『アンチ整理術』を読んだ

アンチ整理術

著者:森博嗣

この本を読んでも得られないこと

「アンチ整理術といってるけど、何かしら整理術について書いているのでしょう?」と思ったら大間違いである。書いていない。
著者は以下のように書いている。

整理・整頓は、精神的な効果しかない。

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整理・整頓とは、元気を出すため、やる気になるためにするものである。それなのに、仕事ができるようになる、発想が生まれる、効率を高める、などと余計な効果を期待するから、勘違いが生まれる。

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本当にアンチだ。身も蓋もない。
しかし、この本を読むとそのように思えてくるから不思議だ。
こういった整理整頓の考えから、思考の整理とは、人間関係の整理とは、創作(著者は小説家)とは、と著者の考えが展開される。

感想

森博嗣氏は、世間的に見て天邪鬼だ。
ただ自分にはとても正直だ。思ったことをストレートに記載している。
話を読むと、一般常識(整理整頓は無条件に良いとされている、など)と捉えていて深く考えていなかった、言われてみると確かにそうだということが多い。
整理整頓も、集団生活する共有スペースではモノが整理・整頓されていないと混乱をきたし非効率になる、一人の場合は作業するにも片付けるより出しっぱなしの方が効率が良いという考えだ。そこから、結局は精神的な効果だといった話をしている。そういわれるとそうかもな、と思ってしまう。
この整理整頓の話のほかにも「集中力はいらない」という本も出している。このアンチ整理術内でも、集中力とは機械のように働けという意味であるから、機械力という名づけの方がふさわしいと言っていたりする。こちらも集中力の効果を考えるとそうかもな、と思ってしまう。
森博嗣氏のエッセイは一貫して「考えろ」ということを伝えているのだ。
世間一般にいいといわれていることなど、自分で考え始めると「なんでだろう」と思えてくる。整理整頓が良いと言われているのように。


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