだなあなんて思いながら

「空いてる空いてる!」
「良かった!じゃあ、子守りお願い!」

子守り頼まれちゃいまして。
さすがにカチンと来て

「子守り?バカにするんじゃないよ!」
「日当1万円」
「やります!」

情けない話ですが引き受けまして。
当日は子供を抱っこしながらイベント会場の後ろの方で観てたんです。
そしたら子供が

「ママ!」

お客さん一斉にこちらを振り返りまして、こりゃもう、どう見たって奥さんをステージで歌わせてる甲斐性なしのヒモ亭主ですよ。

「あ、違うんですよ、僕は日当1万円の子守りのバイトで…」

って言うのも情けなかったんで、思わずこう言っちゃいました。

「ママ頑張れ!」


でもホント、司会もちゃんと出来るんです。
カラオケ大会の司会、防災イベントの司会、警察の交通安全イベントの司会、色々やってきました。

結婚式の司会をやったときなんて、評判よくて誉められたんですよ。
ただ、このときは嬉しくなって失敗したんですね。
よけいなこと言っちゃった。

「次回もよろしく」

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